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第三十六話 今明かされし伝説!

後書きにお知らせがあります。更新停止のお知らせなどではないですがお読み下さい。

第三十六話 今明かされし伝説!


街に帰ってきた僕らは気絶させたアルカデのメンバーたちを冒険組合に預けると、とりあえず宿屋へ向かった。もう夜になりかけていたからである。そして宿屋で夕食を取るため食堂へと二階から降りていく。


「ふう、今日は疲れたな。まったくあいつらは一体なんだったんだ? アルカデなんて組織は聞いたことがないぞ」


咲がぐったりして言った。その身体はテーブルに寄り掛かっていてお行儀が悪い。


「咲、疲れたのは分かるけどその姿勢はダメだよ」


「さすがに田舎侍だけのことはあるの」


僕が注意すると、さらにナルが少し厭味ったらしく言う。咲は背筋を伸ばすとナルの食事の様子を食い入るように見はじめた。しかしナルは皿の山を作ってはいたが、咲の期待するようなマナー違反はしていなかった。


「くっ、文句がつけられない!」


咲が思わず漏らした。ナルは勝ち誇ったような視線を咲に送る。咲の額に血管が浮かんだ。しかしそもそも咲が悪いことだったので怒れない。ナルは咲が怒らないのでさらに調子に乗る。

それがしばらく続いた後、ついに咲が爆発しそうになったところでスフィアが二人の間に割って入った。


「二人とも子供みたいだぞ。それくらいで喧嘩しない」


スフィアはそういって二人に水を飲ませて落ち着かせる。だが、ナルの方がふと思うところがあったのかこうつぶやいた。


「……私は子供じゃないの。それに私が子供だったらスフィアは大年増になる」


スフィアは耳が良い。よってナルのつぶやきは一言一句彼女の耳に入った。


「……僕は師匠や博士に報告するから先に部屋に戻るよ」


「わ、私も疲れたから戻るぞ」


僕と咲はスフィアのただならぬ気配を察知した。そして、その背筋がゾクリとする感覚に冷や汗をかきながらもその場から後退していく。 そうして僕と咲は階段の前たどり着くと全速力で駆け上がり、二階の部屋に避難した。


「なんだとナルゥ! もう一度言いなさい!」


「聞こえてたの!」


ついにスフィアが爆発したようだ。しかしナルも負けてはいないらしい。口喧嘩をする声がはっきりと一階からしてきた。


「な、なあ白河、今日はここで眠らせてくれないか。私にはあの二人の相手は無理だ!」


咲が強張った表情で僕に頼んできた。女の子を部屋に泊めるのはちょっと……でもあの二人と一緒は嫌だろうし……というか危険だ。


「分かった。だけど今夜だけだからね?」


「ありがとう。世話になるぞ」


やれやれ。僕はため息を一つつくと、かばんから博士から貰った通信機を取り出した。そして、師匠と博士に回線を繋ぐ。この通信機は同時に二つの回線を繋げるのだ。その様子を咲は後ろから覗き込んでいる。


『おお白河。わしの方は分析作業は順調だぞ』


『私の方も特に何もないわ。順調に旅を続けてる。勇者は相変わらず不気味だけどね』


二人は元気そうな様子だった。むしろ博士の方に至っては少し声が大きすぎるくらいだ。


『二人とも元気そうで良かった。実はこっちでちょっと困ったことがあって……』


僕は二人に昼間に起きたことを説明した。二人は僕の説明に頷いていたが、その声色もやがて険しいものとなっていた。


『なるほどのう。おそらくクレナリオンを開発したのもそ奴らの仕業だな。本当にやっかいなことだ』


『ただでさえ魔王がいるのに……この先どうしたらいいんだろう』


弱気な僕は頭を抱えて唸る。そこで師匠が話に入ってきた。


『魔王に関してはこちらでなんとかするから、白河はそのアルカデとか言う連中をなんとかしなさい。放っておくとろくでもないことをするわよ』


魔王は何とかするって……。まあそれはいいとし、て師匠が何やら意味ありげに、ろくでもないことをすると言ったように思えた。まるで何かやらかすと分かっているかのようなくちぶりだ。何かアルカデのことを知っているのだろうか?


