第十話 最強魔法使いに弟子入り?
新キャラが二人も登場します!
第十話 最強魔法使いに弟子入り?
僕はリーナさんに教えてもらった魔法使い、チェリスさんの家へと向かっていた。
「この森の奥か……」
僕の目の前には鬱蒼と茂る森が広がっていた。いかにも魔法使いが好みそうな感じの不気味な森だ。チェリスさんって人を襲う魔女とかじゃないよね? 僕は不安に感じながらも森の中に入って行った。
しばらく進んだところで後ろから足音がしてきた。僕は荷物を降ろして、剣を構える。足音はだんだんと近づいてきた。冷や汗が流れる。
「あなた誰?」
後ろから現れたのは小柄な少女だった。流れる銀色の髪に、雪のような白く透き通る肌、涼しげな青い瞳が魅力的な少女だ。彼女は黒いローブを着て大きなリュックを背負っている。
「僕は白河、この先に住んでいるチェリスさんのところに行こうとしているんだ。弟子入りしようと思ってね」
「私と同じ。一緒に行く?」
少女は良く澄んだ鈴のような声で聞いて来た。嬉しそうな声とは裏腹に、顔はあまり変化していない。表情の乏しい少女だな、と思った。だが、その表情の乏しさが少女の神秘性を増しているようにも思う。
「良いよ。一緒に行こうか」
僕が荷物を再び背負うと少女がくっついて来た。
「私の名前はナル。よろしく」
スフィア、これは浮気じゃないからな! 僕は心の中でスフィアに断りを入れると歩き始めた。
★★★★★★★★
僕はナルと話をしながら森の奥へと進んでいた。
「そういえば、チェリスさんってどんな魔法使いなのかな。僕はSランクの魔法使いだってことぐらいしか知らないけど……。ナルは知ってる?」
ナルは僕の質問に微妙に間を空けた後、答えてくれた。
「弟子入りするのに……。私が少し教えてあげる」
ナルは若干呆れたように話し始めた。
「百年前、ブラックドラゴンがこの大陸で暴れていたの。そのブラックドラゴンは特別な個体でね、英雄と呼ばれる人が何人も挑んだけど倒せなくて、ついに討伐不可能とまで言われていたの。そのころ冒険者として活躍していたチェリス様はブラックドラゴンに戦いを挑んだわ。そしてブラックドラゴンを最強魔法で一撃で倒してしまったの! その後、古代魔法に傾倒したチェリス様はその研究をするために、今はこの森に家を建てて暮らしているそうなの。
かれこれ五十年は森から出ていないらしいわ。その間にみんなに忘れられてしまったの。だから今では知る人ぞ知る伝説の人よ」
ドラゴンを一撃とは……! あれ、でも百年前って言うことは死んでいるんじゃないか?
「百年前ドラゴンを倒したなら今は百歳超えてるよね? 死んでいるんじゃないのかな?」
「チェリス様はブラックドラゴンを倒した時にその血を全身に浴びたらしいの。ドラゴンの血には老化を遅らせる効果があるわ。だから生きてるはずなの」
ナルはチェリスが生きてることに自信があるようだ。僕としても死んでいたら困るのだけど……。
少々不安になりながらも僕とナルは歩き続けた。
それから三十分ほど歩いたところで視界が開けた。森の中にしては立派な古い家が見える。ようやく目的地に着いたみたいだ!
家の前にいくと僕はドアをゆっくりと開いた。
「お客さん? 何十年ぶりかしら」
奇っ怪なオブジェの飾られた玄関の奥から物音がしてきた。そして中から女の人が出て来た。肩まで届く黒髪と意志の強そうな漆黒の瞳の人だ。この人がチェリスさんなのだろうか? 二十代ぐらいにしか見えないぞ。とても百歳超えてるようには見えない。僕が言葉を失っているとナルが僕に代わって質問した。
「あなたがチェリス様なの?」
ナルの問い掛けに女の人は胸を張って答える。胸が揺れたのが気になったのはスフィアには秘密だ。
「いかにも! 私が世界最強の魔法使い、チェリスよ!」
この人、博士と同じ雰囲気だ! やばい!
ナルはそんな僕の心の内に気づくことなく話を進める。
「やっぱりなの。私たちはチェリス様のご高名を聞いて、弟子入りを希望して来たの!」
チェリスさんは顎に手を当て、ぶつぶつつぶやきはじめる。
「今は弟子もいないし、この子たち魔力大きいし……。男の方はへんな加護も受けてるみたいね……。うーん……」
チェリスさんはしばらくすると僕らの目を真剣な眼差しで見つめてきた。
「あなたたち、過酷な修行に耐えられる? 私の修行はきついわよ」
僕とナルはほぼ同じ答えを返した。
「頑張ります!」
「頑張るの!」
僕とナルの答えにチェリスさんは満足そうな顔をした。
「二人とも名前は?」
「白河です」
「ナルです」
チェリスさんは着ていたローブの中からメモ帳を取り出すと二人の名前をメモした。
「よし、今日から二人は私の弟子よ。明日から修行するから頑張りなさい! あと、私のことはこれから師匠と呼ぶように!」
チェリスさん改め師匠の宣言によって僕とナルの長く厳しい修行が始まったのだった。
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