第9話 海賊退治ととんでもない証拠
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王直属の兵がほとんどいないので、とりあえず冒険者たちを集めることにしました。
100人ほどの冒険者を雇用することができました。その中の一人、彼らのリーダー格の男が我々を見てこう言い放ちました。
「今回の雇い主は老人と子供か。俺たちに何をさせるのかな。子供の重りと老人の介護だったら新米冒険者で事足りるだろう」と言って笑いました。
「まあ、そこまで大口をたたくんだ。僕と戦ってみせてみて。実力を見てみたいのだけど」と僕が言うと、笑って「坊や、俺手加減は苦手なんだ。怪我させちまったら大変だからやめときな」というので、「僕もなんだ。でも回復魔法も少しは使えるから大丈夫だよ」と笑って言いました。
一瞬で顔色が変わり、「なめてるんじゃねえ」と言って襲い掛かってきたので、とりあえず顎と腹と金的と膝に、こぶしと蹴りを決めてみました。
ひっくり返って気絶したので、回復魔法を使ってから水をぶっかけました。
「まだ始まってもいないのだけど、寝ていられちゃ困るよ」と言いました。
ふらふらと立ち上がったところに左右の腕をこぶしで砕き、頭に一発蹴りを決めてから、もう一度立たせた後はサンドバックにしました。
周りにいる冒険者たちは唖然として誰も止めようとしません。
回復魔法を使い、サンドバックにし、また回復魔法を使ってサンドバックにする。これを一時間も繰り返したところ、いきなりそいつは土下座しました。「お許しください。あなた様に従います。絶対に逆らいません」そう言って、地面に頭をこすりつけました。
「お前名前は?」
「はい、ロードと言います。お許しください」
「僕に従えば、相当の報酬を期待してもいいよ。反抗すれば今度は回復なしで制裁だよ」
「はい、わかりました」ロードは震えながら言いました。
お爺様はそれを見て、「お前かなりえぐいことをするのう」と笑って言いました。
「なんせ僕の新婚生活が懸かっていますから」と答えたところ、「そうだな、じゃわしもも頑張るか」とニヤリとしながら言いました。その顔はまるで猛獣のようでした。
ちなみに今回は赤いバラ団の人は呼んでいません。かなりえぐい作戦になるので、最悪使い捨てにできる人材で構成したいからです。
アンコーナで捕虜にした兵士の情報だと、アドリア海の島に3カ所ほど秘密の基地を構えているそうです。場所は幹部の一部のみが知っており、兵士ではだいたいの位置しかわからないとのことなので、その場所を気配探知で確認するつもりです。
さて、輸送船数隻に冒険者たちと船乗りを乗せて出発です。船体は黒く塗り、夜の海を疾走します。水魔法使い数名を雇っているので、航路の様子はだいたい把握できます。そこに風で船を進めて、気配察知の能力で、敵の秘密基地の正確な位置を把握しました。
さて、島の裏手に上陸すると、風魔法で、冒険者たちを運びます。
声を上げないよう猿轡をかましています。基地の見えるポイントまで来ました。
さて、頑張りましょう。魔法使いたちに攻撃の用意をさせると、僕も魔道機関銃を用意しました。
合図とともに魔法使いたちの攻撃が始まります。第一目標は敵の魔法使いたちです。
僕も気配察知で魔力の高い者のところを狙いました。魔法使いたちのいる建物は跡形もなく消滅しました。
その後、お爺様と冒険者たちが敵に突っ込みました。お爺様以外の全員に爆裂石を背負わせています。
逃げたり、まともに戦わない者は爆裂石を爆発させる旨、言ってあるので皆必死になって戦っています。
魔法使いには、個別に攻撃するよう命じて、僕も突っ込みます。
奇襲が聞いたのでしょう。あっという間に敵は全滅しました。情報をもっていそうな幹部らしき者達を捕虜にして、輸送船の船乗りたちを呼び出しました。
彼らは船で捕虜たちと奪った船を運んでもらいます。ついでに荷物はできる限り積み込み、文書類は僕の収納ボックスに入れました。冒険者たちはこの基地で夕方までお休みです。
夕方になり、船乗りたちが返ってくると、再び出発です。次の基地を狙います。襲撃を受けていることが敵に知られるまですべての基地を襲うつもりです。その前にこの基地はすべて焼却しました。
次の基地を襲撃し、壊滅させた後、同様に奪った船を運んでもらい、夕方まで休んだ後、最後の基地を襲撃し、壊滅させました。今度はみんなで帰還です。
敵の海賊は全滅したと思われます。莫大な文物と書類を手に入れることができました。
財貨はすべて僕とお爺様に処分を一任されていたので、すべて売却して、冒険者たちにたっぷりと褒賞を与えました。
お爺様と僕は王宮に行き、王と王が信用できる部下たちとともに、文書の確認を行いました。
するととんでもないことが分かったのです。ブリンディジ侯爵と南スロベニアが繋がっている書簡が見つかったのです。
それも一つではありません。何回も文書のやり取りをしていたようで、かなりの量の書類がありました。
「ブリンディジ侯爵を粛清した方が良いでしょう」お爺様は言いました。
「王宮にブリンディジ侯爵とそのご家族をお呼びください。王位継承問題について、秘密裏に話したいと言えば、何も知らない今なら喜んでくるでしょう。時を待ってはなりません。早晩、基地の襲撃は知られてしまいます。そうなれば、あちらも何らかの手を打ってくるに違いありません」
