表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/133

66 宣戦布告されました。

 大会受け付けの締め切りとなり、イワンが参加者名簿の最終確認をしてから手渡してきます。

 今回会計の出番はないので、私は先生と生徒会の間で書類を運ぶ雑務として動いています。


「一組ろくでもないペアがいたが、オレたちと当たらないことを祈るしかないな」

「ろくでもないペア……?」

「気にするな。トーナメントだから、あちらが初戦敗退してくれれば当たることなく終わる。……それじゃあ、これを教員室に届けてくれ」


 何がろくでもないのか気になりますが、いらぬ心配というなら忘れましょう。

 教員室に行き、大会トーナメントを作る担当のニコラス先生に渡しました。


「ご苦労様。君も参加するんだったね。先輩たちに負けないようがんばりなさい」

「はい。ありがとうございます」


 教員室を出たところで、ベルナデッタ様に会いました。

 謹慎が解けて早々絡みに来たんですか。


「あからさまに嫌そうな顔をするの、失礼じゃありませんこと!?」

「貴女のせいで退学させられかけたので、関わりたくないです」


 退学に追い込もうとするしイワンと別れろと脅してくるし、公爵令嬢だから敬意を払えと言われたって、敬いたくありません。

 きっぱり拒絶の意思を表すとベルナデッタ様は扇をばさばさいわせて高笑いします。


「そうやって強気でいられるのも今のうちよ! 大会で優勝して、婚約解消させますから!」


 あ、察しました。

 この方がイワンが言っていた『ろくでもないペア』の片割れですね。どなたを相棒に選んだかはわかりませんが、たしかに面倒です。


「疑問なのですが、なぜイワンに拘るんですか。貴女の家柄なら、王太子であるセシリオ様とも釣り合いますのに」

「あ、貴女に関係ないでしょう! とにかく、イワンと結婚するのはワタクシですわ!」

「私はイワンがいいので、退く理由がありません」

「ふん。どうせイワンは貴女の治癒魔法が欲しいだけでしょう」

「イワンは私の治癒魔法に興味ないです」


 こうもしつこくイワンに拘るのは、求婚を断られてプライドが傷ついたからというだけで説明がつかない気がします。


「貴女の言い分は、魔族の血を引いているから求婚を受ける人がいるわけない、だから結婚してあげる……宰相の息子だから価値がある、でしたね。イワンのお父様が宰相でなかったら、どうするんですか」


 もっともらしい理由を並べ立てて、イワンを選ぶ人がいるわけないと決めつけて。

 自分の本心を取り繕うための言い訳にしか聞こえません。


「イワンのお祖母様は先王様の妹御ですもの。王家と縁続きになれるから、ワタクシの家にとって利益となります」

「セシリオ様と結婚すれば遠縁どころか王妃ですよ。王家と近づきたいのなら、遠縁のイワンにこだわるのは変ですよね」


 私の問いかけに、ベルナデッタ様は言葉をつまらせます。


「……いい気にならないで。必ず婚約解消させますから!」


 私を鋭く睨んで立ち去りました。


 好きなら好きだと、そう素直に言えばいいのに。

 ベルナデッタ様の参戦目的が私とイワンを別れさせるためなら、私は絶対に勝たなければなりません。


 大切な居場所を渡すわけにはいきません。

 

次回67話

初戦、思わぬペアと当たりました!


大会スタート、誰と戦うことになるのか待て次回。

19:00ころ更新です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
[一言] 次回、トーナメントの組み合わせに不正の予感(゜Д゜;)
[一言] 毎日欠かさず楽しく読ませて頂いております。 さて、思わぬペア...誰でしょうか。 クララだと予想します。 多分、当たらないと思いますけど。
[良い点] 予想が当たったーーーーー!!!! ベルナデッタ嬢、参戦! 組んだ相手は誰かしら‥‥。 イワンに固執する本当の理由。 セリスたんも何となく気づいてる? もしかしたら、純粋に「恋心」なのかな…
2022/08/17 19:42 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