第11話 おおらかな伯爵家と二人の修羅場
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伯爵邸に着くと、皆が勢ぞろいしていました。
「父上もフィルも元気そうで何よりです」
「本当にそうですわ」伯父夫婦がニコニコと迎えてくれました。
その時おばあ様がつかつかと来て、「ジョン、あなたのお相手は誰なの」と凄みのある笑顔で聞いてきました。
「ああ、紹介するよ、ジュリアとリンダだ。仲良くしてほしい」お爺様はこわばった笑顔で言いました。
「あなたちょっと来てくれるかしら。あっジュリアさんとリンダさんもご一緒に」と二人には笑顔で言って、お爺様の手をつかんで屋敷の中に入っていきました。
「お爺様ご武運を」と心の中で呟きながら、僕はいとこたちの方に向かいました。
「ジェームズひさしぶり」僕はいとこに声を掛けました。
「おう、フィル元気そうだな、というか嫁さんまで捕まえてきてすごいな!お前の嫁さんはどっち……」その時、ジェームズとリーニャさんの目が合いました。
なんか雷が落ちたような衝撃がありました。
「かわいい……」リーニャさんはつぶやきました。
「可憐だ……」ジェームズは思わずという感じで声に出していました。
「フィル、まさかお前の恋人は子の方なのか」青ざめた表情で、僕に向かって言いました。
「いや、僕の恋人はこの人だよ」とプリシラさんを紹介しました。
「プリシラです。よろしく」プリシラは緊張しながら挨拶した。
「プリシラ、こいつは僕のいとこで幼馴染のジェームズ。この伯爵家の跡取りだよ」と紹介すると、「プリシラさんよろしくお願いします」と型通りの挨拶をした後、「おい、この方の紹介をしてくれ」とリーニャさんの方を示しながら、僕をつついてきました。
「この人はリーニャさん、プリシラたちと同じパーティメンバーで……」と紹介を始めたら、ずいとリーニャさんのところへ行き、「初めてお目にかかります。ジェームズと申します」と勝手に挨拶を始めてしまいました。
「リーニャと申します」と普段からは考えられないようなおしとやかさで、ジェームズに挨拶しました。
「もしよろしければ、屋敷の中でお茶でも飲みながらお話ししませんか?」と言って、手を差し出しました。
「はい♡」と言って、その手を取って屋敷の中に入っていきました。
伯父夫婦は「女に手が早いのはお爺様譲りだな」と言って笑っていました。
「話は済んだかしら、フィル」突然声をかけられて、そちらを振り向くとマリアが両腕を組んで、僕をにらんでいました。
腕を組んでいるため、かなり成長している胸が強調されていました。
「マリア姉さん、お久しぶり。紹介するよ。僕の恋人のプリシラです。プリシラ、この人がさっき紹介したジェームズの姉で、僕にとっても姉のようなマリアさんだよ」と紹介したところ、マリア姉さんにいきなり胸倉をつかまれました。
「これはどういうことかな。私に許しも得ずに勝手に恋人を作るなんて。何か言い訳があるなら聞いてあげるから言いなさい」
「言い訳も何もないよ。姉さんの許しは特に必要ないだろ。それにプリシラさんとは冒険者の仕事で知り合ったんだ。気が合って、お互いのことが好きになって、結婚の約束をしたんだよ」と説明しました。
「フィルのお嫁さんは私が成ると約束したのを、まさか忘れていないよね」マリアは怒ったように言った。
ちょっと待て、そんな約束したっけ?そういえば、この家に来た当初、マリアが僕を抱きしめて、「大変だったね。もう大丈夫。私が守ってあげるから」と言ってきました。そんなことを言われて嬉しくて「本当に守ってくれる?」と尋ねたら、「分かった。私がフィルのお嫁さんになってあげる。ずっと一緒ね」と言ったのは覚えていますが、あれって子供の時のことだからマリアはとうに忘れていると思っていたのだけど。
「覚えているけど、その件は伯爵家の都合もあるから保留案件だよね。それに、もし結婚することになるとしたら、マリア姉さんは正室になるでしょ。プリシラは側室として娶るつもりだから大きな問題にはならないと思うけど」と言ったら、いきなりつかんでいた胸倉を話して、「父上、母上、フィルのお嫁さんになるけどいいよね」といきなり尋ねました。
伯父夫婦は苦笑して、「ああ構わないよ。いずれ二人には私達から二人で結婚しないかと話をするつもりだったからね。もし二人が了承するならば、マリアが学校を卒業したら婚約して、フィルが卒業したら正式に結婚させようと二人で話していたんだ。でも、プリシラさん、それでも大丈夫かい?」と言ってきました。
プリシラは「はい、問題ない、ないです」と緊張して答えました。
「伯父上、伯母上、もし差し支えなければ、プリシラと結婚したいのだけど。一応準伯爵の地位を手に入れ、一人前になったので、結婚してもいいかと思うのですが」と言うと、「私もいいと思う。今年で卒業だし、とりあえず式を挙げておけば、変な貴族に妻になれと言われなくて済むと思うの」マリアも結婚する気満々です。
「マリア姉さんも結婚するの?」と聞いたら、「はぁー、今何で言った」とすごい目で睨まれました。
「ごめんなさい、何でもないです」思わずビビって、答えました。
すると、「それから何か私に言うことない?女はそういうところ重要なのよ」とにらみつけるように言いました。
頭を巡らせて、そういえばちゃんとプロポーズしていないことに気付きました。
「すみません。マリア姉さん、僕と結婚してください」と僕は頭を下げました。
「まあ、良いでしょう。ねえ、プリシラさん、女同士で交流を深めるべきだと思うの。屋敷の中でお話ししない?」満面の笑顔でプリシラに言いました。
