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1-7 風を追う者

黑稻相癸です。第七話――第一章、最後の一回です。


コラは、目的を果たしました。

活霊草を持ち帰ったのです。


でも、物語はまだ始まったばかり。


第一章の結末、どうぞ最後までお付き合いください。

 最初にあたしの匂いを嗅ぎつけたのは、夜番の若い猟師タルだった。


「コラ?!」


 彼の声が、踏み折られた枝のように静かな黄昏に炸裂し、隣で居眠りしていたもう一人の見張りが椅子から転げ落ちそうになった。


「コラが帰ってきた――!」


 そこからの出来事は、予告なしの嵐のようだった。天幕の帳が次々に捲り上げられ、族人たちが堰を切ったように溢れ出てくる。老人、若者、半分の焼き肉を担いだ料理番、腕に幼子を抱えた母――全員があたしに向かって駆けてきた。


 族長の阿伽流は人だかりの一番後ろに立ち、両手を胸の前で重ね、動かなかった。だがあたしにはその目が見えた。あの年老いた、風雪に刻まれた目が、篝火の照り返しの中でかすかに潤んでいた。


「一ヶ月」彼の声は安定していた。だがあたしが発つ前よりずっと老いていた。


「痩せたな」


「おじいちゃんは?」あたしは挨拶を省き、背中の布袋を解いた。


「連れて行って」


 阿伽流の表情がわずかに変わった。一拍の間あたしを見つめ、それから背を向けて先導した。


 おじいちゃんの天幕には草薬と獣脂が混ざった沈んだ匂いが漂っていた。厚い獣皮の敷布の上に横たわるおじいちゃんは、あたしが発った時よりまた一回り痩せていた。頬骨が突き出て、皮膚のあの異常な灰緑色がさらに濃くなっている。だがまだ生きている。胸がかすかに上下していた。燃え尽きかけの油灯のように。


 瀬丹花(セニカ)おばあちゃんが枕元に跪き、何度煎じたかもわからない普通の草薬湯を握りしめていた。あたしを見た瞬間、老いた体がびくりと震えた。


「お嬢……」


 あたしは何も言わなかった。布袋を開き、あの活霊草をおばあちゃんの前に並べた。


 天幕の中が静まった。


 瀬丹花の手が宙で止まった。皺だらけの手がかすかに震え、鼻翼がひくひくと動いた。


「この匂い……」声がかすれてほとんど聞こえない。


「これは……ありえない……」


「活霊草」あたしは言った。「七株。根ごと」


 そして布袋の中の他のものも一つずつ並べた。銀毛草、冰脈苔、広葉羊歯、星脈花。一つ出すごとに、瀬丹花の目が一回り大きくなった。最後には、七十歳を超えたこの老草薬師が小さな女の子のように草薬の山の前に跪き、震える両手で一株の活霊草を持ち上げ鼻先に寄せた。


「野生のものじゃない……これは……育てられたもの……霊気がこれほど濃いなんて、いったいどこで……」


「地竜島」あたしは静かに言った。


 天幕の中の空気が凝固した。


 あたしは活霊草を瀬丹花に託した。研磨、抽出、配合の比率。彼女の手つきは速く確かだった。半時辰とかからず、清冽な涼気を発する翠緑色の薬湯がおじいちゃんの前に運ばれた。


 その夜、おじいちゃんは最初の一碗の活霊草湯を飲んだ。


 部族に、一ヶ月ぶりに最も大きな篝火が上がった。


            ◇


 おじいちゃんの変化は翌朝から始まった。


 起きたのだ。以前のような朦朧とした半覚醒ではなく、本当に目を開けて、澄んだ目で天幕の中の一人一人を見回した。


「水」


 彼が口にした最初の一語で、瀬丹花はその場で泣き崩れた。


 夕方には、身を起こして湯を飲めるようになっていた。皮膚のあの異常な灰緑色が少しずつ褪せ始めている。見えない布で誰かがゆっくりと拭い取っているかのように。


「継続して飲ませなきゃ」あたしは瀬丹花に言った。


「少なくとも一ヶ月。あと六株あるから、足りる」


            ◇


 亜倫は部族に二日間留まった。


 どの天幕にも泊まらなかった。毎晩、部族の外れのあの古い刺棘樹の根元にもたれ、海水と泥と血でもう原形を留めない黒い外套にくるまって目を閉じていた。本当に眠ったことがあるのかどうか、あたしにはわからない。


