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第8話 王の呼び出しと余計な仕事

毎日18時に投稿します。お読みいただければ幸いです。

 赤いバラ団の皆さんを救ったついでに町を救った後、僕たちはフローリアに戻ってきました。赤いバラ団の皆さんは冒険者ギルドからの依頼で、町に残って復興の手伝いをするとのことです。

 僕達には、アンコーナのギルド支部長から後で何らかの褒賞をすると約束してくれました。まあ、赤いバラ団の皆さんを救うのが主目的だったので期待しないで待ちましょう。

 あっ、でもいいことがありました。プリシラさんから結婚の申し込みに承諾をもらえたことです。お爺様も二人を妻にすることに了承をもらえたと言っていました。


 大学の試験の方ですが、全学部合格しました。神学科、政治科、魔法科、戦士科の四つ供です。その後の理解度テストで、政治科は卒業レベルだと認定され、一学期分の学費を支払えば、卒業だそうです。

 魔法科も卒業レベルと判定され、研究生のような形で残るよう勧められました。学費がタダで、魔法書が読み放題と言うことなので了解ししまた。

 戦士科も学科は合格です。実技は剣を取ったので、実技だけ訓練に参加すれば良いそうです。

 神学科が一番難しく、前期履修分は何とかクリアしたのですが、中期履修分はかなり難しく、この学科をメインに通うこととなりました。

 

 剣は全くの初めてなので、授業のほか、お爺様にも訓練を付けてもらいました。

 学校の剣の先生は元騎士団の幹部だった方らしく、とにかく実戦で身につけろというタイプの先生でした。

 先生は生徒たちにかかってくるように言い、生徒たちをどんどん凪ぎなおしていきました。僕も最初はダメでしたが、お爺様から教わって、どんどん実力を身に着けていきました。

 そのうち互角に戦えるようになりました。おそらく知識、技能を身に着けるスピードが人より1000倍速くなる女神の特典が役に立っているのでしょう。


 神学は聖書の判読と各種は儀式の練習です。聖書は重要なもので信者でも10冊は読んでおくべきで、神学を志すものであれば司祭クラスでも120冊は覚えておかなくてはならないとのことです。

 聖書を読み、儀式の練習に明け暮れました。やはり1000倍速くなる特典が聞いているのでしょう。かなりのスピードで学ぶことができています。


 ある時、お爺様と僕宛てにエリトリアの王宮から手紙が来ました。王宮に参内するようにとの命令でした。

 まあ、王様からの命令では仕方がありません。

 二人とも、礼服を着て、王宮を尋ねました。

 お爺様はパランク王国伯爵の服装、僕は王子の服装で行きました。

 乗り物も貴族用の馬車を借りて、正門に乗りつけました。

 

 門番は僕らの服装を見てぎょっとしていました。そりゃそうでしょう、平民が来ると侮っていたら、正式な祭礼服を着た者が現れたのですから。

 僕たちはそのまま謁見の間に通されました。

 謁見の間の役人は僕らを見下した口調で、平伏して待つよう言いました。

 普通、外国の貴族が王に謁見する場合、立って待ち、王が入場すると貴族の礼をして、挨拶するのが通例となっています。

 僕は思わずお爺様の顔を見ました。

 お爺様はにやにやしながらその役人に声をかけました。

 「お尋ねしてよろしいでしょうか。謁見の間を任されるとは、大変な名誉なことだと思います。さぞかし、名門の方だと推察いたしますが、お名前をお教えいただけないでしょうか」

 役人は偉ぶって「ふん、本当はお前らごとき平民と口もききたくないが、その殊勝な態度に免じて教えてやろう。わしはストレイ・ナポリ男爵だ。名門ナポリ伯爵の一族の一人だ。わしの顔を見れたことを一生の幸運だと思え」

