第1話 転生してきた第一皇子の苦悩
前に書いた作品が少しスランプなので、気分を変えて転生物を書いてみました。お読みいただければ幸いです。
僕はフランク王国第一皇子のフィリップです。もうすぐ5歳になります。
僕の5歳の誕生日の少し前です。僕は誰かから窓から突き落とされました。危うく、庭に植えてある芝木の上に落ちたため、特に大けがもせずに済みましたが、そのショックでしょうか、前世の記憶を思い出しました。
僕はとある国で、地方の領主(?)の元に勤めるコウムインと呼ばれる仕事についていました。そして僕自身はテイネンと言われる強制的に仕事を辞めさせられる年に間もなくなる予定でした。
僕には妻がおり、二人の子供を儲けました。その子供が成長し成人し独立した後、久しぶりの一人旅を楽しむことにしました。
独身の時はあちこちと旅をしたものでしたが、子供ができてその機会もなく、子供が独立した機会に久しぶりの一人旅を楽しむことにしました。
妻は連れて行かなかったのかって?
妻曰く、二人で旅行なんて絶対に嫌だそうです。
まあ、長く夫婦生活を続けているとそうなるケースもたまに見られるそうで、定年と同時に離婚されるパターンになることも多いそうです。
まあ、仕方がありません。お互いにいろいろすれ違いもあります。
まあ、離婚されても大体の家事はできますし、男一人何とか生活していけるでしょう。
そんなわけで、一人でその国一番の神殿に参拝に出かけたところ、神域内で道に迷ってしまい、何やら古びた民家のある所に出ました。
この場所はどこなんだろう、スマホの位置情報を確認しようにも、システムエラーを起こしているようで場所が分かりません。地図を見ても全く分かりません。
仕方なく場所にたたずんでいると、中からまるで高松塚古墳の壁画に出てくる女性のような古代の服装をした美しい女性が出てきて、「おめでとうございます。あなたはヨマイガにたどり着きました。この褒美に現世での美女と名誉と富か、別世界への転生を選ぶことができます」とにこやかに言いました。
今生では、もういい年なので美女や名誉をもらってもあまり使い道がありません。富も家族に吸い尽くされるのがおちです。それならば別世界で転生して、新しい人生を行うのもいいのではないかと思いました。でも変なところに転生させられては大変なので条件を確認することにしました。
「時代背景は中世から近世に移行するぐらいのヨーロッパと同じような文化レベルです。でも魔法という概念があるため、一部では現代やそれ以上に発達した文明レベルですね」その女性、おそらく女神は言いました。
その世界での僕の立ち位置と、与えられる能力は何かと聞いたところ、「ある国の王子です。とても恵まれた立場ですね。さらに、その世界で話されている言葉が自由に使えること、あと基礎体力の大幅向上をつけましょう。さらに3つの特殊能力をあなたに与えます。何か希望はありますか?」と聞いてきたので、希望の能力を伝えました。
女神は、「わかりました。それでは第二の人生を楽しんでください」といわれ、気を失いました。
これが僕の思い出した全てです。転生先が王子というのはポイントが高いと思っていたのですが、どうも命を狙われているようです。
このままでは殺されてしまう、そう思った僕はどうにかしなくてはと考えました。
とりあえず落とされたことで軽いけがをしたので、医師からしばらくは安静にしておくよう言われました。そのため、ベッドでおとなしく寝ていました。
何かあると嫌なので、コッソリと小さな鏡を割ってとがったガラスを手に入れて、危なくないよう布にくるんでベッドの中に隠し持っていました。何せまだ5歳なので、危険ということでナイフはおろか鋏すら部屋になかったのです。
まあ、護身用としてはささやかなものでしたが。
ベッドの中でいろいろ考えていると、メイドが一人入ってきました。
僕のお付きのメイドで、若くきれいな子で、僕のことをかわいがってくれている人でした。
「王子様起きていらっしゃいますか?」そのメイドは尋ねてきました。
結構夜も更けていたので、返事をすると「早く寝なくではだめですよ」と注意されると思い、黙っていました。
するとそのメイドはするするとベッドに近づいてきて、短刀を取り出すと「死にぞこないが。今度はちゃんと死んでくださいよ」と言って短刀を突き刺しました。
僕は跳ね起きて短刀をよけると、ガラスのとがったほうでメイドの目をつきました。
「ギャー」とメイドは刺された目を抑えて後ろに倒れました。
チャンスです。机に置いてあった緊急時にならす笛を吹きました。この笛は子供でもかなりの大きな音が出て、何かあったのか知らせることができます。
しかし、すぐに駆け付けるはずの警備兵はやってきません。
メイドは片手で目を抑えながらもう一方の手で短刀をつかんで、僕に襲い掛かってきました。
僕はベッドの下に隠れました。
「出て来い、ぶっ殺してやる」と言って、ベッドの下に入ろうとしましたが狭すぎて中に入れません。
仕方がなく、ナイフを持った手をベッドの下に入れ左右に振り回していました。
手の動きが左右に振るだけの単調なものですし、動きの幅も狭いので、笛を吹いた時につかみ取ったペンでその手の甲に突き刺しました。
「ギャー」という音がして急いで、腕を引き抜こうとして、逆に手の甲に刺さったペンを深く突き刺してしまいました。そのため、ナイフを手放してしまいました。
僕はナイフをつかんで、そのメイドに体当たりをしました。ナイフはメイドに深く刺さり、メイドは重傷を負って、これ以上の戦闘は無理だと思われます。
「くそっ」と言ってメイドは笛を吹くと窓から飛びおりました。
「どうしました。こんな時間に」と警備の兵士たちがやっと部屋に入ってきました。
僕は警備兵たちに窓の方を指し、「メイドが僕を殺そうとしたんだ。このナイフを使って」と言ってメイドが逃げた窓を指さしました。
警備兵は僕を一瞥すると「ちっ」と舌打ちをして、部屋から出て行きました。とても犯人を追いかける風には見られません。
おそらく、警備兵たちもメイドとグルなのでしょう。
おいおい、この王宮僕を殺そうとしている奴ばかりじゃないか、そう考えると恐ろしくなって、その夜は一睡もできませんでした。
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思いのほか筆が進んだため、切りのいいところまで投稿したいと思います。
いまさらの転生物ですが、関心を持っていただければありがたいです。