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子供の頃戦争があった父が語った少年時代

作者: 明けの明星

家族で食事をしていると、


何から先に食べる?


という事が話題になった。



好物は先に食べる?それとも最後までとっておく?


そんな会話をしていると父は必ず


「好物なら真っ先に食べる」


と言い放つ。


そんなことが何度もあった。



「えー、好物なら最後のお楽しみにとっておくのに」


子供達は反発して言う。



「それは、お前たちが平和な時代に生きているからだ」


子供達に父は言う。



そして、父は自分の子供の頃の話をした。



自分が子供の頃、日本は戦争をしていた。


詳しい経緯はわからないが。


子供心に、重苦しい空気が流れたのを感じていた。



そんな戦時中であっても、


食事は必須だ。



食糧事情が厳しくなる中、毎日何とか食事をする事が出来ていた。



そんな時、好物が出ると


真っ先に食べる。


それはその当時では常識だったという。



ふた口目を食べる前に、


空襲警報が鳴りそのまま逃げ出さなければ


ならない事態がいつ起こるかわからないから。



だから、好きな物はまず真っ先に口にしまった。



それだけではない、出来ることはすぐさまやった。


眠れる時に眠り、笑える時に笑う。



自分だけでなく皆明日はどうなるかわからないから。



そして最後に


「平和な時代はいいね」と締めくくった。



そんな話を、子供たちは頻繁に聞いていた。


当たり前のように、戦争を体験した人物から、


戦争の話を聞いた。



それから時は流れ、


戦後79年となった。



戦争中、少年時代を過ごした父は既に


故人となり、子供たちも大人になった。



戦争を体験した年代も、高齢化しいずれ誰もいなくなるだろう。



そして、子供の頃戦争の話を聞いた子供達も、


いずれ歳をとる。



この子供達は、直接戦争の話を聞いた


最後の世代なのかもしれない。



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