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第四十四話 飛翔! 飛行戦艦「シリウス」

 また悪役サイドの話です。本編進まなくてすいません!



第四十四話 飛翔! 飛行戦艦「シリウス」


 極寒の山奥にあるアルカデの要塞。その最下層にあるソノラの研究室に、ワグナが報告をしにやって来ていた。


「ソノラ様、飛行戦艦の復旧が完了いたしました」


「あれからまだ五日だわ。ずいぶん早かったわね。褒めてあげる」


 ソノラは飲み差しのコーヒーをテーブルに置くと、珍しくいい仕事をした部下に機嫌を良くする。褒められたワグナはホッと胸を撫で下ろした。


「それで飛行戦艦はもう出撃できるのかしら?」


「もちろん。命令があればいつでも出撃可能です!」


「よし、ならば予定より早いが早速出撃! 目的地はドラグナーのシースライトタワー!」


「はっ!」


 ソノラがそういうや否やワグナとその取り巻きは命令を要塞中に伝えるべく司令室へと向かった。ソノラ自身も飛行戦艦の格納庫へと移動を開始することにする。


「行ってくるわね」


 ソノラは研究室の中央にある水槽に手を振ると、扉を閉じて部屋を後にする。水槽の中にある機械の目が怪しく揺らめいた。


★★★★★★★★


「『竜の瞳作戦』開始! 総員、一号格納庫の飛行戦艦に乗船せよ!」


 金属のプレートが張られたトンネルのような通路にけたたましいサイレンが鳴り響く。その大音響の中をソノラは悠々と専用の道を使って飛行戦艦へと歩く。

 数百メートルほど歩いたところでソノラの前に扉が現れた。扉には大きく「一号格納庫」と書かれている。


「暗証番号をご入力下さい」


 ソノラは扉の脇に備えられた端末をチャカチャカといじった。すると端末から赤い光が延び、ソノラの瞳に当たる。


「個人データ認識完了。暗証番号、個人データ共に異常なし」


 扉はプシュという音をさせると、滑らかにスライドした。ソノラはカツカツと足音を立てながら扉の奥に入っていく。


「これは素晴らしい。『昔見た時』と変わらないわ」


 ドームのような部分から、三本に分かれた船体が伸びる独特のフォルム。長年地底に埋まっていたにも関わらず鈍い輝きを放つ鉛色の装甲。そして装甲の合間から垣間見える無数の砲搭が異様なまでの存在感を発している。その飛行戦艦の中央付近には「シリウス」という文字と獅子をあしらったエンブレムが刻まれていた。

 ソノラはかつて見た時と同じそれらを見て、愉悦の表情を浮かべた。そしてタラップを揺らし、戦艦「シリウス」に乗り込む。そしてソノラは長い通路を抜けて司令室に到着した。


「ソノラ様!」


「ご苦労。準備は完了したか?」


「もう間もなく完了いたします」


「そうか、ならば急ぎなさい」


「はっ!」


 大学の講堂のようなすり鉢型をしている司令室にソノラが入ると、オペレーターたちが敬礼を決める。ソノラはそれを確認すると作業の続行を指示した。しばらくして全天モニターに光が点り、グラフやシリウスの船体が三次元的に表示される。


「メインジェネレーター起動。虚数空間展開。魔力抽出開始」


「メインコンピュータ起動。システムオールグリーン」


「魔力注入開始。メインエンジン起動。出力30%」


 シリウスの船体が微かに震えた。司令室の下からわずかだがエンジンの駆動音が響いてくる。


「エンジン出力50%に上昇。反重力システム起動」


「全乗組員の乗船を確認。隔壁を封鎖。タラップ収納します」


 金属同士がぶつかる嫌な音を奏でながら、次々と隔壁が下ろされてゆく。タラップも船内へと収納され、シリウスは周囲から切り離されたようになった。


「ソノラ様。格納庫の扉を開けます」


 ワグナが要塞の方から無線で連絡してきた。オペレーターたちは無言で頷き、まだまだたくさんある作業を続行する。


「エンジン出力定格値に到達。安定化作業へ移ります」


「シリウス、浮上します」


 軋むような音がして船体が大きく揺れた。ソノラは思わずバランスを崩してよろける。しかし、トップの醜態など無視するかのようにオペレーターたちは慌ただしくキーボードを叩き続けた。

 しばらくして、ガクンと言う音がして格納庫の天井が開き始めた。いよいよ山々が揺れ動き、格納庫の天井が降り積もった雪を吹き飛ばしながら開いていく。

 シリウスの船体が地下から浮上し、空高く舞い上がっていった。鉛色の船体が弱い陽光を反射して威風堂々とした様だ。


「位相空間シールド展開。シールドシステムオールグリーン」


「目的地設定。ドラグナー王国、シースライトタワー」


 モニターの左側に世界地図が表示され、その上で赤い点が二つ点滅する。大陸の北にある点が現在地で、南にある点がシースライトタワーを示しているようだ。


「全システムオールグリーン。ソノラ様、出発のご命令を!」


「よし、それでは飛行戦艦『シリウス』……発進!」


 オペレーターの要請にソノラは腰に手を当てて、空中ビシッと指差した。紫の髪が靡き、瞳が金色を帯びる。その口から放たれた勇ましい号令は司令室に轟き渡った。オペレーターたちもそれに呼応し、司令室に歓声がこだまする。

 シリウスの後方から青白い炎が激しく噴き出す。シリウスは急加速し、シースライトタワーに向かって飛んで行った。



飛行戦艦がSF的すぎるかも……。

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