 「ええ、絶対に忘れません」とお爺様言い、平伏しました。僕はどういうやり取りなのかよくわからないまま、合わせて平伏しました。


 2人で平伏していると、呼び出し役の貴族が「エトルリア国王ペルセウス三世陛下のお成り」と言った後、王がやってきました。

 「苦しゅうない。面を上げよ」と王が言ったので、少し頭を上げました。

 王はお爺様の顔を見て、少し首をかしげました。

 「そなたたちがアンコーナの町を救った者か」と尋ねられたので、お爺様が「その通りでございます。陛下」と言ってニヤリとしました。

 「こ奴らは嘘を言っているのです。町を救ったのは領主である私、アンコーナ伯爵でございます。このような平民の戯言に惑わされてはなりません」一人の男が顔を真っ赤にして、口から泡を飛ばしながら叫んでいました。


 「そなたたちの名前を聞いてはおらなかったが、名は何と申す」と王が尋ねたので、お爺様が「パランク王国プルターク前伯爵ジョン・プルタークでございます」と言いました。

 陛下は少し変な顔をして、はっとした顔をしました。

 「パランク王国第一王子にして、ジョン・プルタークの孫のフィリップ・プルターク・パランクでございます」続けて自己紹介をしました。


 王はすぐに立ち上がり、「隣国の王家の方に膝まずかせるなど大変申し訳ないことをした。プルターク前伯爵殿も申し訳ない。このような無礼な態度を取らせたものに厳罰を与えなくてはならない。だれだ、このような無礼なことを両名にさせたのは」と激怒していました。

 「ストレイ・ナポリ男爵様だそうです。この国では、いつの間にか男爵が隣国の伯爵や王子より偉くなったとは知りませんでした」とお爺様は言いました。

 謁見の間の役人は、顔を青くして何か言おうと口をパクパクさせています。

 「あの男か、衛兵、奴を連れ出して牢屋に入れておけ。後で処罰する」

 「王よ、私の話を聞いてください」役人は泣きながら訴えました。

 「さっき言ったでしょう。顔を絶対に忘れないと。我々にした態度、すべて王にお話させてもらうからな」とお爺様は冷たい顔で役人に言いました。

 「お慈悲を、お慈悲を」と言いながら引きずられていきました。


 「さて、アンコーナ伯爵だったか、わしらのことを嘘つき呼ばわりしたな。それ相応の報いは受けてもらうぞ」とお爺様は言いました。

 アンコーナ伯爵は「いや、これは何かの間違いで……」と言いつくろっていましたが、王に「アンコーナ伯爵、おまえが領地を捨てて逃げてきたことはすでに調査済みだ。現地のギルドマスターからも報告をもらっている。また、現地に派遣した調査官もその旨確認している。更に、おまえ仮にも隣国の上級貴族と王族に対して、何たる無礼な口の利き方、追手処分を下すのでしばらく謹慎をしておくように」と言って、僕たち二人に「詫びがしたい。私の私室に来てくれ」と言って、立ち去りました。

 アンコーナ伯爵は顔が真っ青です。他国の貴族と王族に暴言を吐いたのです。一つ間違えれば宣戦布告と同じことを王の許しも得ずに勝手にやったのです。この場合、悪ければ当主一家は全員死刑、財産没収の上、家名断絶という刑が待っています。

 更に領地からの勝手な逃亡の罪と、どう考えても詰みの状態です。


 アンコーナ伯爵は僕たちに泣いてすがりました。「本当に申し訳ない、何も知らなかったのです。どうかお許しください、お願いいたします」

 お爺様は憮然とした態度で、「貴殿がもし王族の供で外国に赴いたとき、あのように罵倒を浴びせられたら、どうするのが正解か」と尋ねました。

 「本当に申し訳ございません。お許しください」泣きながら謝っています。

 「私は答えを聞いているのだが」お爺様は冷たく言い放ちました。

 伯爵は苦しそうに言いました。

 「罵倒した貴族の処理、それがかなえられなかった場合は宣戦布告としてとらえ、開戦を進言いたします」と伯爵は苦しそうに言った。

 「まあ、そういうことだな」そう言って立ち去りました。

 伯爵は泣き叫んでお爺様の名前を叫んで許しを請うていました。


 王の私室に案内され、部屋に通されました。

 「王よ、お久しぶりです」お爺様は頭を下げました。王は寄ってきて、「ジョン、本当に久しぶりだな、そなたが国を出てから30年にはなろうか。隣国で伯爵位を手に入れ、活躍していると聞いていた。あと、此度のアンコーナの件、誠に感謝する」王は肩を抱いてお爺様に話しかけていた。

