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ヤンデレゲーの主人公は普通の恋を望む。(完結)  作者: ちはやれいめい
一年生 冬編 花嫁修業と、優しい国を作るための一歩
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125 知らないところでとある計画が動き出していました。

 二の月。

 ついに学年末テストが終了しました。


 実技も筆記も全力を出し切ったので自信があります。

 先生の手でテスト用紙が回収されて、大きく伸びをします。


「ふー。これでもう一年生のテストはおしまいなんですね」

「セリスさんお疲れ様。ここ最近ずっとイワンさんと一緒に図書室につめてたものね」

「ほんと。お前ら、鬼気迫るもんがあったぞ」


 クララさんとローレンツくんがねぎらってくれます。


「あはは。やっぱり心配させちゃってましたね。お父様にも叱られました。勉強し過ぎだからちゃんと休みなさいって」

「勉強し過ぎで叱られるなんて俺には一生縁がない話だな。勉強しろって親父にケツ叩かれてばっかりだぜ。ハッハッハ」


 胸を張ることじゃないですよー。

 ケラケラ笑うローレンツくん。クララさんもそんなローレンツくんを見上げて、なんだか楽しそうです。



 そんなふうにのんびり話していると、イワンが珍しく切羽詰まった様子で教室に入ってきました。


「アラセリス! ああよかった。まだここにいたな」

「ど、どうしたんですかイワン。そんなに慌てて」


 落ち着かない様子のイワンは、血相変えて、という表現が合っています。

 イワンの肩にはしーちゃんではない鳥の使い魔がとまっています。


「あれ、その子はたしか、ランヴァルドさんの?」

「ああ。祖父さんの使い魔、カイムだ」


 カイムは鳥なのに、威圧感があるというか堂々とした雰囲気です。同じ鳥の使い魔でもしーちゃんとはだいぶ違います。


「ローレンツとクララもいたか。ちょうどよかった。生徒会室に来てくれ。途中セシリオとギジェルミーナも呼ぼう」

「どうしたんです」

「生徒会室で話す」


 みんなで話さないといけないような重大な話があるようです。

 ローレンツくんとクララさんも不思議そうにしながらも、イワンの緊迫した様子を見て深くうなずきました。


 久しぶりに生徒会室に旧生徒会メンバーが全員集合しました。


「引退したわたしたちを呼ぶなんて、よほどのことだね。何があったんだい」

「わたくしたちにも関係ある話?」


 答えたのはイワンではなく、カイムでした。


「グラーナトムが反魔族活動の計画を立てていることは知っているか。イワンが生徒会長を担うことや、セシリオ殿下たちのやっている、アウグストとルシールの国際交流が許せないらしい。敵と仲良くする王など要らぬとな」

「ワルター先生が、そんなことを?」


 セシリオ様は驚きの声をあげました。

 にわかには信じがたい、そう顔に出ています。


「今夜、グラーナトムの経営する酒場で集会がある。昨日までの情報はここまでだったんだが、ついさっき新たな情報を得た」


 言いながら、カイムが私のほうに向きます。


「魂が繋がっているから、つがい(・・・)を始末すれば必然的に片割れも死ぬ。非力なつがい(・・・)の方をつかまえればいい、とグラーナトムの仲間が言い出した。学院の外に出たが最後、馬車が襲われてアラセリスは連れ去られ、殺される」


 

 集まっていた全員が、息をのみました。


 私とイワンはつがい(・・・)

 魂を分け合っているので、寿命はお互いの寿命を足して二で割った状態。そして死ぬのは同じ瞬間です。

 つまり天寿を迎えずとも、片方が死ねば必然的につがい(・・・)も死にます。


 つがい(・・・)の性質を逆手にとって、イワンを殺すために私を殺そうということですか。


 攻撃魔法に長けたイワンはすごく強いから、無力な私を狙う。

 理にかなってはいますが、怖気がはしります。

 ワルター先生は魔族が嫌いだからって、そこまでするんですか。


 悲しいのと、悔しいのと、やるせなさで胸がつまりました。


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― 新着の感想 ―
[一言] ここまで来るともう下衆の極み(# ゜Д゜) こいつぁもう盛大にざまぁしてみせねば!!
[良い点] 一気に不穏な空気が高まりましたね。 無力なアラセリスを殺そうだなんて……さすがヤンデレゲーの世界。 この状況をどう切り抜けるのか。次話が楽しみです!
[良い点] おおふぅ、 ワルター‥‥救いようがないほどの輩であった。 孫娘のためうんぬん、だけではなく。 本当に魔族に対しての嫌悪感が、そこまで動かすほどに強いのですね。 イワンたまの力は強いから、…
2022/10/22 19:44 退会済み
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