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第十三話 半端じゃない! 最強魔法!

連日投稿できなかった……。すいません


第十三話 半端じゃない! 最強魔法!


修行開始から早一ヶ月半が経った。もはやランニングは習慣となった。今日もそのランニングを終えると家に人が訪ねてきていた。冒険組合の赤い制服を着た女性だ。


「この依頼を受けていただけませんか? 今この街にいるSランクはあなただけなんです!」


女性はかなり切羽詰まった様子で師匠に依頼書を見せていた。何か緊急の高ランク依頼でもあったのだろうか?


「困ったわね、今、私は弟子がいてその修行中なのよ。だからその依頼は……あ、お帰り」


師匠は僕らが帰ってきたことに気がついた。すぐに僕らは師匠に走り寄る。


「何があったんですか?」


「何があったの?」


僕とナルは同時に師匠に聞いた。師匠は困ったような顔をして依頼書を僕らに見せてくれた。

依頼書にはスノードラゴン討伐、報酬百万ルーツと書いてあった。ドラゴン討伐! すごい依頼だ。内容からするとかなり高ランクの依頼だろうか。


「これどれくらいのランクの依頼なんですか?」


師匠は少し呆れたような顔をした。ナルも両手を上に上げやれやれといった表情になる。


「スノードラゴンは雪山の主と言われる魔物。その討伐なら当然Sランクなの」


ナルが勝ち誇ったように言う。師匠も若干軽蔑したような目で僕を見て、ため息をついた。僕は異世界人だからわからないんです!なんて言えたら良いなと思った。


「あの、それで結局引き受けてはいただけるんですか?」


制服の女性が師匠に再度尋ねる。師匠は僕とナルに視線を向けた。


「白河、ナル、あなたたちランクは?」


冒険者のランクで良いのだろうか? そう思ったときナルが師匠に言った。


「私はDランクなの」


やっぱり冒険者のランクなのか。僕は少し自慢げに師匠に言う。


「僕はCランクです」


ナルが悔しそうにこっちを見た。僕は大きく胸を張った。ナルは顔をほんのり赤くして、さらに視線に力を込めてきた。

師匠は僕らの様子を見て額に手を当ててまた、ため息をつく。


「何を低レベルな争いしてるのよ……。まあ良いわ。この子たち連れて行って良いなら依頼を引き受けるわよ。どう?」


女性は考え込む仕種をすると、師匠に返事をした。


「我々としてはそれでも構いませんが、チェリスさんは大丈夫なんですか?」


師匠は胸を叩き、余裕たっぷりに答える。


「あなたちゃんと私のこと調べたの? どうせ、この間組合に行った時に知ったぐらいでしょう? こう見えても私はドラゴン討伐のエキスパートよ。任せなさい!」


師匠の自信に、女性は心配そうにしながらも帰って行った。


「急いで準備するわよ。目的地は雪山だから、それに応じた準備をしなさい」


こうして僕らは雪山へドラゴン討伐に向かうことになった。


★★★★★★★★


吹雪の吹き荒れる雪山を僕らはゆっくりと歩いていた。


「ほう、かなりの大物ね」


先頭を歩いていた師匠が遠くを指差す。師匠の指差した場所はそこだけ雪がなく、かわりに白い巨体が横たわっていた。周囲の巨岩に比べても圧倒的に大きい体は辺りに積もった雪と同じ色をしていたが、独特の息が詰まるような存在感を放っていた。


「恐い……」


ナルは真っ青な顔をして声を震えさせた。僕は声すら出なかった。ドラゴンとはこんなにも恐ろしい存在なのか。


「これくらいで驚いてちゃだめよ。私の知ってる百年前の大陸最強武道会の出場者は人間だったけどこれくらいの威圧感出してたわよ」


師匠は僕らを下がらせるとドラゴンに向かって行った……。


師匠に気づいたドラゴンは山を揺るがすような咆哮を上げた。

師匠は咆哮を上げたドラゴンに真っ向から突っ込んだ。ドラゴンは師匠を倒すべく鋭い爪を振るう。轟音とともに迫る爪を師匠は空中に跳んでかわし、そのままドラゴンの前足を足場にして空高く舞い上がる。師匠の周りに幾つもの炎の球が発生し、ドラゴンに向けて殺到する。

顔のすぐ目の前からの攻撃にドラゴンはたまらず前足をめちゃくちゃに振り回した。当たりの岩などが軒並み吹っ飛ぶ。


「ウィンドカッター!」


僕はナルの頭上に飛んできた岩を魔法で細かく切り刻む。するとナルはこっちを見つめてきた。


「ありがとう……」


「お互い様だよ。それよりもあれ、やばいんじゃ……」


僕はドラゴンを指差した。牙と牙の隙間から青く輝く光が漏れている。膨大な魔力がそこに集まっているのは未熟な僕にすら良くわかる。


「ブレス攻撃!」


ナルが叫ぶと、ドラゴンの口から光の球が飛び出した。球は口から出ると一瞬で巨大化して師匠を飲み込むかのように襲い掛かる。まずい! そう思う瞬間、師匠は球の表面を滑るように動いた。うまくシールドを張って受け流したようだ。


「うわぁぁ!」


ドラゴンのブレスが山にぶつかり山が地震のように揺れた。ナルが僕のコートにしがみついて来る。しかし師匠とドラゴンは地面の揺れなどお構いなしに戦い続ける。


「これで終わりよ」


師匠はブレスの後で口を全開まで開けていたドラゴンに、杖の先から雷をぶつけた。

稲妻が大気を貫きドラゴンの無防備な口の中に命中する。

ドラゴンは空気を爆発させるような叫びを上げた。だがさすがは雪山の主と呼ばれるだけある。なんとドラゴンは改めて口に魔力をため、雷を押し返したのだ。


「なかなか。あれを使いますか」


師匠はドラゴンの底力に軽く驚くと呪文の詠唱を始めた。師匠はほとんどの攻撃魔法を無詠唱で使える。詠唱すると言うことは大魔法を使う合図だ。


「あれはまさか……」


ナルはそういって地面に伏せた。僕もナルに続いて何が起こるのかわからなかったが伏せた。


「SAGDANJAD……」


詠唱を続ける師匠の足元が光り、魔法陣が幾つも発生した。それらは師匠の前で重なり合い、金色の神秘の輝きを放つ。周囲からそれらに向かって魔力が流れ込み始めた。師匠は杖を地面に突き立て、呪文の最後の一文を唱える。


「ADGPG……スペクトル・アタッカァーー!」


水の塊のような無色透明な魔力の塊が勢いよく放たれた。それは魔法陣をくぐり抜ける度に色が加わり、やがて七色に輝く光の球となる。その七色の光の球は美しい光の軌道を空にを描くと、ドラゴンに吸い込まれるかのようにぶつかった。

辺りに途方もない量の光の嵐が襲い掛かかった……。



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