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ヤンデレゲーの主人公は普通の恋を望む。(完結)  作者: ちはやれいめい
一年生 冬編 花嫁修業と、優しい国を作るための一歩
128/133

126 それぞれが、自分にできるすべてを。

「私がいることで、イワンが危険に晒されるなんて」

「逆だ。オレのせいでお前が狙われているんだ。……絶対一人になるなよアラセリス。何をしてくるかわからない」


 イワンはそう言ってくれましたが、私とつがいになったことはイワンの弱点にもなってしまっていた。

 私のせいで、大好きな人の命が終わるかもしれない。

 こんなに恐ろしいことはありません。


「ワルターの計画、なんとしてでも阻止しないといけないわね。アタシもセリスさんを守るわ!」

「ああ。こんな身勝手なこと、許しておけるわけがない。わたしも協力するよ」


 セシリオ様とミーナ様も神妙な顔になります。


「今夜ワルターの会合に主様とエルネスト、魔法士団長が乗り込む。首謀者が捕まれば下っ端は何もできなくなるハズ。イワンはアラセリスの身を守れ。我はこのことを主様に伝えてくる」


 カイムが一声鳴いて、窓から飛び出しました。


「任せたぞ、カイム」

「このあたりの鳥たちに、不審な様子があるならイワンに伝えるよう言ってある。使い魔を出しておけ」

「わかった」


 イワンはしーちゃんを喚び出して飛ばしました。

 何かあれば鳥たちを介して、しーちゃんが危険を知らせてくれます。



 私は足が震えて、その場にへたり込んでしまいました。さっと、イワンが体を支えてくれます。


「アラセリスさん。不安だと思うけれど、わたしもそばにいるから、気を確かに」

「そうだぜセリス。俺の親父も出動するなら絶対、悪い奴らを捕まえられる。だから安心しろ」


 クララさんとローレンツくんの気遣いがあたたかいです。でも、不安を完全に払拭することはできないです。


 だって、私のせいでイワンの命が終わってしまうかもしれない。

 自分が死ぬことより、そのことが何より怖い。

 涙が止まらないです。


「学院の外に出ないほうがいいな。学院内は部外者侵入禁止だから、警備もいる。生徒会の仕事で泊まる、という手続きを取っておこう」

「それならアタシが申請を出してくるわ。セリスさんは今すぐ女子寮に行って」


 学院内の女子寮はとくに警備が厳重です。新入生歓迎パーティーの準備でそうしたように、来賓用の部屋を借りることになりました。


「すぐ駆けつけられるよう、オレも男子寮の来賓室を借りるから」

「……はい」


 イワンの言葉にうなずきます。


「わたし、お母さんにこのことを話してくるわ。先生方の協力も得ましょう」

「俺も行く。他の教師も話を聞いてくれるかもしれないから、話せるだけ話してまわろう」

「……ありがとう、クララさん、ローレンツくん」


 クララさんとローレンツくんがさっそうと生徒会室を出ていきました。


「手続きが終わるまでふたりはここにいるといい。書類だの面倒ごとはわたしたちが引き受ける。イワンもセリスくんも、身の安全だけを考えなさい」

「恩に着る」


 もしものときのため、何度も何度も、頭の中で詠唱の反復練習をします。襲撃が来てもすぐ反撃できるように。


 学院の警備を突破して侵入してくる可能性も捨てきれませんから。


 みんなが私たちのためにここまで尽力してくれているのです。

 怖いけど、私も守られているだけでなく、自分にできる全力を尽くしましょう。


 負けるわけにはいきません。

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― 新着の感想 ―
[良い点] どうかみんな、セリスたんを守ってね(><) どうか、無事に解決しますように……! 悪い奴なんかに負けるな!
2022/10/23 11:54 退会済み
管理
[気になる点] 変革する時代は 振り下ろす鉄槌に似ている 柔軟であれば ただ変わり 硬ければ ただただ壊れるだけ ――BLEACH巻頭詩風(ォィ [一言] ここが踏ん張りどころですね(`・ω・´)…
[一言] クライマックスになってきましたね。 みんな頑張れー!
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