 だが昼間の亜倫に、あたしは少し違うものを見た。


 初日の午後、三人の小さな獣人の子供が彼の周りをぐるぐる回っていた。四歳の毛むくじゃらの女の子が彼の外套の裾を離さず、二人の男の子が彼の前にしゃがみ込み、好奇心に満ちた大きな目で腰のあの永遠に一杯にならない古い背嚢を見つめている。


 部族の近くに来る人間たち――商人、冒険者、たまに通りかかる旅人――は、獣人の幼子に対してたいてい無視するか、微妙な居心地悪さを見せる。歩く小動物を見ているかのような目で。


 亜倫は違った。


 彼はしゃがみ込み、背嚢から石を一つ取り出した。普通の石ではない。滑らかに磨かれた、淡い紋様の入った丸石だ。それを手の甲に載せ、軽く弾くと、石が指の関節の上を跳ねて転がった。まるで生きているように。


 小さな獣人たちの目が輝いた。


「教えて教えて!」外套を掴んでいた女の子が手を離し、自分のぷっくりした前脚を差し出した。


「手首の力を抜け」亜倫の声は、あたしが聞いたどの時よりも柔らかかった。


「弾くんじゃない。指先で押す。こうやって――」


 彼は女の子の前脚を握り、丸まった指を一本ずつ開いて、石を指の節に載せてバランスを取る方法を教えた。何度試しても石は地面に落ちたが、亜倫はそのたびに辛抱強く拾い上げ、また彼女の前脚に載せた。


 あたしは天幕の柱にもたれてその光景を見ていた。尻尾が無意識にゆらゆら揺れていた。


 この人……


 泥沼の大鰐をあしらい、恐魚に乗り、暴風の中で船首に立って一歩も退かなかった人が、今は泥の中にしゃがんで四歳の毛玉に石遊びを教えている。


 奇妙な光景だった。だが、とても美しかった。


            ◇


 三日目の早朝、天幕の外で背嚢をまとめている亜倫に出くわした。


 この瞬間が来ることは、とっくにわかっていた。


「行くの?」あたしは訊いた。自分で予想したよりも穏やかな語調だった。


「ああ」彼は背嚢の留め金を締め、立ち上がった。朝の光が彼の影を長く引いていた。


「どこへ?」


「北」彼は空の端を見た。


「ずっと北だ。砕石丘陵を越えて、翠緑高地を抜けて、さらに北へ。雪が見える場所まで歩く。そこにとても高い山がある」


「どれくらい?」


「数ヶ月。もっとかかるかもしれない。道中で何に出くわすかによる」


 彼は少し間を置き、あたしを見た。あの目には誘いもなければ拒絶もない。ただ静かな待機があるだけ。


 答えをもう知っているくせに、あたし自身の口から言うのを待っているかのように。


 あたしは自分の手を見下ろした。掌の恐魚の縄が刻んだ傷痕はもう癒えて、薄い白い筋が数本残るだけ。足裏の繭が一層厚くなった。肩は日焼けで皮が剥けたが、もう新しい皮膚が生えている。


