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54 夢魔だから、夢の中にも会いに来る。

 散歩から帰ったら、セシリオ様たちはまだカードゲームで熱いバトルを繰り広げていました。

 イワンの言うとおり、あれは夜明けまでやっていそうですね。


 私はミーナ様と部屋で休みます。

 男性は客室、私はミーナ様のお部屋で一緒に寝るんです。 

 鏡台の椅子に座ると、ミーナ様が私の髪をすいてくれました。おかげですっかり元通りです。


「セリスさんが幸せそうでアタシも嬉しいわ。大切にされているのね」

「ありがとうございます。私、ミーナ様にも幸せになってもらいたいです」


 ミーナ様がミーナ様でなかったら、私の人生は誘拐事件の前に終わっていたでしょう。

 こうして生きて恋をできること、その恩を返したいです。


「ミーナ様はウィルフレドさんのこと、お好きですか」


 鏡越しにミーナ様を見ると、ミーナ様ははっきりと頷きます。


「ええ。アタシはウィルフレドと一緒に生きる未来がほしいわ。前世では、まともに恋をすることもないままだったから」

「私にできることがあったら、協力しますからね」

「ありがとう。こういうことを話せるのは貴女だけよ。前世の記憶を持ったまま生まれ変わったなんて、信じてくれる人はそうそういないもの」


 瞳に寂しそうな色が混じります。ミーナ様も、弱さを持つ一人の女性だって思えます。


「私、ミーナ様が話したいときは、いつでも聞きますから」

「そうね。また聞いてくれると嬉しいわ」


 大きなベッドは二人で寝てもまだ余裕があるくらい。キングサイズというらしいです。

 二人で布団にもぐるの、なんだか楽しいです。誰かが横にいるなんて、幼少の頃お母さんと寝ていたとき以来です。


 おやすみなさい、また明日。

 そう言って眠りにつきました。




 私はふわふわと白い空間に浮かんでいます。

 夢魔のイワンが目の前にいました。


「うまくいったようだな。やはり近くにいると入りやすい」


 語り口もそのままのイワンです。

 今日は一日中一緒にいたのに、まだ足りないんですか私。


「夢であって夢ではない……と言ってもわかりにくいか。オレは夢の産物じゃない」

「どういうことです?」


 イワンが指を弾くと、景色が一変しました。

 学院の中庭です。昼間の、日が高い時間帯。今にも生徒が行き交いそうな気配すらあります。

 イワンの服装も、学院にいるときのようなスーツに早変わり。

 目の前の木に触れてみると、確かに樹皮の手触りがします。


「夢魔は相手の望む夢を見せて夢を食う。人の夢に入り込める、と言うと伝わるか?」

「じゃあここにいるイワンは、私の知るイワンなんですね」

「わかってくれたようでなによりだ。夢だから、ここで何をしても現実には干渉しない。そこの木を切り倒そうが、学院の木には傷一つついていない」

「それじゃあ遠くの国を旅してみたいって思ったら、夢に見られるんですね」


 夢の中だけでも世界旅行って楽しそうです。


「ここで怖がらないのがお前らしい」

「褒めてます?」

「褒めてる褒めてる」


 後ろから抱きすくめられて、お腹にイワンの手が乗せられます。

 触感も、体温もそのまま感じる……なんだか、すごく恥ずかしいような。


「アラセリスは何を望む?」

「ひゃ」


 耳元で低く囁かれた、それだけなのに体が熱いです。ブラウスのボタンを外して、鎖骨のあたりに口付けてくる。

 誰に見られるかもわからないのに、昼間の学院の中庭で。

 夢だとわかっていても、人が来るかもしれないという緊張感と背徳感が拭えません。


「昼の学院だが、人の目はない。夢だからな」

「人前でこんなことされたら、心臓が持ちません」


 イワンの指が、私の胸を包み込みます。


「せっかくだから、一番効率のいい魔力の受け渡し方法を教えてやろうか。二番目を教えるのは、セシリオに先を越されてしまったからな」

「まってください、イワン」


 婚約したのだからそういうこともあるかと思います、思いますけど、ああもう、頭の中真っ白です。



 

 カシャン、という音で目が覚めました。

 パジャマが汗でじっとり湿っています。

 ……夢魔は相手の望む夢を見せる。


 あれが私の願望なんですか。

 顔がすごく熱いです。


 ミーナ様の黒猫ちゃんがグラスを倒しちゃったみたいです。猫ちゃんの尻尾が、倒れたグラスを叩いています。



 ……明日会っても、イワンの顔を直視できる自信がありません。

 

明日も19:00ころ更新です。

次は55話ビーチバレーでバトルです!

お楽しみに!


54話はムーンライト版ではR18シーンになっています。

大人な展開はムーンライト版でお楽しみくださいませ。



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