第14話 シケリアでの戦い
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僕たちは、やってきた軍団と合流し、またブリンディジにこもっていた残存兵も併せて指揮下に治めました。
南エリトリアの敵は一掃できました。
二人の軍団長は「アッピア伯爵様、これからどういたします?」聞いてきたので、「当然、この侵略の元凶を絶たなくてはならないでしょう」と言ったら、驚いて「どうやってせめるのですか」と聞いてきました。
ターラントを落としたことで、そこにいたシケリア海軍の主力を拿捕、シケリアは東部が面しているイオニア海の制海権を失いました。そのかわり、アッピア海軍がイオニア海に展開しており、シケリア東部は丸裸の状態でした。
僕は手持ちの兵力を二手に分け、シケリアの重要都市カタニアとシラクサに兵を上陸させました。シケリア軍の南部エリトリアでの敗戦について情報を得てなかったのでしょう、残余の艦艇と都市の守備隊は油断していたらしく、我々の上陸を阻止できず、町もあっさり我々の手に落ちました。
ジェームスがいると便利です。僕だけだと二正面作戦は難しいところを、彼も指揮官としてはかなり使えるので、もう一方を任しておくことができます。まあ、年齢的にも能力的にもまだ未熟なので下準備は必要ですが。
次に攻めるは、敵の王のいるパレルモです。パレルモにいる海軍は健在なので、その北にあるティレニア海はまだシケリアの支配下にあります。
また、カタニアからパレルモを責めるのが、距離的には良いが山岳地域が多く、敵の待ち伏せ攻撃に会いやすいです。また、兵を広く展開するのが難しく、味方の各個撃破を許すことになってしまいます。
なので、長距離移動だが、シラクサから南を回り、西からパレルモを攻める方法をとることにしました。しかし、カタニアからの陽動もあったほうが良いと思いました。
なのでジェームズと相談し、シケリアとの戦いで日和見をしていた南部エリトリアの小貴族たちを集めて、選択を迫りました。
カタニアからパレルモを責める先陣を務め功績を立てるか、裏切り者として、爵位はく奪、財産没収の上追放が良いかを選ばせました。
全員が先陣を務めることを選択しました。
まあ、見事敵を突破し、パレルモに攻め込んだものは、陞爵の上、領土を与えることを約束しましたから、そちらにつられたものもいたかもしれません。
彼らを先陣にして、後方にはアッピア領軍とターラント・ブリンディジ残存軍団を配置しました。
アッピア領軍は我々に忠誠を誓っているし、ターラント・ブリンディジ残存軍団は彼らを見捨てた貴族たちを恨んでいたので、彼らに同情し、使い捨てにすることを拒む奴はいないでしょう。
僕は一個軍団を率いてシラクサから一路西に向かいました。プリシラさんも一緒です。
南部に大きな都市はなく、進撃は快調でした。南部の領主たちのうち何人か反抗した者がいましたが、プリシラさんが「私に任せて」と言って、敵の陣地に乗り込み、話し合いだけで降伏させました。残りの領主たちは恭順の意を示し、食料等の補給を認めました。
南部一帯の平定が目的と彼らには話をしておきました。
おそらく情報はシケリアに筒抜けですが、南部平定を信じてくれれば、あっちはカタニアからの進攻軍への防衛に集中するでしょう。
未来予想でも、現状は問題なさそうです。まあ、人間は自分に都合のいい情報を信じやすいからね。
軍団はみな馬車に乗って移動しました。後ろから風魔法で押してあげることで馬の疲労を減少させ、長距離の移動を可能としました。
さて、西の端、トラバニの街に着きました。名目上の終着点です。
さて、これからが勝負です。
その町で一日休んだ後、急いで東進します。鉄の車の再登場です。500名の兵をもって、敵が油断している隙に一路シラクサに向かいました。朝出発して、昼頃シラクサに着きました。
シラクサに到着した時、敵は東から来ると思い、まだ時間があると判断していたのでしょうか、城門は空いており、見張も少数でした。我々が急に現れたことであわてて城門を閉めようとしましたが、その城門を突き破って町侵入、王の居城まで突っ込みました。王の居城に突っ込むと、直ちに王とその家族、城内にいた貴族たちを捉えました。事前に城の構造を把握するよう、捕虜や投降貴族たちに聞いて、城内の構造や様子を確認しておいたのが役に立ちました。
王城を抑えたのち、港湾部を直ちに占拠、艦艇を拿捕し、乗員たちを捕虜にしました。
シラクサ内にいた守備隊は王を人質に取られたためか、それとも混乱のためか、動きが鈍く、一当てしたら半分以上が降伏しました。
その間に夕方には、軍団の騎兵隊が到着、翌朝には残りの軍団も到着しました。シラクサ市内で残存兵による小規模な戦闘がありましたが、昼前には町を完全に占拠しました。
奇襲は成功です。シラクサの街と王家や高位の貴族たちを捕虜することができました。
ジェームズ率いるカタニアから進んだ軍は、山の中腹で会敵しました。敵は堅固な陣地を建設しており、攻め込んでくるジェームズ達を撃退しました。
魔法の攻撃をお互いした後、槍や矢による攻撃を行い、決死隊による力押しで何とか敵の陣地を破ることができました。
ところがしばらく進むと山頂付近でまた、再び陣地が敷かれていました。かなり強固に陣地で攻め込んでもこちらの犠牲者が増えるばかりで、全く歯が立ちません。
何日か膠着状態が続いた後で、突然敵に動きがありました。
陣地を捨て後退する動きがみられました。
これ幸いとばかりに再び猛攻撃をかけました。
敵はあわてて陣地防衛に全力を注ぐも軍自体が浮足立っていたのでしょう。ジェームズ達は敵の陣地を打ち破り、敵は敗走していきました。
ジェームズ達はこれを追撃し、ついには降伏に追い込みました。
しばらくして使者が来て、パレルモが陥落し、王族たちも捕虜にしたことを知らされました。
シケリア王国は事実上滅亡しました。
なお、南のカルタゴにはシラクサの植民地が存在しており、そこは王の末弟が代官を務めていましたが、本国の陥落を知り、降伏してきました。
僕とエリトリアに忠誠を誓うので、そのまま代官を務めさせました。
南部は完全に平定しました。
とりあえず南部の統治です。王に土地は渡すのですが、その前に、旧シケリア軍はアッピア軍に吸収しました。すでにターラント・プリンディジの海軍は吸収しており、逃げ出していたシケリア海軍の一部を除いてアッピア海軍の強化に役立てました。
逃亡した海軍の一部は、海賊になったようです。いずれ討伐しなければなりません。
王に勝利の報告し、兵士たちに休息と十分な娯楽を与え、この後の命令を待ちました。
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