 一ヶ月前のコラは部族を離れなかっただろう。


 だが一ヶ月前のコラは、恐魚に乗ったことも、巨竜の脊背を踏んだことも、深海の嵐の中でマストにしがみついて一晩耐え抜いたこともなかった。


「一緒に行く」


 迷わなかった。


 亜倫が数秒あたしを見つめた。それから口角がわずかに動いた。笑みではない。笑みより淡く、だが笑みより真実の、何か。


「荷物は?」


「とっくにまとめてある」


 嘘ではない。昨夜、おじいちゃんが三度目の活霊草湯を飲み終えた後、あたしは荷造りを始めていた。一袋の干し肉、一本の皮剥ぎ小刀、一巻きの包帯、何瓶かの基本薬剤、採薬の小鏟、そして地竜島の草薬がたっぷり入ったあの布袋。


 前回の出発より一つだけ多いもの――経験。


 あたしはおじいちゃんに会いに行った。


 彼は寝台に座り、獣皮の背当てにもたれ、骨湯の碗を両手で抱えていた。皮膚の色は大半が戻り、目もだいぶ澄んでいた。


「行くよ」あたしは枕元にしゃがんだ。


「あの人間と?」おじいちゃんが湯を一口啜った。


「うん」


「どれくらい?」


「わからない。長いと思う」


 おじいちゃんはしばらく黙った。碗を置き、痩せてはいるがもう震えなくなった手で、あたしの頭を撫でた。


「毛が前より太くなったな」彼は言った。


「いいことだ」


「おじいちゃん、あたし、風を追いに行くよ」


「ああ」彼は碗を持ち直し、湯を飲み続けた。


「風が強い時は、耳を伏せるのを忘れるなよ」


 あたしは笑った。立ち上がって、彼の額に鼻先をそっと触れた。あたしたちの一族の、最も親しい別れの作法。


 天幕を出ると、もう空はすっかり明るかった。何人かの早起きの猟師があたしの背中の荷物を見たが、誰も止めなかったし、どこに行くのかも訊かなかった。阿伽流が中央の天幕の入り口に立ち、朝茶の碗を手に、遠くからあたしに小さく頷いた。


 あの頷きの中に、すべてがあった。


 亜倫は部族の外の草地で待っていた。背嚢は肩に載せ、木の簪が髪をきちんと束ねている。朝風が外套の裾を翻し、その下の、海水と泥で幾度洗われても不思議なほど清潔な麻衣が覗いた。


「準備はいいか?」彼が訊いた。


「何度も訊いてるね」あたしは彼の傍に並び、肩紐を直した。


「答えはいつも同じだよ」


 彼が北に向かって歩き出した。あたしはその後について行った。


 背後で、毛皮の歌の炊煙が朝風の中にゆっくりと散っていく。


 振り返らなかった。


 見たくないからではない。見る必要がないからだ。あの天幕も、あの篝火も、あの匂いも、消えはしない。ずっとあそこであたしを待っている。おじいちゃんの碗の中の骨湯のように、いつだって温かい。


 前方の草原が朝日の中に広がっていた。金色の長い草が風にうねり、果てのない海のように。


 あたしの耳が北に向いた。そこには風があり、道があり、あたしにはまだ嗅ぎ取れない、遠い場所の匂いがある。


 今度は、風を追いに行くんじゃない。


 あたしが、風だ。

第一章「竜島の薬を求めて」、完結です。

ここまで読んでくださった皆さん、本当にありがとうございます。


一つ、聞かせてください。


コラは自分の力で阿公を救いました。

泥沼を這い、塩の平原を越え、嵐の海を耐え、恐魚の背に爪を立て——

たった一袋の薬のために、全部やり遂げた。


皆さんはどうですか?

最近の困難、乗り越えられましたか?


まだ戦っている最中なら——それだけで、もう十分すごいことです。

もし限界が近いと感じたら、どうか一人で抱え込まないでください。

感想欄でも、どこでもいい。声に出してみてください。

実質的な助けにはなれないかもしれません。でも、私も、ここにいる読者の皆さんも、あなたの味方です。


——次回、第二章「北行漫記」

第一節「草海と轍の跡」


新しい道が、北に向かって伸びています。

どうか、お楽しみに。


黑稻相癸

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