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第10話 大学生活と夏休み

毎日18時に投稿しています。お読みいただければ幸いです。

 僕は大学に通って勉学に励んでいます。魔法書を読み、剣の練習をするほかは、神学の勉強に重点を置いています。

 神学科を卒業するためには、1000冊以上の本を読み、少なくともその四分の一は暗記するとともにその解釈も理解する必要があります。さらに各種儀式についても体で覚える必要があり、結構大変です。


 疑問があるところはリーニャさんに聞くと、詳しく教えてくれました。

 知識や儀式だけでなく、実際の教会のことも本に書かれていない実際の知識を教えてくれました。

 聞くとリーニャさんは12歳で神殿に入り、見習いから初めて、普通は5年かかるところを14歳で準司祭になり、更になるのに10年近くかかる司祭に17歳でなった秀才だそうです。

 冒険者になったのも修行の一環で、3年勤めれば次の階級である司祭長になるそうで、もうすぐその3年がたつそうです。

 「でも平民出だと、その次の大司祭までが限界なのよね」と苦笑しながらリーニャさんは言いました。

 大司祭の上の準司教、司教、大司教と上がるためには貴族の家の出身であることと大学を出ることが必須とのことです。

 実際、大学を出ると自動的に司祭長に任じられ、数年後には大司祭に確実になれるそうです。

 あとは、実力と家柄によって昇進していくそうです。

 大司教の上の枢機卿のポストは5つしかなく、前任者が死ぬか引退するかしなければなれることはないそうで、さらにその上の法王は其の5人の枢機卿から選ばれるため、完全に運の世界だそうです。

 「フィル君は準伯爵の当主だから、確実に準司教までは行けるわね。頭もいいしうまくすれば司教になれるかもよ」とからかい半分に言ってきます。


 「リーニャさん、もしよかったらお爺様の養子になりますか?そうすれば伯爵家の出身ということで、司教になれますよ」と言うと、びっくりして「私がジョン様の養女にですか?」と言って考え込んでしまいました。


 もしかしたら気を悪くしたかなと思って「すみません。気を悪くしましたか?」と尋ねたところ、「本当に養女にしてもらえたらすごくうれしいのだけど、ジュリアとリンダをお母さまと呼ぶのはちょっと……」と微妙な顔をしていました。


 赤いバラ団の皆さんは近場でできる依頼をこなしていました。物の採取や盗賊退治、時にはお爺様について南部に行き、お爺様の仕事を手伝っていました。

 前回雇った冒険者の中には、そのままお爺様の下で働いているものもいます。最初に突っかかってきたロードのその一人です。

 すっかりお爺様と僕に心酔し、「旦那」「若」と言ってよく働いてくれます。もともとクランを率いていたので、統率力も高く戦闘力も高いので、隊長クラスとして働かしています。


 そんな生活をしていたら、7月に入り夏休みがやってきました。

 学期末試験で魔法科、政治科、戦士科は卒業資格を得ることができました。神学科も中級課程のほとんどを終わらせることができ、来学期から一部上級課程を取ることが認められました。

 そして、久しぶりに里帰りをすることとしました。

 里帰りと言っても僕は王宮ではなく、伯爵家にですが。

 ついでにお爺様と僕の恋人を紹介し、結婚式もしてしまおうと考えています。


 一応手紙では知らせたのですが、お爺様の件ではおばあさまが怒っているやらあきれているやで、テルミヤさんとカーヤさんと一緒に待っているそうです。お爺様は平静を装っていますが、少し震えていました。

 僕の方は特に問題ないそうです。王位継承権はすでに放棄し、いずれは臣下に下り公爵になる予定なので、王家に何か遠慮することはないそうですし、伯爵家でも特に問題はなく、ただ、いとこのマリアの機嫌が悪いそうです。なぜでしょうか。


 僕とお爺様と赤いバラ団のみんなはプルターク伯爵邸へと向かいました。

 お爺様が「ちょっと心の準備が必要だから」と言って、ゆっくり行くようお願いされたので特に魔法は使わず、ゆっくり馬車で戻ります。


 途中盗賊に襲われましたが、難なく皆殺しにして、根こそぎ財宝を奪いました。盗賊に慈悲はありません。


 伯爵家の屋敷のある町に着きました。ここは赤いバラ団の皆さんと初めて会った場所です。

 そのまま馬車を走らせて、伯爵邸に来ました。

 赤いバラ団の皆さんは「えっ、ここは町の領主の屋敷じゃないか。どうしてここに来たの?」と首を傾げていました。

 「お爺様はここの前領主だったんだよ」と僕が言うとみんなびっくりしていました。

 「えっ、ジョン様ってここの領主様だったの!今回の件で貴族になったのではなく、元から貴族だったの?」

 僕はお爺様がアッピア侯爵家の出でこの国で伯爵位を得て貴族になったことを伝えました。

 「じゃフィル君は伯爵家の子供なの?」ジュリアさんが聞いてきたので、「僕は伯爵家の子供ではなくて、お爺様の娘である母が王家に嫁ぎ、そこで生まれたんだ」と答えました。

 みんな目をむいて、「フィル君って正真正銘の王子様なの!」とすごくびっくりしていました。


 赤いバラ団の皆さんはなんか元気をなくしてしまったようでした。

 「どうしたんですか」

 「だって、そんな名門の貴族様が私たちのようなものと……」とどんよりした空気で話し始めたので、「気にしないでください。お爺様はそんな身分がどうかにとらわれる人ではありませんよ」と微笑みながら言って挙げました。

 プリシラさんがおそるおそる言いました。「私商人の娘なので、王子様のフィルのお嫁さんになるのは無理だと思うの」

 「大丈夫、大丈夫。側室という形になるけど、結婚自体は問題ないよ」

 貴族で、平民の愛人や側室をもつものはいくらでもいます。

 側室になると立場上、貴族の妻となるので仕事を辞めなくてはならなかったり、儀式や会合に出席しなければならないなど、いろいろと制約があるため、愛人の方が楽と言う方もいます。お爺様の奥さんであるテルミヤさんとカーヤさんは愛人と言う立場です。


 ただ、正室は原則貴族出身者でなくてはならないというのが不文律になっています。

 そのことはすでにプリシラさんに伝えてあり、側室になることは了承済みです。



お読みいただきありがとうございました。もし少しでも気になりましたら星かブックマークをいただければ大変ありがたいです。

星一ついただければ大変感謝です。ブックマークをいただけたら大大感謝です。ぜひとも評価お願いいたします。


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