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第二十三話 強運の正体!

また次回からシリアスパートに戻ります。

第二十三話 強運の正体!


ナルの放った雷は一直線にジェシカに向かった。

しかしどこからか盾が飛んで来て雷を防いだ。ナルは唇を噛み締めて唸る。


「ますますおかしいの。何かある」


ナルはジェシカを舐めるように見回した。ナルの鋭い視線にジェシカは身をよじり、いやんいやんと言うポーズをする。


「お姉さんをそんなに見ちゃって……。もしかして私のことが好きなのかしら?」


ナルはジェシカのいつもよりさらに強調された胸にムッとしたが、気を取り直してジェシカの姿を見続ける。

その時、ナルの近くからかすかな物音が聞こえた。しかし、ジェシカの観察に集中しすぎているナルは気がつかない。


「何かいる?」


物音に気づいた師匠はナルの近くのある一点を睨みつけた。そしてそこを指差して叫ぶ。


「ナル、あなたの近くに何かいるわよ!」


ナルは師匠の言葉に従い、氷の魔法を使った。魔法のツララが複数飛んでいく。


「痛!」


何もないところから悲鳴が聞こえた! 誰かいる、目に見えない誰かが!


「くう、見えないの」


ナルは姿の見えない何者かに苛立ちを隠せない。苛立ったナルは無我夢中で魔法を放ち始める。


「ナル、落ち着くんだ! 敵の気配を感じろ!」


咲はナルにアドバイスをする。咲の必死のアドバイスにナルは魔法を一時中断して神経を集中し始める。だが、それをジェシカが妨害し始めた。


「お姉さんを無視しちゃだーめ」


ジェシカはナルに執拗な攻撃を仕掛けてくる。ナルはジェシカの鞭を容易くかわせる実力がある。ただし、目に見えない何者かがジェシカを援護しているため本来容易くかわせる攻撃もかわすことができない。


「見えるようにさえできれば勝ちなのに……」


ナルは見えない敵に舌打ちしながらつぶやいた。

 そう、実は見えない敵を見えるようにできればこの戦いは勝ちなのである。

大陸最強武道会は、二人一組での参加など認めていないからだ。

ナルは見えない敵に対する対策をジェシカと戦いながらも考える。

しばらくしてナルの足が止まった。

さらにナルは身体の前に杖を突き出す。

さらにナルは杖を振り、水魔法を使った。滝のような雨が舞台の上に降り注いでいく。

舞台が水浸しになったところでナルは風魔法も使う。舞台の近くで砂が巻き上げられた。砂を巻き上げた風はそのまま舞台の上で砂嵐となる。


「見えるようになったぞ!」


咲が叫んだ。咲の視線の先には人の形をした泥の固まりがあった。砂嵐が収まると舞台の上に泥だらけの人型が出現したのだ。

その人型はジェシカの方を向くと申し訳なさそうに頭を下げる。


「姐御、すいやせん! ばれちまいました」


人型はそういうと足早に舞台の上から逃げ出した。舞台の上には茫然としたジェシカが取り残されている。


「ジェシカ選手、あれはどういうことなのですか?」


舞台の上に現れた司会者はジェシカを問い詰める。観客席の観客たちもジェシカに激しいブーイングを始めた。会場の雰囲気にジェシカは笑ってごまかそうとする。


「あはは、これには深い訳があるの。許してくれない?」


ジェシカは甘ったるい声をだして司会者に懇願する。だが司会者はそれをきっぱりと断った。


「ダメです。規則は規則ですから。どんなに頼んでもダメなものはダメです」


ジェシカは司会者のその言葉を聞くと司会者にしなだれかかり、さらに甘い言葉を投げかける。


「ねえ、もし今のこと許してくれるなら私を好きにしても……いいのよ?」


司会者は顔を赤らめたが再びはっきりと拒絶した。

ジェシカの方も意地なのかまた似たようなことを言う。そして司会者もまた断る。このようなやりとりしばらく続いた。

そしてついに一人取り残されたようになったナルが二人のやりとりに飽きて一人遊びを始めた頃、ジェシカの化けの皮が剥がれた。


「さっきから聞いてればダメの一点張りじゃない。この私が好きにして良いっていってんのよ。それに応じないなんてあんた男なの? ありえないでしょ」


ジェシカはそう吐き捨てると舞台の上からさっていった。会場になんとも表現しがたい沈黙が訪れる。


「白河、あんな女にだけはひっかかっちゃダメなの」


「ああ、いくら見た目が良くてもああいう性格はダメだと私も思うぞ」


ナルと咲がしみじみとした表情で僕の方を見てきた。失礼だな、僕にも人を見る目くらいありますよ!


「二人とも、僕はあんなのにはひっかかりませんよ」


僕は真面目な顔をして言い切った。でも二人は疑わしげな顔をする。


「どうだか。白河は胸さえ大きければどんな女にもついていきそうなの!」


「私もそんな気がするな……」


二人とも僕をどんなエロ男だと思ってるんだ!

 僕が心の中で叫んだ時、師匠が僕らに告げた。


「白河のことはいいとして、私はこれから次の試合にそなえて控え室の端で瞑想をするわ。だからしばらくの間は話かけないでね」


僕とナルの間に緊張が走った。瞑想とは集中し、魔力を高めるために行うことだ。そして普通、師匠くらいの魔法使いは使わない。その必要がほとんどの場合ないからだ。よって、師匠が瞑想をすると言うことはそれだけ次の試合の相手が強いと言うことなのだ。

僕らは師匠の対戦相手に対する警戒に対して、気味の悪さを感じたが師匠に続いて控え室へと戻って行った……。

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