表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白虎様の妻になりました  作者: 海野雫
第1章 突然の別れ
3/47

第1章 突然の別れ②

白金家の当主、紫苑は焦っていた。


3年後に迫る()()()()。それまでに娘・茉莉の縁談を見つけなければ、茉莉は儀式に捧げられてしまう。


白虎様からの啓示を受ける能力がないと判断された茉莉は、儀式への参加を回避するため、礼儀作法や家事に厳しく取り組んできた。しかし、このまま結婚できないまま3年が過ぎてしまえば、茉莉は運命を逃れられない。


そんな折、北の守護神を守る黒水家当主から縁談の申し出が届く。


まさに渡りに船。紫苑は早速返事を書き、3日後に二人は料亭で会食する。


「お久しぶりです、闘吉様。」


紫苑は美しい所作で黒水家当主・闘吉に挨拶をする。


「いやはや、紫苑殿。ご無沙汰しております。さて、早速本題に入りましょう。」


簡単な挨拶の後、縁談の話題に移る。


茉莉は13歳、冬夜は16歳。結婚には申し分のない年齢である。だが、紫苑には茉莉に教えなければならないことがまだあった。


茉莉には何の能力もないと思っていた紫苑だったが、ある日、茉莉に折檻をした際、驚きの事実が発覚する。なんと、茉莉には傷を癒す回復能力が備わっていたのだ。


しかも、体調不良の使用人と接するだけで、その体調を回復させる力まで持っていた。


紫苑は茉莉に術を教えたわけではないが、折檻を続ける中で自然と能力が開花したようだった。


この能力があれば、守護神の結界を強め、国を守ることができる。


北の一族である黒水家にとっても、茉莉の回復能力は大きな戦力となるだろう。


結界強化や兵士の治療など、様々な術を教える必要がある。


「この度は、娘・茉莉へのご縁談を誠にありがとうございます。」


「拙宅の息子もそろそろ嫁を迎えるべき年齢になりましてね。ちょうど娘御さんと年齢が近かったことを思い出し、ご連絡いたしました。」


「私も娘の縁談先を探しておりましたので、誠に光栄です。」


紫苑は穏やかに微笑み、闘吉に告げた。


「しかし、すぐには嫁に出すことはできません。」


「何か問題がおありですか?」


「実は、娘にはある能力がありまして・・・」


紫苑は茉莉の能力について闘吉に説明する。それを聞いた闘吉は、驚きと喜びを隠せない様子だった。


「それはこの国にとって、非常に喜ばしいことですな。」


「はい、その通りです。しかし、娘はまだ術を使いこなせておりません。つきましては、婚約まで2年の猶予をいただけますでしょうか?」


紫苑の申し出に、闘吉は快諾する。婚約は2年後、結婚式は3年後という運びとなった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