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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

独旅 ― 獣人の少女コラと、終わらない旅人アーロンの物語 ―

作者:黑稻相癸
最新エピソード掲載日:2026/03/20
2026年 ファンタジー文学新作

「この世の中、生きて歩きたけりゃ、ちょっと多めに『調味料』を仕込んでおくもんだ」

コラの鼻は嘘をつかない。毛皮の歌の部族に生まれた獣人の少女——風の中から血の気配と危険を嗅ぎ分け、嘘の汗酸さを二十歩先から見抜く。十九年間、マングローブの潮汐と部族の焚き火が彼女の世界のすべてだった——おじいちゃんの病が、伝説の地竜の脊にしか生えぬ薬草を必要とするまでは。

採薬の途中、沼の獣に呑み込まれかけたその瞬間——アーロンと名乗る人間の旅人が樹上から舞い降り、辛味粉の爆弾ひとつで六メートルの頂点捕食者を嗚咽させて追い払った。そして言った。あの島への道を知っている、と。

血が流れていても、心拍は振り子のように揺るがない。傷口が裂けていても、表情はまるで今夜の夕飯の話でもしているかのよう。コラは彼の背を追うことに決めた。

灼熱の白い塩原から深海の竜の脊まで。雪に閉ざされた矮人の城塞から、精霊の千年巨木に織りなされた生きた建築まで——この旅はコラの想像をはるかに超えて広大で、はるかに超えて残酷だった。行く先々の都市には秘密が潜み、微笑みの裏には打算が隠れ、そしてあの飄々とした旅人の身体からは、どんなに鋭い鼻でも嗅ぎ切れない匂いが漂っている——恐怖よりも深い何か。悲しみよりも久しい何か。

道は長い。ひとりで歩き通す定めの旅人も、いる。

※作者は台湾出身で、原作は中国語版です。
日本の友人と共有するため、作者自身が日本語に翻訳しています。

もし表現に不自然な点などがありましたら、
ぜひ感想欄で教えていただけると嬉しいです。
皆様のご意見が、この物語をより良いものにしてくれると思っています。
1-1 潮の間の影
2026/03/04 11:40
1-2 毛皮の歌
2026/03/04 11:50
1-4 波と錆
2026/03/04 14:18
1-5 脊の上の森
2026/03/04 14:25
1-6 帰路
2026/03/04 15:07
1-7 風を追う者
2026/03/04 15:30
2-1 草海と轍の跡
2026/03/05 21:09
2-2 歯車と狼群
2026/03/06 19:52
2-3 飢えた山の背
2026/03/08 18:00
2-4 沸騰する翡翠
2026/03/09 18:00
2-5 石腹
2026/03/10 18:00
2-6 石の頭の街
2026/03/11 20:00
3-2 炉火と閑日
2026/03/13 20:00
3-3 下山の道
2026/03/14 20:00
3-4 林影と豹
2026/03/15 20:00
3-5 空の陰影
2026/03/16 20:00
3-6 灰燼と負債
2026/03/18 00:06
4-1 巨杉の果て
2026/03/18 20:00
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