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第16話 フィリップたちの戦い

毎日18時に投稿しています。お読みいただければ幸いです。

 王より、キシリアでの戦いが終わり次第、お爺様達の救援に向かうよう命令がありました。

 「どうする?北へ軍を連れて行くのか?」ジェームズは尋ねました。

 「いいや、別の作戦をとる」そう言って地図を見せました。

ジェームズのほか、プリシラさんとリーニャさんも一緒です。

 「まず、ブロチェに上陸する。ここを速やかに占領後、直ちに土魔法使い、水魔法使いたちを使い、鉄の車を走らせる線路を作り、サラエボに侵攻、王宮を占拠し、王族、貴族を捕らえ撤退する」僕が言うと、皆呆れたように「そんなの無理に決まっているじゃない。サラエボからブロチェまでの間に巨大な山脈があるのよ。そこに鉄の車を通す線路を作るって、無茶に決まっているわ」リーニャさんは言いました。

 「それがそうでもない。川を使えば比較的サラエボまでの山道を整備しやすい。川を凍結させ、その上に線路を作る。山には穴をあけて通す。谷は山にトンネルを掘った時に出てくる湧き水を使って、氷の橋を作る。行けそうだろ?」

 「作ったとしても、それではそんなにもたないわよ。第一魔法使いや工事のための労働力を雇うためのお金はどうするの?」リーニャさんは再び言いました。

 「シケリアの国庫から出す。金に糸目は着けない。とにかく王家を捕らえてしまえば、この戦争は終わる。南スロベニアは王家がいなくなったら、王家に不満を持つ貴族たちが蜂起し内戦状態になる可能性がある。また、外国からの侵攻もありうる。それを避けるためにも、早期の講和を相手方から求めてくるだろう。そうなればこちらの勝利だ」と言って、僕はニヤリと笑いました。


 「フィル、かっこいい」プリシラさんは言いました。

 「フィルが言うのだから、その作戦で行こう。俺はフィルについていくよ」ジェームズは言いました。

 ジェームズのその言葉に僕は感動しました。「ジム、お前が頼りだ」思わず言いました。

 ジェームズは照れたように「俺に任せろ」とそっぽを向いて言いました。

 プリシラさんとリーニャさんは2人でこそこそと「これって友情?」「なんかそれ以上のものを感じるのだけど」と言って、各々自分の夫の腕に抱き着きました。


 僕らは水魔法使いと土魔法使い、風魔法使いを片っ端から雇いました。通常の三倍の手当てを約束して集めました。資金源はシケリアの国庫です。

 彼ら彼女らを船に乗せて一路ブロチェに向かい、陸兵を上陸させブロチェを占領しました。抵抗はほとんどありませんでした。

 さて、これから道路工事です。魔法使いたちを使い大工事の始まりです。僕らは敵の首都サラエボまでの道を作っていきました。

 24時間3交代で工事を行い、さらに、同時に工事が進められるよう遠隔地には風魔法使いを使って、工事を受け持つ魔法使いと警備兵を送りました。

 土魔法使いは、ゴーレムを作っては谷に落とし山にトンネルを作り、谷を埋めていきました。水魔法使いは川を凍らせ、谷に氷の橋をかけていきました。

 

 道は5日で完成しました。魔法使いと警備兵はそのまま現地に残留させ、維持管理を命じました。さて、われわれは一路的首都に向かって出発です。

 1000名以上の兵が鉄の車に乗り、突入開始です。風魔法使い数名を乗せ、車の姿勢管理をさせます。

 鉄の車は氷の道を走り、トンネルをくぐり、氷の橋を通り敵の首都に突入しました。

 首都の近くからは敵の整備した街道を使い、車を進めていきます。

 警笛を鳴らしながら走りました。街道を歩いている人はその警笛に驚き、道を外れて逃げていきました。一部、立派な馬車に乗った人たちは避けようとしなかったのでそのまま吹っ飛ばしました。


 首都の門の側に来たので、乗っている兵士たちに注意を促しました。皆、車に取り付けているベルトを締め、ショックに耐えられるように体制を取りました。

 首都の門は空いていましたので、そのまま突っ込みました。そのまま王城に向かいます。

 警笛は鳴らしっぱなしです。

 市民たちはみな逃げている様子です。警備兵たちは手を挙げて制止するよう指示を出していましたが、そのまま吹っ飛ばしました。戦争ですからね。

 王城の門を突き破り、城に突っ込みました。

 城の内部まで入りこんだ我々は、直ちに城内に展開、目的は王やその家族、貴族たちを捕らえることです。

 また、同時に王宮周辺の大貴族たちの邸宅も襲撃して、家族を捕虜にしました。当然めぼしい財産も没収です。

 

 僕は事前にもう一つ手を打っていました。たくさんの冒険者たちを雇って、先に町に潜入させていました。僕が空中に大きな火の玉を打ち上げると行動開始の約束になっています。

 彼らは直ちに、我々侵攻軍では手が回らないであろう中小貴族の屋敷に押し入り、家族たちを捕虜にすることになっています。ちなみに屋敷の物は略奪自由としてあります。

 そいつら信用できるのかだって?

