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第八話 何事にも加減が大切です!

戦闘描写はうまくできているでしょうか。作者的にはなんとか頑張ったつもりです。



第八話 何事にも加減が大切です!


大角猪に僕らは追いめられていた。大角猪の突進は今のところかろうじてかわせている。だが、舗装すらろくにされていないこの世界の街道の上での連戦は僕らの足に確実にダメージを蓄積させていた。

大角猪の体力は底無しなのか突進のスピードはまったく衰えない。このままではいつか大角猪にぺしゃんこにされてしまう!


「どうすれば良いんだ!」


絶望的な状況に僕は思わず叫んだ。大角猪を挟んで向こうにいたスフィアが僕の叫びに答えてくれた。


「少々不安だが仕方ない、精霊魔法を使うぞ!」


スフィアが大角猪の咆哮にも負けない大声で叫ぶ。


「白河、私の後に続いて呪文を唱えるんだ!」


「わかった! 呪文を唱えて!」


スフィアは走りながらとは思えないほど流れるように美しい旋律で呪文を唱えはじめた。


「我は精霊の契約者なり、契約に基づき神秘を行使せん」


戦いの最中で頭に酸素は行ってないはずだが、その呪文は頭に染み込むように入ってきた。


「我は精霊の契約者なり、契約に基づき神秘を行使せん」


スフィアは僕がスフィアに続いて唱えていることを確認すると更に続ける。


「何ものにも染まらぬ空なる力よ、我が敵を貫け! エナジーアロー!」


 僕も声を掠れさせながらもスフィアに続いて唱える。


「はあはあ、な、何ものにも染まらぬ空なる力よ、我が敵を貫け! エナジーアロー!」


体の中が燃えるように熱くなった。熱した油を注がれたようだ! 死にそうなほど熱いよ!


「慌てるな、体が熱くなったんだな、その熱をこの魔物にぶつけるんだ! 早く!」


スフィアは僕の方に大角猪が来ないようにいつのまにか囮になってくれていた。スフィアのためにもなんとかしなければ!

僕は熱を体から出して大角猪にぶつけることをイメージする。体が更に熱くなる。全身の血が沸騰しているようだ。


「うぐぁ、があぁ」


「頑張れ! あと少しだ!」


スフィアが精一杯僕を応援してくれる。僕は熱を体から出そうとイメージをより鮮明にしていく。体は際限なく熱くなっていく。構うものか! ここでやらなければ大角猪に殺されてしまう!

僕が心を決めた時それは現れた。

白く輝く光の玉だ。それは小さかったがどこか圧倒的な存在感があった。

玉は大角猪に向かってゆっくりと飛んで行く。玉は大角猪に触れた。

視界を覆い尽くす光の奔流と猛烈に吹き荒れる爆風。突然発生したそれらが僕に襲い掛かかってくる。なすすべもなく僕は空に舞い上がり、地面に叩き付けられ……はしなかった。地面の代わりに何か柔らかいものに叩き付けられたのだ。


「飛び込んで来るなんて、そんなに私のことが好きか? なんなら今日あたりお相手してもいいんだぞ?」


いつもの軽い調子のスフィアの言葉に状況を理解した僕は慌てて移動する。スフィアが残念そうな顔をしたのは気にしない。


「しかし、すごいことになったな。エナジーアローは敵を貫通するだけで爆発なんてしないのに……」


さっきまで僕らのいた方を見て、スフィアは口を半開きにした。

大角猪だったらしい肉の固まりや骨が散乱し、その中心には小さなクレーターまでできている。過剰威力にもほどがある!と、僕も思った。魔法を使ったのは僕なんだけどね……。

しばらくして僕らは大角猪の角を探し出し、街へ持って行く。

街へ着くと門の付近に冒険者らしき人が集まっていた。


「大丈夫でしたか? さっきお二人が向かった方から爆発音がしたので、みんなで調査しに行くところだったんですよ!」


冒険者たちの中に混じっていたリーナが心配そうな顔をして話し掛けてきた。

自分の魔法のせいでこんなことになるとは……。みなさん心配かけて申し訳ない。


「さっきの爆発は自分の魔法のせいなんだ」


リーナやその周りの冒険者たちは顔を引き攣らせた。そして唐突に笑いはじめる。


「ははは、おめえ、冗談をいっちゃいけねえよ。本当は何があったんだい?」


おじさんが腹を抱えながら僕に聞いてくる。おじさんのまったく僕の発言を信じてなさそうな態度にスフィアが不機嫌に言い返した。


「白河の言ったことは全部本当だ。それ以上笑うな」


おじさんとスフィアは一触即発といった雰囲気になった。 頼むからこんなところで厄介ごとを起こさないでくれ!


「たぶん本当ですよ。白河さん魔力一万二千もありますから……」


スフィアは呆れたような感心したような何ともとらえ難い態度を示す。周りにいた冒険者たちはインチキ商品でも見るかのような疑わしげな目をしてこっちを睨む。


「リーナちゃんは嘘つかねえしな。それが本当ならさっきの爆発が自分の魔法だ、ってのにも無理はねえな」


スフィアとすでに口喧嘩を始めていたおじさんも、胡散臭そうではあったが納得したようだ。スフィアが離れていくおじさんを見て、僕に胸を張った。あなたがおじさんを納得させた訳ではないですよ!


「でもどうしてあんな魔法を使ったの? 角猪相手にあれはないですよ?」


冒険者たちが帰って行ったところでリーナが疑問を呈した。


「大角猪が出たんだ。あんなのが出るなんて聞いてないぞ!」


スフィアが怒ってリーナに詰め寄る。リーナは顔を青くした。


「大角猪! Bランクの魔物じゃないですか! どうしてそんなのが街の近くに……。ひょっとしてダタール帝国の言ってる魔王復活って言うのもまんざら嘘じゃないのかな?」


「今、魔王って言わなかった!?」


「え、確かに言いましたよ。冒険者や商人の間では有名ですから」


魔王までいるのか。お約束とは言えそんなやばい存在いらないよ! 僕の顔色は青くと言うより白くなった。


「ああ、もしかして魔王のことが心配になりました? 大丈夫ですよ。ダタール帝国のことですからまた魔族たちに戦争吹っかけたいだけでしょうし、それに勇者とか言うのも召喚されたようですよ。だから心配しないで大丈夫です!」


まさか勇者までとは。ダタール帝国やるな。だけど召喚ってどこからだろう? 地球からかな。だとしたら帰れなくて困ってるかもしれない。 博士に頼んで勇者を連れて帰れるように頼もうか。というか博士に勇者とか魔王とか話したら自分で魔王の城に特攻しそうだな。あの人ならやりかねん。


「どうしたんだ? 急に笑い始めたりなんかして。おかしいぞ」


スフィアが変な顔をしてこっちを見てくる。いかんいかん、博士が魔王を巨大ロボで倒す場面を想像していたら笑ってしまっていたらしい。


「怖がったり笑ったり変ですね。夜も更けて来ましたし、白河さんもおかしいみたいですから、続きは明日にしましょう」


リーナの宣言で今日のところはお開きになった。なので僕らは宿屋へと帰って行く。こうしてこの日の夜は更けて行った。



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