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第一話 旅立ち

 電波が飛んで来て書きました。

駄作ですが読んで下さるとありがたいです。

第一話 旅立ち


僕は解雇された。

もともと小さな運送会社で働いていたがリストラされたのだ。

二十歳にもなって実家の世話になるのも気が引けて、夜の街を歩く。


「異世界調査の人員募集中? 秋葉科学研究所? 本当かなあ」


僕はビルの壁に張られたおかし過ぎるチラシに目を止めた。目を疑いたくなる内容だ。ありえない。でも貴重な求人広告だ。今を逃したら職にありつけないかもしれない。とりあえず僕はチラシに書かれていた住所に向かうことにした。


-----------


チラシの住所に行くと古い洋館が建っていた。大正とかそういう時代の建物といった感じだ。


「すいませーん。チラシ見て来ましたー」


呼び鈴を鳴らすと中から白髪の老人が出て来た。もじゃもじゃ頭で背は低め。目つきが鋭く気難しそうだ。


「このスーパー科学者秋葉文明になんのようだ?」


老人は実に不機嫌そうな顔をした。僕は何も悪いことしてないのにな。というか自分で自分をスーパーって言ったよこの人。ある意味尊敬出来そうだ。


「求人広告見て来ました。ここが秋葉研究所ですよね」


「おお、求人広告を見て来たのか。てっきり役所の人間がわしに苦情を言いに来たのかと思ってな。すまんすまん」


秋葉さんは頭をかくと、僕を研究所の中に招き入れた。

研究所の中は外観通りレトロな感じで、その中に未来的なデザインの研究機材らしきものが置かれている。


「さっそく君に仕事の説明をしよう。まず君は異世界を信じるかね」


居間のような部屋のソファーに腰かけた秋葉さんが、うれしそうに話かけて来た。ずいぶんせっかちなようだ。


「一応、まあ」


信じているわけではなかったが当たり障りのない返事をしておいた。


「そうか! 今まで誰も信じてくれなかったからな! 感動した!」


僕が秋葉さんのテンションに圧倒されている間に、秋葉さんは機関銃のように話続けた。


「信じているなら話は早い。君の仕事はわしと共に異世界の調査をすることだ。君はこの間の電波障害のことは覚えておるかな? わしはあれが異世界からの干渉によるものだと考えた!」


なんという珍説。太陽活動が原因ではなかったのか。


「そしてわしは異世界への入口を作ることに成功したぁ!」


拳を振り上げ秋葉さんはシャウトする。耳に響いて大変だ。


「説明よし! それでは調査に出かけるぞ!」


「え、待って下さい秋葉さん!」


 秋葉さんはいきなり部屋から飛び出して行こうとした。僕は慌てて止める。


「秋葉さんではない!博士と呼ぶんだ助手A!」


「僕には白河 輝彦って名前があります!ってそういう問題じゃなーい!」


秋葉さん、訂正、博士は怪しい階段を下り地下へと向かった。僕は全速力でそれを追う。


「ふふふ、これがわしの開発したスーパー異世界トリップくんだ。これは量子テレポートの理論を応用したもので……」


博士は大きな装置の前で立ち止まり、難しい説明を始めた。僕にはよくわからない。暇なので装置の観察をすることにする。装置は銀色のリングのような形のものと四角い箱のような形のものがたくさんのコードで繋がっている。大きさはリングが大人一人余裕で通れるくらいで箱の方は大きめの箪笥くらいだろうか。


「……というのがこの装置の説明だ。理解できたか?」


博士が説明を終えたようで僕に話を振ってきた。


「ええ、なんとか」


「では出発するぞ!」


「ちょっとタンマ! 準備しないで良いんですか!?」


博士は小さな巾着袋を自慢げに取り出した。


「ははは! 荷物ならこの無限巾着に入っておるわ! では次元の果てへ、さあ行くぞ!」


博士は装置につけられていた赤いボタンを老人とは思えぬ気合いとともに押した。

装置が轟音を立てて建物が揺れ始めるやがてリングの内側が七色にきらめいた。すると視界が白くなり、僕の意識は飛んだ。


★★★★★★


「大丈夫か。おい!」


僕は博士に起こされた。辺りをゆっくり見回す。

大人が抱えられそうもないほどの巨木の群れにひんやり心地好い清浄な空気。本当に僕は異世界に来てしまったようだ……。

 なんてことだ。せめて友人たちに挨拶ぐらいしたかった。

 もっとも信じてくれなかっただろうが。


「ふむ、気がついたか。それにしても深い森だな。街へ行きたいのだが……近くに誰もおらんようだ。仕方ない、このレーダーで探そうかの」


博士はパラボラアンテナのような形のレーダーを取り出した。

おかしいな。僕はそう思った。今さっき、木の影に女の人を見たような気がしたのだ。僕はもう一度辺りを良く見回す。いたいた、民族衣装のような服を着た女の人だ。


「博士、あっちに人がいますよ。あの人に街までの道を聞いたらどうですか?」


博士は僕の指差した方角を見た。博士は怪訝な顔をする。


「なんじゃ、誰もおらんではないか」


おかしい、確かにいるではないか。博士は老眼なのだろうか。それにしても限度がある。

女の人はどんどん接近してきた。綺麗な人だ。目鼻立ちがはっきりしていて風を孕んだ黄金色の髪がすばらしい。体型もメリハリがきいていて理想的なバランスだ。


「博士! 目の前にいるじゃないですか!」


女の人はついに博士の目の前まで来た。それにも関わらず博士はレーダーを手に唸っている。まさかあの女の人は幽霊なのか。嫌な考えが頭を過ぎったとき、彼女が言葉を発した。


「私が見えるのか?」

それがこの世界で初めての出会いだった。

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