「分かった。ブリンディジ侯爵一家を王宮に呼び出せ」王は命じました。
しばらくして、ブリンディジ侯爵と妻、その嫡男と次男がやってきました。
「王よ、王位の件について都ありましたが、どのような件でしょうか」ブリンディジ侯爵はギラギラした目をしながら言いました。
「我が王国の王位について、重大な反逆が判明した。そのための処置だ」と王は言いました。それを合図にお爺様と僕は侯爵一家に襲い掛かりました。僕は侯爵の首をはね、返す刀で夫人の首をはねました。 お爺様は嫡男と次男をなで斬りにしました。その後、首を切ってとどめを刺しました。
「死体は片付けろ。首は王宮の門の前にさらせ」王は命じました。
更にお爺様と僕は兵を集めて、侯爵邸を襲撃しました。
屋敷に残っていた側室たちをとらえ、子供は赤ん坊まで含めて全員始末しました。
僕もただ人に命じて、殺らせるのでは指揮官として未熟だと思い、歯を食いしばって、幼い子供たちの首をはねて殺しました。
大人を殺すのは、まだいいのです。敵対しているものを殺すことはこの世界では生き残るためにはしなくてはならないことで、そうしないと今度は自分が殺されます。
でも、子供を殺すのは慣れません。前世の記憶が尾を引いているのでしょうか。
全てが終わった時、僕は草むらの陰で思いっきり戻してしまいました。
ブリンディジ侯爵の反逆が広く知らされ、南部に軍が送られました。
軍の指揮官はお爺様です。とりあえず王からアッピア伯爵の地位と軍の将軍位を与えられました。南部系の将校たちは解任されたうえ、監禁されました。
代わりの将校たちとして、旧アッピア家に仕えていた者たちが任命されました。彼らは軍内でも閉職に追いやられるか、解任されて冒険者になるかの道をたどっていました。
今回、アッピア家が再興されたことを聞いた者達がお爺様のもとに集まり、忠誠を誓ったため、将校として使うことにしました。
先に王命で、下級貴族以下は降伏すれば、地位・財産・領土の保証が言われたため、下級貴族たちは次々と降伏してきました。
南部に二つあった伯爵家のうち、ナポリ伯は抵抗の意思を示したため、軍で街を取り囲み、降伏を呼び掛けたところ、市民がナポリ伯を捕らえて突き出してきました。
街が破壊されることを恐れたのでしょう。市民の支持のない貴族の末路です。
ナポリ伯とその家族は全員フローリアに運ばれ、死刑になりました。
もう一人の伯爵ターラント伯は降伏し、準伯爵に降爵され、領土の一部を接収されました。
しかし、生命・財産は保証されました。さらに、侯爵から伯爵に降爵され、領土の半分を接収されたブリンディジ家には、ブリンディジ家の血を引く王子を養子として送り込み、その後見人として、ターラント準伯爵が選ばれました。
一連の騒動が終わり、お爺様は正式にアッピア伯爵として、家名の再建を果たしました。領土として、南部の今回奪った領土を与えられました。
お爺様は頭を抱えて、「なんてところをよこすのだ。統治が大変なところを任せよって」と嘆いていました。
僕はと言うと、同じくアッピア準伯爵に任命され、アンコーナの街とその周辺が与えられました。
ちなみにアンコーナでの戦いに対する褒賞して、王家と冒険者ギルドからお爺様と僕に報奨金が与えられました。
王都にある屋敷のうち、旧アッピア侯爵邸はお爺様に与えられたのですが、経年劣化のため補修と整備が必要であり、しばらく住むのに時間がかかるとのことなので、同じく僕に与えられた準伯爵邸にお爺様も住むこととなりました。
お爺様は南部と行き来しつつ、僕と一緒にここで暮らすことになります。
メイドや執事などの使用人を何人か雇うことになり、商業ギルドに依頼をしました。
賃金を相場より高めでお願いしたところ、結構な応募者がありました。また、昔アッピア家に仕えていた方も応募してきました。
人選はお爺様と僕とで選定し、数は多めに雇うことにしました。
侯爵邸の整備が終わったら、一部はそちらに移ってもらう予定です。
僕の屋敷は少し郊外にあるのですが、十分に大学に通える場所にあり、冒険者ギルドへの行き来も大変ではないので、赤いバラ団の皆さんも一緒に住まないかと誘いました。
最初は遠慮していたのですが、住むことは全然問題ないし、将来はジュリアさんとリンダさんはお爺様といっしょに住むでしょう?といったら、顔を赤くして、二人は了承しました。
プリシラは僕がお願いしたら、結構簡単に折れました。「将来の妻としての練習だと思って頑張る」とつぶやいていたのを僕はしっかりと聞こえました。
リーニャさんはみんなとは立場が違うからと言って、かなり難色を示していましたが、「僕の神学の勉強を教えてほしいし、パーティはまだ続けるのでしょう?だったら一緒に住んだ方が便利だよ」と言って、押し切りました。
そうやって、みんなで住むことになったのですが、初めてみんなが僕の屋敷に来た時、「すごく広くない!」「ここ住んでもいいの?」「フィン君と一緒ならどこでもいい」「私部外者だけど本当にいいの?」と言う声が聞こえました。
ちなみにリンダ、ジュリア、プリシラ、リーニャさんの順番です。
侯爵邸はここよりはるかに広いのですが、大丈夫でしょうか。特にリンダさん、ジュリアさんお爺様の側室になるのにこの程度でびっくりしていたら身が持ちませんよ?
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