「分かった」プリシラは焦ったように答えた。
「じゃ行きましょう」とマリアは手をつかんで屋敷の中に入っていった。
「マリア姉さん、お願いだからいじめたり、脅かしたりしないでください」とお願いすると、「そんなことをするはずないでしょ。これから姉妹の関係になるのだから」と言って、屋敷の中へ消えていきました。
一人ぽつんと残された僕は、さて僕の屋敷の中に入ろうかと思い、伯父夫婦に伝えようとしたら、「ドカン!ドカン!」と音がしました。
部屋の窓は吹き飛び、なかから煙が出ていました。
「これは母上たちが父上を折檻しているな」と伯父夫婦はのんびり答えました。
屋敷の中で、お茶を飲んでいるとお爺様がやってきました。
両頬に紅葉型の跡をつけ、あちこち焦げていました。
お爺様に聞くと、おばあさまはまず、お爺様を正座させて、二人と話をしたそうです。
「こんな年寄りの毒牙にかかって二人とも大丈夫?後悔していたらこれまでのことを謝罪させて、損害を賠償するけれど」と優しくいったそうです。
「いえ、私たち二人とも自分の意志でジョン様に身を任せました。もし奥様がお許しいただけるならば愛人の末席にでも置いていただけると嬉しいです」
といったところおばあさまは微笑み、「見事な覚悟です。あなたたちを私たちの仲間に迎えましょう」と言い、握手しました。
「さて、次はお仕置きです。なぜあなたは性懲りもなく、また女の人に手を出したのですか」
「ちょっと待ってくれ。これは成り行きというものがあって……」
「だいたいあなたは女とみればすぐに手を出すんだから。結婚前のこと忘れたわけではないでしょうね。私だけでなく、パーティの女性全員に手を出していて、他にも手を出した女は数知れず。あなたの子よと言って我が家に来た女もいたじゃない」
「その時はいつどこで交わったのか確認して、その日の行動について話をしたら相手の女はしどろもどろになり、逃げかえったじゃないか」
「そこにもあきれたのよ。交わった女全てをメモしているなんてまめと言うより、変態じゃない」
「一度抱いた女はきちんと記録しておくのが、俺のポリシーだ」
「いい加減にしなさい。こんなかわいい子たちに手を出して年を考えなさい。いい加減落ち着いたと思ったら、ちょっと目を離すとすぐこれです」と言って、お爺様を立たせると、「反省しなさい」と言われて、往復ビンタを食らったそうです。
そのあと、テルミヤさんがにやにやと笑いながら、「私は人のこと言えない身だからね、別にとがめないけど」とニコニコしているカーヤさんの方を見て、「カーヤ相当切れているよ」と言ったそうです。
お爺様はカーヤさんの方を見ると、カーヤさんにニコニコしていました。お爺様は「こりゃまずい」と思って、直ぐに防御魔法を唱え始めたそうです。
カーヤさん、怒りが限界に達すると、ニコニコしながら魔法で吹っ飛ばすそうです。お爺様は若いころ何回も吹っ飛ばされ、そのため、必死になって防御魔法を練習し、それだけは使えるようになったそうです。
カーヤさんは一歩踏み出すかと「神敵及び女の敵、永久に滅べ」と言って、いきなり魔法をぶっぱなしてきたそうです。
お爺様は必死に防御して、あちこち焼き焦げるぐらいで済みましたが、部屋は全壊しました。おばあ様達、他の女性たちはテルミヤさんが魔法障壁で守ったので、無事だったそうです。
お爺様はカーヤさんに土下座して謝り、何とか許してもらったそうです。
そんなことがありましたが、お爺様とジュリアさん、リンダさんは身内だけですが結婚式を挙げることとなりました。
僕とプリシラさん、マリア姉さんの二人と結婚することとなりました。
リーニャさんはジェームズとすっかりいい仲になり、伯父夫婦の計らいで、とりあえず婚約と言う形でまとまりました。ジェームズは少し不満そうでしたが、結婚はまた今度ということになりました。まあ、出会ったばかりですからね。
数日の準備ののち、結婚式を挙げることとなりました。晴れた少し風のある日でした。
リーニャさんが神父役を務め、お互いに愛を誓いあい、口づけを交わして結婚式は終了です。
伯爵家の皆さんや使用人、町の有力者たちが集まり小規模ですが宴会を開きました。
街や村では酒がふるまわれ、領内の人々はこの結婚を祝いました。
その夜は、初めての夜と言うことで、お爺様はおばあさまたち5人に連れ去られていきました。
「久しぶりに夫婦の営みを頑張りましょう」「ジョンとするのは久しぶりだな」「神の教えに基づき、夫婦の契りを結びます。逃げたら神罰です」「私たちも頑張ります」「そうだな、がんばるぞ」
お爺様の顔は少しこわばっていました。
僕の方はと言うと、今マリア姉さんとプリシラがにじり寄っている状況です。
「プリシラ姉さん、いろいろご教授お願いします」
「マリアちゃんわからないことがあったら聞いてほしい」
なんかとても仲良くなっています。
「プリシラのこと、姉さんで呼んでいるの?」
「だって私より5つも上なのよ。姉さんって呼んでもいいじゃない」
「そう、今年で19歳、ぎりぎりセーフ」そう言って、「フィン、覚悟できてる?」
「お手柔らかにお願いします」と言って、流れに身を任そうとした時、「エリトリア王宮から緊急の使者が来ております。ジョン様、フィン様至急応接室においで下さい」と執事が慌てた様子で声をかけてきました。
厄介ごとだと思いましたが、王の命令です。「わかった、すぐ行く」と答えて、「ごめん、残りは後日で」と言ったら、二人ともすごく膨れていました。
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