 「お爺様、王とお知り合いなのですか」

 「わしが学校に通っていた時の同級生でな。わしはいわゆる王の取り巻きの一人だったのだよ」とお爺様は言った。

 「この少年はそなたの孫か」王は尋ねたので、「私の娘が王に側室として上がり産んだ子でございます」とお爺様は言った。

 「フィリップと申します。よろしくお願いいたします」と頭を下げた。

 「此度はアンコーナの防衛、よくぞやってくれた。その年で大活躍だと聞いたぞ」

 「いいえ、私自身はさほどのことはございません。すべて祖父の力によるものでございます」と言ったら、「ほう」と言って、興味深そうに僕を見つめていました。


 「時にジョン、一つ仕事を頼まれてくれないか」王は言いました。

 「すでに私は隣国で爵位を得た身、この国に関わるのはあまり得策ではないかと」

 王は悲しそうに言いました。「この国には、わしの手足となって働いてくれるものがいないうえ、内憂外患を抱え、いつ滅んでも不思議ではない状態なのだ」と言いました。


 「腹を割って話そう。今この国はサロ侯爵が率いる北部とブリンディジ侯爵が率いる南部で対立している。わしの正妻も2家からきており、ともに男子を挙げており、王位をねらっておる。東の南スロベニア王国は北エトルリアとアドリア海の独占を狙っておるし、南のシケリア王国は南エトルリアへの領土的野心を隠してはおらず、侵攻のチャンスを虎視眈々と狙っている。今回のアンコーナの海賊も南スロベニアの偽海賊どもだ。奴らは、海軍が海賊に偽装して、海賊行為をアドリア海で行っておる」そう言って、王はお爺様を見つめました。


 「この国は3つの侯爵家が王家を頭にして、お互いがけん制しあうことで成り立っていた国だ。その一つが無くなったことで、二つの侯爵家が相争うようになった。お前がアッピア侯爵家を継いでわしの手足となってくれたら、こんな事態にはならなかっただろう。お前は優秀だった。学生自体から将来は宰相となってこの国を支える人材だと言われていた。そのため、正妻の子だったお前の弟はことさらお前に嫉妬していた。ところがお前は弟と争うのが嫌で逃げた。弟は憎い兄に地位を譲られたとひどいコンプレックスを持ち続けた。そこにお前は実力だけで、隣国の伯爵になり、国境を守る重要な役目についた。それに比べて自分は、となってしまったのだろう。無謀なクーデターを起こしたのもそのせいではないか」

 お爺様は何も言いませんでした。


 しばらくして、お爺様は王に尋ねました。

 「私目に何をさせたいのでしょうか」

 「海賊どもを退治してほしい。我が国には、まともな海軍がない。あったとしてもブリンディジ侯爵が持つ私設海軍で、王命により動かすのは難しい。例え無理に命じたとしてもきちんと働くかどうか、逆にブリンディジ侯爵の恨みを買って、下手をするとわしの首が飛んでしまう。そこでお前に頼むのだ」

 「しかし、私が動かせる船はございませんが」

 「正直私にもうつ手立てはわからない。どうすればいいのかお前に頼るしかないのだ」王は悲しそうに言った。

 お爺様は私の方を見て、「何とかなるか?」と聞いてきた。

 お爺様の旧友の頼みだし、これで褒美をたくさんもらって、エトルリアに土地をもらってプリシラさんと二人仲良く暮らすというのもありかな、と少しよこしまな気持ちをもって「何とかします」と言いました。

 王は大変喜び、「成功の暁には十分な褒美を約束しよう」と言ってくれました。

 さあ、がんばりましょう。


お読みいただきありがとうございました。もし少しでも気になりましたら星かブックマークをいただければ大変ありがたいです。

星一ついただければ大変感謝です。ブックマークをいただけたら大大感謝です。ぜひとも評価お願いいたします。


一応1章分は書き上げているので、ブックマークが外されない限り投稿します。


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