表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

愛・そして恋のシリーズ

愛だけじゃ君を救えない

作者: リィズ・ブランディシュカ
掲載日:2023/06/06



 君が好きだ。


 どうしようもなく好きだ。


 庶民でも好きだ。


 親のために借金まみれでも好きだ。


 いつも働いて泥だらけでも好きだ。


 いつだって君のことを考えてる。


 でも、愛だけじゃ君を救えない。





「ーーさま、朝食に用意ができました」


 ありがとう。


 貴族の僕は、奴隷の君にそう言って、私室を出た。


 大好きな君は、僕に距離を置いている。


 当然だ。


 僕は奴隷の君を買った。


 主人と親しくする奴隷なんて、常識を考えたら存在できない。


 庶民だった君の環境は急激に悪化して、何もかもが不幸になった。


 命をつなぐには君は奴隷になるしかなかったんだ。


 しかたない、運命が残酷すぎた。





「ーー様、服によごれが」

「ああ、気付かなかった」


 君は決して僕に触れない。


「ーー様、本日の予定は」


 君は決して「様」をはずさない。


「ーー様、午後からお客様が来訪されます」


 君は決して、きやすく話しかけてはくれない。






 しかたない。


 しかたない。


 君は僕に命を買われている。


 僕は主人で、逆らったら命の危険があるのだから。


 それが世間の常識なんだから。


 僕の後ろに歩く君。


 その瞳には光が見えない。


 仕方ないとは分かってる。


 でも、こんな事がしたかったわけじゃない。


 でも、こうするしかなかった。


 でも、他にいい方法が思いつかなかった。


 奴隷になった君を、愛だけでは救えなかったから。





「奴隷を愛するなんて、お前がそんな奴だとは思わなかった! もう関わらないでくれ!」


 奴隷に反対する貴族。


 その立場をすててでも、かつての友人に絶交されてでも、君を守りたかったんだ。


 他の貴族に買われて、君がボロボロになっていくのなんて、どうしても嫌だったから。


「今日にご飯もおいしそうだな。毎日君が作ってくれて嬉しいよ」


 食卓にはついた僕は、心からのお礼を言う。


 けれど君は「ありがとうございます」抑揚のない声でそう述べる。


 泣き出したくなった。


 本当にこんな事がしたかったわけじゃないのに。


 君を愛する気持ちだけで、君が救えるほど世界が優しかったらよかったのに。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