表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヤンデレゲーの主人公は普通の恋を望む。(完結)  作者: ちはやれいめい
一年生 春編 運命に翻弄される春
50/133

50 イワンと二度目のワルツ。

 イワン、顔が赤いです。怒っているのと、たぶん羞恥で。

 容赦なく私の頬をつねってきます。


「人前で何言ってんだバカ!」

「うあーん、ごめんなさいー! 悪気はなかったんですー!」

「悪気の有無なんて関係あるか。学院の関係者も来ているんだぞ! よく考えろ!」

「ええと……?」


 足りない頭で考えます。


 イワンの子どもなら可愛いから二人は産むと言いました

 ここには生徒の親御さんや先生が来ている

 私達は学院の生徒

 →できちゃった疑惑浮上?


「私、明日学校で質問攻めにあいますね」

「オレもな。どんな辱めだ」

「ご、ごめんなさい、私もそんなこと聞かれたら恥ずかしいです! 以後気をつけます!」


 しーちゃんがパタパタ飛んでイワンの肩に移りました。


「せっかくのパーティーなのに、恋人を叱るものではないよ、イワン」

「イワン、いきなり走り出したと思ったら……。こんなとこで喧嘩するなよ」


 セシリオ様とローレンツくんが来ました。

 イワンがようやく私の頬を開放してくれます。


「セリスくん、正式にイワンと婚約したんだってね。おめでとう」

「ありがとうございます」


 セシリオ様からお祝いの言葉をいただいて、頭を下げます。

 ローレンツくんも、どこか複雑そうにしながら無理やり笑顔を作ります。


「……婚約おめでとう、セリス」

「ありがとう」


 告白未遂以来、ローレンツくんはぎこちないです。

 こればかりは時間が解決してくれるのを待つしかない気がします。


「セリスさん、一曲踊ってきたら? まだイワンと踊っていないでしょう」

「そうですね。せっかく来たんですし」


 ミーナ様が提案してくれたので、イワンに手を差し出します。


「踊っていただけますか?」

「よろこんで」


 たくさんのペアが踊る中に、私もイワンと溶け込みます。

 最初イワンと踊ったときは、まだ告白もしていない先輩後輩でした。

 私はあのときより、イワンの隣が似合うようになっているでしょうか。


 イワンの右腕に左手を添えて。

 イワンの左手にも、私と同じデザインの指輪があります。

 つがいですからね。イワンの側にいられるのは私だけの権利だと思うと、胸が疼きます。


 ミーナ様に初めて会って未来を教えてもらったとき、『閉じ込められるほど束縛されるの怖い』って思いましたが、私も存外独占欲が強いようです。

 この場所をベルナデッタ様に渡したくないです。



 足の動き、重心の移し方、講師の方やミーナ様に教わったことを何度も頭で反復しながら踊ります。


「あのときよりはうまくなったな」

「えへへ。言ったでしょう。私は褒められて伸びる子なんです。だからもっと褒めてください」


 頭突きしないでください。

 曲が終わると、イワンはいつもの意地悪な笑みとは違う、ふわりと柔らかな笑顔を浮かべます。


 綺麗です。本当に、悔しいくらい素敵です。


「さっき、あの女に言い返してくれてありがとう。何度断っても婚約の打診が来るし……あいつのことすごく苦手なんだ。やり込めてくれて胸がスッとした」

「イワンに鍛えられましたからね。そよ風に負けるほどヤワじゃありません」


 イワンとの舌戦の方がスリリングです。

 ベルナデッタ様が聞いたらさぞかしお怒りになるでしょう。 


「ハハハ。オレのせいでだいぶ口が悪くなったわけか」

「おかげさまで」


 ロマンチックな語らいなんて私たちにありません。これが通常営業なんですよね。

 でも、居心地がいいのでこれはこれでありだと思います。


「さっきのあいつみたいに、社交界は物理でなく言葉で刺してくる奴ばかりなんだ。言われっぱなしで黙っていると相手がつけあがる。その点アラセリスならやっていけそうで安心した」

「褒められてます?」

「褒めている。お前は強いな」


 額に軽く口づけられて、嬉しくて頬が緩んじゃいます。


 ダンスのあと、国王陛下やラウレール家の関係者に挨拶をして帰路につきます。


 テストと建国記念祭も終わって、学院はもうすぐ二週間の夏季休暇に入ります。

 魔法学院に入学してから初めて迎える夏。


 イワンと一緒ならきっと楽しいですね。  

これにて春編は終幕。

明日からは夏編に入ります。

引き続きお楽しみいただけたら幸いです。


明日も19:00ころ投稿です。



面白い、続きが気になると思ったら、下にある☆☆☆☆☆を★★★★★にして応援してください!

続きを書く原動力になります!


感想、レビューもお待ちしてます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
[良い点] 2人は欲しいという公開発言。 流石のイワンたまも赤面v 二回めのワルツ、 言い合いしながら、笑って、セリスたんの言葉に意地悪な笑みを浮かべて。 ロマンチックな語らいじゃなくても、 2人、…
2022/08/01 19:45 退会済み
管理
[一言] よくよく考えれば凄まじい発言だったね『産みます』発言( ´∀` ) 夏篇も楽しみにしています!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