 まあ、何人かは警備兵に僕が指示した火の玉が空中に上がったら中小貴族の屋敷を襲撃するようにという命令を受けたことを申告したようですが、王が兵士として冒険者を集めていたため、たくさんの冒険者が首都に集まっていて僕の依頼を受けた門が誰かを判別することが難しかったことと、貴族の屋敷には警備兵もおり簡単に襲撃するは困難だと思われていたことから、報奨金目当てのデマの可能性が疑われ、更に対応が面倒くさい警備責任者は申し出た冒険者を捕らえて、処分することでこの件を終わらせたようです。


 実際には、雇われた冒険者が貴族の屋敷を襲ったら、おこぼれをもらおうと裏社会の人間も参加してきて、更に税に苦しめられている市民も復讐と実益を兼ねて参加してきました。

 襲ってきた冒険者たちに恐れをなした警備兵は逃げ出すものが続出し、屋敷には冒険者や市民たちがなだれ込み、あらゆるものを奪っていきました。

 貴族の家族たちはきちんと捕らえられた者は幸運な方で、男はなぶり殺しにされ、妻や娘はレイプされて殺されるものが続出しました。


 城内に進入した僕らは城内の人間を片っ端から人を捕らえていきました。近隣の大貴族の家から捕らえた連中も一緒に集めました。着飾った貴婦人や娘たち、子供たちが捕らえられ、彼らは縛って謁見の場に集めておきました。

 「私は王妃よ、この扱いに抗議します。直ちに縄をほどきなさい」という女がいたので、うなだれている別の捕虜にあいつ誰だと聞いたところ、王のお気に入りの妃だそうです。正妃かと聞いたらそうではないというので、そのうるさい女の前に行きました。「あんた私が誰だかわかっているの、直ちに」叫ぶ言葉を無視して首をはねました。

 

「わしを誰だと思っている。この国の王だぞ」と叫びながら連行されてくる男が来たので、その男の前に立って、「あんたが王か」と聞くと、「貴様、無礼にもほどがあるぞ。名を何という。絶対ただでは置かぬぞ」と喚くので、往復びんたを与えました。

 あと、十発ほど蹴って黙ったところで、回復薬を使って傷を治し、今度は拳固でぼこぼこにしました。

 さらに回復薬を使い、鉄の棒や鞭で痛めつけ、また回復薬を使って回復させることを7、8回も繰り返すと、「お願いだもう許してくれ」と土下座してきました。

 もう軽く一回痛めつけて、黙らせた後、捕虜たちを列車に運びました。

 兵のうち、200ほどを連れ、捕虜の監視に当てながら一路ブロチェに向かいます。

 捕虜たちを下した後、再びブロチェからサラエボに向かいました。

 冒険者から貴族の捕虜たちが届けられ、それらを乗せて、また、兵士300名とともにブロチェニ戻りました。

 サラエボに戻り、兵士たちが集めた書類や財宝を時空魔法で収納した後、残った兵たちを収容しました。冒険者たちも載せて、帰路の旅に着きました。

 余裕があったので、施設の維持管理で置いていた魔法使いや警備兵も回収しながらブロチェに向かい、すべて回収が終わると一路船で、エトルリアに向かいました。


 王たちを捕虜にしたことは、直ぐに前線に伝えられました。

 お爺様はこのことを積極的に敵に宣伝しました。拡声魔法を使えるものを使って、大声で宣伝したそうです。

 敵は動揺を抑えるべく、「敵の謀略だ」として前線の維持を図ろうとしました。

 しかし、王都が襲われ、王城も貴族の屋敷も襲われたことはすぐに前線の指揮官たちにも知らされました。特に動揺したのは王都から来た軍団です。

 軍団幹部は貴族で、王都に家族を残している者ばかりだったからです。

 

 指揮官たちの会議は紛糾しました。このまま前線を維持するより、直ちに王都に戻るべきという意見が大勢を占めました。

 軍は撤退していきました。


 お爺様は追撃をしませんでした。とりあえず、お爺様達は一旦王都に戻りました。

 

 僕はお爺様と王に会い、南スロベニアの王と講和を結ぶべきと主張しました。

 王は承諾して、内容を打ち合わせました。

 こちらの条件はこうです。

 北部州全部とリエカ市、スプリト市及び周辺の島嶼の割譲、賠償金200億ブッシュの支払い、南スロベニアでの自由商業権、アドリア海のエトルリア占有を認めること、その代わり、賠償金は10年払い、一回の支払いにつき、捕虜を10分の1づつ返還する。

 また今回、お互いに奪った財宝や文物はお互いに請求しないことを約束しました。

 賠償金の支払いやその他条約を破った場合、捕虜の命は保証しない旨も伝えました。

 

 南スロベニアの王はこの条件を突きつけられ、最初何か言おうとしましたが、僕の顔を見て震えあがり、「呑みます。この条件でいいです」と言ったので、拳を握った手を上にあげたら、「この条件で喜んで条約を結ばせていただきます。どうかお願いいたします」と床に頭をこすりつけながら哀願してきました。


 講和は成立しました。王と大臣級の職を務めていた貴族は帰国が認められました。家族はそのまま人質です。

 国に帰った王はこの条約を国内に発表し、戦争の終結を宣言しました。


お爺様は軍を率いて、北部地域とリエカ市に進駐しました。リエカ市周辺の島嶼も占拠しました。

 僕はスプリト市とその周辺を占領しました。

 そして賠償金の一回目の支払いもすまされました。南スロベニアの国家予算は大体50億ブッシュぐらいなので、その4割を徴収することになります。

 南スロベニアが迅速に降伏したので、内乱は起きずに済みました。

 

 戦争は完全に終わったとみていいみたいです。


お読みいただきありがとうございました。もし少しでも気になりましたら星かブックマークをいただければ大変ありがたいです。

星一ついただければ大変感謝です。ブックマークをいただけたら大大感謝です。ぜひとも評価お願いいたします。


申し訳ありません。もうしばらく続けさせてください。

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