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第三十話 新たな旅! 目的地は伝説の地

ようやく一区切りです。長かった……。

第三十話 新たな旅! 目的地は伝説の地


「うぅ……」


目に白い天井が飛び込んだ。どこだここ……。僕はまだはっきりとしない意識を、無理矢理に覚醒させて起きる。僕はベッドに寝かせられていたようだ。

 あれ、確か僕はエルストイに倒されたんじゃ……。僕は疑問に思い、周囲を見回す。僕のいる部屋は白を基調とした造りで、そこに落ち着いた色合いの高そうな調度品が置かれていた。ここは病院だろうか? だが病院にしては調度品がずいぶん豪華だ。それにだいたいこの世界に病院があるのだろうか?

 僕の疑問が深まったところでドアが開かれた。スフィアが部屋に入ってくる。


「白河、目が覚めたのか! 心配したんだぞ!」


そういってスフィアは僕に抱き着いてきた。僕はスフィアをしっかり抱き留める。そしてスフィアに疑問に思ったことを質問した。


「スフィア、ここはどこ? エルストイはどうなったのさ?」


僕の質問にスフィアは知らないんだったな、というと答えてくれた。


「ここは城の中だ。そして……エルストイは勇者に倒された」


そうか、勇者が倒したのか……。僕は悔しいような、ほっとしたような感情に包まれた。もし、もっと僕に力があったら……。力が欲しい、もっと強くなりたい、そしてみんなを守りたい! まったく子供のような考えだが、僕は純粋にそう思った。


「ど、どうした? 急に叫んだりして。まさかおかしくなったんじゃないよな!」


「大丈夫、大丈夫! 気にしないで」


感情が高ぶるあまり叫んでしまったようだ。なんて恥ずかしいんだ……。

 僕が顔を赤面させていると、部屋に他の仲間たちも入ってきた。ナル、咲、師匠、博士だ。みんな一応元気そうだ。


「やっと目覚めたようね。よしよし、大分回復してるようだし明日には動けるようになりそうね」


 師匠は僕の様子を見て言った。どれくらい寝ていたのかは知らないが、目覚めた翌日に動けるとはさすが魔法だ。回復がなんとも早い。


「これお見舞いなの。たくさん食べて」


「この果物はナルと一緒に街の市場で買って来たんだ。全部食べるんだぞ。白河には健康でいてもらわないといけないからな」


ナルと咲がメロンのような果物を一緒にベッドの脇のテーブルに置いた。メロンのような色と形をしているが、大きさがスイカ並だ。食べきれるかな……?


「そうか、それなら私がこれを白河に食べさせてあげよう」


スフィアがスイカメロン? を切り分けて、僕に差し出した。まさにあーんという感じだ。嫌ではない、嫌ではないんだけど、恥ずかしいよ! 僕がスフィアに自分で食べると言おうとしたら、スフィアがナルと咲に睨みつけられていた。


「抜けがけはダメ」


「そうだ、そういうのは白河の家来の私の仕事だ」


三人は競うようにスイカメロンを僕に差し出してくる。そんなに食べられないよ! 僕は助けを求めて師匠を見た。


「モテる男はつらいわねえ」


やっぱりそう来るか! 師匠はこういう時あてにならないんだから! しかたない、多分ダメだろうけど博士に頼みますか。


「なんだ、助けて欲しそうな目をして。その果物が嫌なのか?でも好き嫌いはいかんぞ。たくさん食べんと強くはなれんからな」


たくさん食べて強くなるってグ〇コじゃないんだから。やはり博士に空気を読んでもらうのは無理だったか……。


「どうしたの? 早く食べる」


「そうだ、そうだ。これが腐ったらどうする」


「まったく……早く食べなさい」


三人が一気に迫ってきた。もうやけだ、全部まとめて食べてやる!