『師匠、どうして何かやらかすと分かるんですか?』


 僕がそう聞くと、師匠は一瞬間をおいて勿体振る。


『アルカデとか名乗ってるからよ。アルカデって言うのは今から遥か昔に滅びた国だってことは確か教えたわよね?』


『ええ、はい』


『そうよね。でも確か何故アルカデが滅びたまでは教えなかったはずだわ。それを今から話してあげる』


ここから師匠の長い話が始まった。僕は後ろにいた咲を横に座らせると、一緒に静かに話を聞く。


『アルカデというのは非常に文明の発達した国で当時の魔王を滅ぼし、地上に大帝国を築いていたわ。でもそんな国が滅びる原因となったのは一人の科学者のせいなの。名前は確か……ソノ……なんだったっけ? まあいいわ。話を続け』


『ちょっと待ったその科学者の名前はソノラというんじゃないのか!』


咲が突如として師匠の話を遮った。そういえばあいつらドクターソノラ様とか言ってたような気がする。


『そうそうソノラよ。どうして知っているのかしら?』


『いや、連中を率いている奴がそう名乗っているんだ』


 咲の言葉に師匠が呆然とした。しかしさすがは師匠と言うべきかすぐに精神を立て直す。


『うーんまさか本人? ……さすがにそれはないわね。話を続けるわよ。そのソノラという科学者は若くして天才と呼ばれ、名声を欲しいままにしていたわ。だけどそんな彼女にも越えられない存在がたった一つあった。何かわかる?』


たった一つの越えられない存在? 僕にはさっぱりわからないな。そう思っていると博士が小さくつぶやいた。


『神か』


 まさか。それはないだろう。僕がそう思っていると、師匠が僕にとって意外なことを言った。


『ご名答。その通りよ。彼女は神という存在を超えようとして、神に敗れた』


当たり前だ。そんなことできるはずがないだろう。だが天才が当てもなく無謀なことをするだろうか? 僕の頭に嫌な想像が生まれる。


『その結果アルカデは滅びたわ。ただいろいろな話があってね、中にはソノラはまだ生きてるなんて学説もある。もっとも今ソノラとか名乗ってる敵の親玉は偽物だろうと私は思うけどね。話はこれでおしまい。そろそろ遅いし通信切るわよ?』


師匠はそこまで言うと通信をやめようとした。それを僕が止める。


『待ってください。師匠、そのソノラとか言う科学者はどうやって神に挑んだんですか?』


僕がそう尋ねると、師匠は僕の質問に歯切れが悪そうながらも答えてくれた。


『その方法はよく分かっていないわ。資料もほとんどないし、数少ない資料は全部教会が厳重に封印しているもの。ただ私が知っているのは精霊を利用した強力な兵器を造ったということぐらいかしらね。それ以上は知らないわ』


なるほど。もしかしてその兵器とやらを復活させるためにスフィアをさらおうとしたのか?やつらはスフィアを魔族に対抗するための兵器の鍵と言っていたが、実は神を倒すための兵器の鍵なんじゃ……。

 僕はしばし思考の海に沈む。部屋の中が何とも言えない重苦しい空気になった。


『そろそろ通信切るわ。お休みなさい』


『わしもまた調査をせねば。何か分かったら連絡するから待っておれ』


師匠と博士はともに通信を切った。咲はまだ考え込んでいる僕を見て、話しかけてくる。


「白河、そんなに考えても仕方がないぞ。今日はもう寝てまた明日にしよう」


疲れていた僕は咲の提案を受け入れて、身体を洗うとベッドに潜り込んだ。咲もその後に続く。こうして僕らはひとまず眠りについた。 ちなみに僕と咲を見て、翌日スフィアとナルが大騒ぎしたのは想定外だった。



まずは読んでくれてありがとうございます!


 お知らせのことについてなのですが、実はこの小説のタイトルを変えようかと思っているのです。改めて読んでみるとやはり、特徴がなさすぎるので……。

それについてもし新しいタイトルに関して意見などがある読者様は感想やメッセージで作者までお知らせください。参考にさせていただきます。



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