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第二十一話 殺戮マシンは止まらない!

敵キャラの強さがうまく表現できたか不安です……。

第二十一話 殺戮マシンは止まらない!


あの咲の衝撃発言の後、控え室に師匠や博士たちが来ていた。


「なんだと、お前が白河の家来だと……」


スフィアが咲の発言をナルに聞かされて凍りついていた。一方、咲は勝ち誇ったような表情をしている。その後ろで博士が不思議な顔をしていた。


「別に白河に家来が出来ても良いじゃないか。ただしその白河はわしの助手だからな」


スフィアとナルが同時に顔を赤く染めて博士に力一杯反論をした。


「ダメ!」


博士は二人の剣幕に変な連中だな、と首を捻るとその場から離れていった。

博士が離れると咲が二人に笑いながら話かけた。二人は咲を睨みつける。


「そんな顔をしないでくれ。私はあくまで家来になるのであって、恋人になるわけじゃないんだから。もっとも白河が私と付き合いたいとどうしても言うなら……か、考えてやらんでもないぞ」


咲がこっちを見て頬をほんのり桜色に染めた。スフィアは納得したような顔になったが、ナルはまだ険しい顔をしている。


「怪しい、怪しすぎるの……。でも証拠がないから今、そう今のところは、認めるの」


ナルは今のところはと言う部分を一段と強調して言うと咲を一瞥した。そしてようやく顔を緩める。


「そろそろ試合のようね。観客席に行くわよ」


他の選手の様子を見ていた師匠が言う。その視線の先ではクレナリオンが音もなく立ち上がっていた。

それを見た僕らは師匠に続いて観客席に向かった。


★★★★★★★★


「お待たせしました! 準々決勝第二試合、クレナリオン選手対カーチス選手です! 先の試合で恐るべき力を見せつけたクレナリオン選手。彼を我らがダタール帝国騎士団長にして、優勝候補筆頭のカーチス選手は止められるのでしょうかぁー! それでは試合開始です!」


試合が開始された。隣に座っている師匠が肉食動物のような獰猛な笑みを浮かべてつぶやく。


「さてさて、どんな力を見せてくれるのかしら?」


師匠のつぶやきが終わったところで、カーチスが動いた。

カーチスの姿が消え、空気を切る金属的な音が響く。

 カーチスはいきなりクレナリオンの目の前に現れた。クレナリオンはカーチスのスピードに対応できていない。カーチスの剣は無防備なクレナリオンの腹に炸裂した。金属同士がぶつかり合う、耳を引っかくような嫌な音がした。

 カーチスが三人、いやもっとたくさんかな? とにかくたくさんに増えた。たくさんのカーチスはクレナリオンに次々と容赦なく攻撃を叩き込んでいく。機関銃が打ちっぱなしにされたような音が会場を包んだ。


「あのクレナリオンを圧倒してるの……」


後ろにいたナルが思わず言った。他の観客たちや咲にスフィアそれに博士も茫然として見ている。

そんな中、師匠が青ざめた顔をして叫び出す。


「違う、違うわよ! 良く見なさい、クレナリオンはまったくダメージを受けていないわ!」


師匠の言葉を聞いた博士が、銀色の長い望遠鏡のようなものを取り出した。そして思いきり叫ぶ。


「本当だ。損傷率ゼロとわしの機械に表示されておる!」


損傷率ゼロ? あんな攻撃を受けているのに? 博士と師匠の言葉を信じることのできなかった僕らはクレナリオンをさらに注視した。

確かにクレナリオンの着ている薄っぺらい灰色の服は、切れ目一つ入ってはいなかった。博士と師匠の言ったことは本当だったのか……。そう思ったところでカーチスの動きが止まった。カーチスの人数も減っていき、すぐに一人に戻る。


「何故、何故だ! どうして攻撃が効かないんだ!」


カーチスは舞台に剣をぶつけると天を仰いで叫ぶ。

クレナリオンは嫌みな笑みを浮かべながら、カーチスに向かって高らかに話を始める。


「ハハハ、私ハ自分ノ身体ノ回リニ強力ナバリアヲ張ルコトガデキルノダ。貴様ノ攻撃程度デハ私ニ触レルコトスラデキナイ」


クレナリオンの言葉にカーチスは凍った。だが、すぐに距離を取り剣を上に突き上げる。しばらくしてカーチスの剣の周りに魔力が集まってきた。


「あれは魔法剣か? どうやらカーチスは何か大技を撃つつもりらしいぞ!」


咲が剣士らしくカーチスの行動の目的にいち早く気づいた。そして姿勢を低くくして衝撃に備えようとする。僕らもそれに続いて姿勢を低くくした。


「はあぁ! サンダーブレークゥー!」


カーチスの剣先から三本の稲妻が飛び出した。三本の稲妻は途中でまとまって渦をまきはじめる。

そして螺旋状になった稲妻はクレナリオンを襲う。クレナリオンから、舞台全体に稲妻が走り抜けた。稲妻は十秒ほども持続すると徐々に小さくなり消え始めた。最後に消えそうになった稲妻は再び激しくスパークした。

そのあまりの光量に僕は目を閉じた……。

目を開けると舞台の上には蜘蛛の巣のように焼け焦げた跡ができていた。クレナリオンはその中心で悠然とたたずんでいる。その身体に傷一つついた様子はない。

それを見たカーチスは剣を放り投げた。


「今のは私の最高の技だ。あれでダメージを与えられないなら私に君は倒せない。君の勝ちだ」


クレナリオンは意外そうな表情をすると満足げな表情になった。


「潔イ人間ダ。良イタロウ、降参ヲ認メテヤロウ」


クレナリオンがそういうと司会者がまたどこからか現れ宣言した。


「決まったぁー!クレナリオン選手の勝利です! 優勝候補筆頭のカーチス選手はまさかの準々決勝敗退となってしまいました! 今回の大陸最強武道会は波乱の展開です。誰かがクレナリオン選手を破るのでしょうか? はたまたクレナリオン選手がこのまま優勝してしまうのてしょうか? このあとの展開が非常に気になるところです!」


司会者が叫ぶと会場が熱気に包まれた。だが僕の周りは冷たい空気がただようのだった……。

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