その後、無理に全部食べた僕は腹痛を起こしたことは言うまでもない。


★★★★★★★★


翌朝、僕らは城の食堂で朝食を取っていた。王様の利用する食堂ではなく、兵士などの使う食堂でだ。ちょうど、食事どきのためか、その広い食堂は混み合っていた。


「白河も動けるようになったし、勇者と王様に挨拶を済ませたら今日のうちに城を出てもらうわ」


出てもらう? 僕は師匠の言葉に違和感を覚えた。


「出てもらうってまるで城の人が言うようですね」


となりにいたスフィアが師匠に言う。師匠は苦みばしった顔をすると話を始めた。


「実は私ね、勇者一行に加わることになったの。だから城に残るのよ。本当は断るつもりだったんだけどね……」


師匠は沈黙した。弟子をほうり出すようなことなので心苦しいのだろう。僕もできることなら別れたくはない……。


「師匠、お別れは嫌なの!」


ナルが師匠にしがみついた。師匠はナルの頭を優しく撫でる。


「ごめんなさい、でももう会えないって訳じゃないわ。魔王を倒したらまたいくらでも会えるから」


師匠の言葉に咲が不安げな顔をした。そして師匠に弱々しい声で尋ねる。


「しかし、魔族の強さは異常です。勇者とあなたが一緒とは言え、本当に魔王を倒せるんですか?」


師匠はまっすぐな目で咲を見た。咲は思わず息を飲む。そして師匠は質問に答えた。


「魔族の強さも異常なら勇者の強さも異常だったわ。みんなより一足先に会ったんだけど、本当に気迫がすごかった。彼だけでも魔王を倒せそうなほどだったわ。ただね……」


師匠はそう言って言葉に詰まった。僕らは師匠の顔を覗き込む。師匠は言葉をぽつりぽつりと話を再開した。


「なんて言ったら良いのかしら……。違和感と言うか拒否感と言うか……。とにかくの気配がおかしいのよ。どうにも」


師匠はそこで深呼吸をした。そして大きな声で僕らの名前を呼ぶ。


「だから白河、ナル、咲、スフィア! あなたたち四人にはあるお方のもとで修行を積んでもらうわよ。今のままの強さでは何かあった時に困ってしまうから」


師匠の宣言にスフィアが困惑したような顔をした。


「もう気づいていると思うけれど……。私は精霊よ。だから修行しても……」


スフィアの指摘に師匠はチッチと指を振った。問題ないということだろうか?


「大丈夫、あのお方、オルガ様なら精霊の力も引き出せるから」


オルガ様という言葉が出た途端、博士と僕以外の場の空気が凍った。


「どうした、寒いのか?」


博士にツッコミをする者すらいない。なんだろうオルガ様って。そんなにすごいのかな?


「オルガ様ってあの空中に住んでおられるというあのオルガ様なの?」


 ナルが師匠に向かって言った。不思議な緊張感が僕らの周りを包んでいく。


「ええそうよ」


「そんな、あれは伝説ではないのか?」


何事もないかのように師匠は言ってのけた。それに咲が驚きの声を上げる。驚きのあまり敬語も崩れていた。


「伝説じゃないわ。私は実際にオルガ様の元で修行したんだから」


「ええええぇー!」


師匠の言葉に咲たち三人は凄まじい叫びを上げた。周りにいた他の食堂の利用者たちもこちらを見てくる。


「うるさいのう。そのオルガとか言うやつはそんなにすごいのか?」


いつのまにか話題を掴んでいた博士が耳を抑えながら聞いた。博士と同じく知らない僕も聞き耳を立てる。


「オルガ様というのは神様にこの地上を任された仙人様だ。この世界で神様の次に偉いとされているんだぞ!」


咲がかなりの剣幕で博士に怒鳴った。博士も咲のあまりの迫力にたじろぐ。


「しかしオルガ様はどこにいらっしゃるのだ? 精霊の私でもお会いしたことがないのだが」


師匠はスフィアの質問に唸った。あれ、わからないの?


「わからないわ。オルガ様のおられる浮島は常にあちこち漂っているのだもの。だから世界中を探し回る必要があるわ。そうとわかったら勇者に挨拶してさっさと出発なさい! 時間はないのよ!」


「ふむ、ならわしはクレナリオンの残骸を分析することにしよう。ほれ、これを持っていけ。通信機だ。これさえあれば世界中どこに居ても連絡を取れるぞ」


博士は携帯のような物をみんなに手渡した。説明書のような物もついている。みんなに対する配慮だろう。なかなか博士にしては気がきいている。


「それじゃあ、勇者と王様に挨拶をしてきますね。行ってきます!」


僕はそういって師匠と博士に手を振った。師匠たちも振り返してくる。

こうしてオルガ様の浮島を目指した僕らの長い旅が始まろうとしていた……。



実は今回が過去最長です。読んでくださってありがとう!

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