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ヤンデレゲーの主人公は普通の恋を望む。(完結)  作者: ちはやれいめい
一年生 春編 運命に翻弄される春
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5 無理やり望む答えを言わせるのは交渉とはいいません。

「私が会計に?」

「会計では不満でしたか。庶民なら自分で買い物をするから、金銭管理が得意だと踏んだのですが。それに貴族と無関係の君なら、会長にとっても副会長にとっても、害にならない。とても都合がいいんです」


 きれいな顔して、なんてえげつない発言を。

 ここで怒ってはいけません。冷静に、冷静に。

 イワン様が相手のときは、何をされても気丈であれとミーナ様に言われました。


「申し訳ありませんが、辞退します。勉強についていくだけで精一杯ですので、生徒会役員になれるほどの余裕はありません。他の方にお願いしてください」

「それは聞けない」


 イワン様が一歩踏み出すと、周りにいた同級生たちの姿が見えなくなりました。


「え、なにが……」

「結界だ。結界内で起こることは見えないし、声も届かない。勉強をはじめたばかりのお前じゃ、この結界を解けない。泣こうが叫ぼうが、助けは来ないぞ」


 さっきまでの丁寧な物腰はどこにいったのでしょうか。性格違いませんか。もしかして猫をかぶっていたんですか。


「会計になると言うだけでいいのに」


 手首を掴まれる。見た目は女性のように美しくても、やはり男性なのですね。力が強くて振りほどくことができません。

 もう一方の手が私のあごをとらえる。


「や、やめてください」

「反対語ゲームか、付き合ってやろう。『やめないで』、なら続けてやる」

「や、です」

「してほしい?」


 そんなわけないじゃないですかーー!

 結界内で何をされても人に見えないから、証拠が残らない。泣いても叫んでも、誰も助けてくれません。


 私が会計になると言えば解放してくれるのでしょうか。

 でも、自分からなりたいと願ったならともかく、こんな無理やり加入させられるなんて嫌です。


 イワン様の瞳が金色に変わる。

 もう一度嫌です、と言おうとした口を、イワン様の唇に塞がれました。

 

「や……っ」


 逃げようとしても、私の背は窓についている。下手に体重をかけたら割れて怪我をしてしまいます。それをわかっているから、イワン様は強気。顎に当てられていた手は、私の後頭部を押さえる。

 吐息すらも貪り食うような強引な口づけで、おかしくなってしまいそうです。

 このままじゃダメです。

 

「やめてくださいって、言ってるじゃないですか!」


 手は拘束されていても足は自由。足を振り上げ、イワン様のすねを蹴る。


「く、そ、従属魔法が効かない人間がいるなんて」


 油断していたのでしょう。結界がとけてまわりの声が届く。みんなの姿が見えるようになりました。


 イワン様は私の手を掴んだままだから、みんな不思議そうに私たちを見ています。穏やかなシーンに見えませんよね、この体勢。


 動揺したイワン様の手が緩む。急いで振りほどいて走ります。

 ミーナ様のところまでいけば助かる。そう確信して。


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― 新着の感想 ―
[一言] ちょぉ!? なんという展開!! しかも従属魔法とか……ヤバいニオイがプンプンしますよー!?(゜Д゜;)
[一言] 濃いキャラたちが一気に出てきましたね~! アラセリスさん逃げ切れるのか!? すでにもう……だけど、頑張れアラセリス!(^^;
[良い点] イワン、性格の裏表が激しいのねぇ~ そして5話目にしてもう、アラセリスたん、流石はヤンデレゲーの主人公だわ。 [一言] く、くそ!! すでに予言が当たり始めているだ、と‥‥ (感想じゃ…
2022/07/02 20:33 退会済み
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