表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヤンデレゲーの主人公は普通の恋を望む。(完結)  作者: ちはやれいめい
一年生 春編 運命に翻弄される春
48/133

48 初の社交界。お城で舞踏会です。

挿絵(By みてみん)


 生きている間にお城に来ることがあるとは思いませんでした。

 学院もだいぶ敷地が広いですが、ここはもっと広いし、見上げても最上階が見えません。

 セシリオ様、こんなすごいところに住んでいるんですね。


 イワンにエスコートされて会場入りしました。

 新入生歓迎会の比じゃない人がいます。

 大半は同年代の人ではなく、大人の方々。お母さんくらいの年齢の人から、おじいちゃんくらいの人まで。

 国政に携わる方や企業の方、貴族の当主などだとイワンが話してくれます。


 人が多すぎて、ひとりひとり説明されてもちっとも覚えられそうもありません。


 白髪にヒゲを蓄えたおじいさんが、イワンに話しかけてきました。


「これはこれは。ラウレールの若君ではありませんか。久しいですな」

「お久しぶりです、セレッソ伯。お元気そうで何よりです」


 イワンが丁寧にお辞儀をします。

 今わかりました。品行方正なイワンは猫かぶりではなく、社交界・外交用。

 偉い方の前で普段の態度をしていたら怒られます。私も先生の前だとシャンとする。そういうことですね。


 私もイワンに事前に教わった通り、ドレスの裾を持ち上げてお辞儀します。


「こちらのお嬢さんは? 社交界で見たことのない顔じゃが」

「ぼくの婚約者で、アラセリスといいます。アラセリス。こちらは君の級友、クララさんのお祖父様だ」


 挨拶しつつも、私にも相手が誰なのかわかるようにさり気なく教えてくれました。

 ありがとうイワン。今イワンが神様に見えます。


「お初にお目にかかります。アラセラスと申します。クララさんには普段から良くしていただいていて、とても助かっています」


 クララさんのお祖父様、クララさんと一緒でとてもお優しそう。


「ほう、では君がクララが言っていた友人か。話はクララから聞いているよ。魔法学に触れるのは初めてなのに、試験で次席を取ったんだって?」

「ギジェルミーナ様やイワン様が、授業の時間外にも勉学を教えてくださったからです」

「ほっほっほ。アレスター家の令嬢とも交流があるとは、存外顔が広い」


 ひとしきりおしゃべりに花を咲かせて、クララさんのお祖父様は他の方のもとへご挨拶に行きました。


「い、息が止まるかと思いました……。貴族の皆様、毎回こんな緊張感のある会話を必要とされるのですか」

「慣れだ。回数を積めば嫌でも慣れる」

「大変なんですね」


 目上の方の失礼にならないよう、細心の注意を払って喋るのは疲れるものですね。学院で先生と話すのと緊張感が違います。


 緊張のあまり、のどがカラカラです。


「喉が乾いたなら、あそこに行くか。未成年には水をくれる」


 イワンが示す方に立食スペースがあります。何人か大人の方々が談笑しています。


 給仕をしていた男性を呼び止め、お水をいただきました。お水をワイングラスで飲むなんて初めてですよ。

 どう持つのが正しいんですか。


 戸惑う私を見かねてか、イワンも水を注文して見せてくれました。


「細い部分をステム、水が入っている部分をボウルという。ボウルを包むように持て」

「はい。ありがとうございます」


 私にはわからないことだらけ。水の飲み方一つとっても、学ぶことがたくさんありますね。

 一休みしていたら、ダンスしている人の中にミーナ様の姿が見えました。

 ミーナ様も私に気づいて、こちらに来ます。


「セリスさん、会えてよかったわ」

「ミーナ様。私も会えて嬉しいです」


 ミーナ様の隣には長身で黒髪の男性がいます。戦闘職の方でしょうか。鍛えられているのがひと目でわかります。

 私の記憶では、ミーナ様に婚約者はいないと聞いています。どなたでしょう。


 男性がイワンに会釈します。


「イワンも来ていたのか。女性を同伴するなんて初めてじゃないか」

「彼女は婚約者だ。アラセリス、こちらはウィルフレド。セシリオの護衛騎士だ。今日は仕事でなく、家の代表として来ているようだが」


 ウィルフレドさん、騎士ですか。

 思い出しました。ミーナ様が大人の男性で騎士様に惹かれているのだと言っていました。

 この方のことでしょうか。

 ミーナ様を見ると口元に人差し指を当てて、ナイショね、と合図してきます。

 承知しました。


「はじめまして、アラセリスです」

「イワンの婚約者になるなんて、君は勇気のある子だな。毒舌家でへそ曲がりだから大変だろう」

「あ、それは大丈夫です。慣れれば小鳥のさえずりみたいなものです」


 スパンと、後頭部を叩かれたのは納得いきません。

明日も19:00ころ更新です。

49話 恋のライバルさんがケンカを売りに来ました。

お楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
[一言] ついに社交界篇! なかなか緊張しますな! でもって次回はこれまた大変そう(;'∀')
[良い点] セリスたんの社交界デビューですわ!! 学校に入学するまで、こうして対象キャラと知り合うまでは庶民の自分がまさかお城の舞踏会に出席するとは思ってなかったですよね、きっと。 クララのおじい…
2022/07/30 19:59 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