表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヤンデレゲーの主人公は普通の恋を望む。(完結)  作者: ちはやれいめい
一年生 冬編 花嫁修業と、優しい国を作るための一歩
126/133

124 大人にしかできないやり方で、子どもたちを守ろう。 feat.エルネスト

 ラウレール邸の離れで両親と話していると、開けた窓から黒みがかった鳥が入ってきた。

 父上の使い魔、カイムだ。

 鳥と人、二つの姿を持つ悪魔の一種。あらゆる生き物の言語を理解する特殊能力を持っている。


 カイムは父上の前に降りて頭を垂れた。


「主様。反魔族の集会は明日の夜、グラーナトムの管理する酒場で行われるそうです」

「報告ご苦労。他に気づいたことは」

御令孫ごれいそんとその妻君さいくんに何やら嫌がらせをしているようです。廊下で足を引っ掛けるような、物的証拠が残らないようなことばかり」


 自分よりはるかに年若い子どもたち相手に恥ずかしくないのだろうか。仮にも公爵家の当主がすることじゃない。

 父上への報告を聞きながら、怒りと呆れが同時に胸の中にわいてきた。


 もともと嫌な教師だったが、今もそんな人間だったなんて。

 母上は頬に手を添えて首をかしげる。


「ワタクシの記憶が正しければ、グラーナトムはエルネストが学院生だったときの担任教師ではなくて? あんな人がまだ教師をしていられるなんて、魔法学院はよほど教員が足りていないのかしら……」

「ええ。母上の記憶どおりですよ。彼はわたしの担任だった。わたしが半魔ハーフなのが気に入らないのか、授業中ほぼ無視だった」


 ああいう大人にだけはなるまいと、反面教師にしていた。

 


 セシリオ殿下をはじめ、若者たちが新しい時代を築こうとしているのに、老人たちは「魔族なんか受け入れてなるものか」とそれを阻害しようとする。


 わたしたちの敵は魔族ではなく、若者の道を断とうとする老いた人間だ。


 イワンたちの望む、種族の隔てがない国になることはわたしの望むことでもある。


 ならやることはひとつ。


 大人にしかできないやり方で、ワルターたち反対派を止めないといけない。


「明日、ちょっとテオパルド殿を誘って飲みに行ってみようか。なんだか急に外で酒を飲みたい気分になってきた」

「それは良いな。ーーカイム。ロッサ邸に飛んでくれ。テオパルド・ロッサにエルネストの話を伝えるんだ」

御意ぎょい


 わたしの使い魔はウサギだから、あまり伝令向きではない。

 だから父上はわたしがなにか言う前にカイムに指示を出す。


 三〇分も待たないうちに、カイムがテオパルド殿の返事を聞いて戻ってきた。


「『承知した。日没後、店の近くで落ち合おう』ーーとのことです」

「ありがとうカイム。助かった」

 

 テオパルド殿が話のわかる人で良かった。彼もまた新しい時代の風を望む者。


 きっと明日、何かつかめるはずだ。

 


挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
[一言] 味方になってくれた大人たちが頼もしいのです( ´∀` ) 良き未来が、訪れる日も近い……!?
[良い点] 何やら大人達が裏で見えない協力してくれる?! 心強いですね(●´ω`●)b 元教頭!昔からそんななのか。。。
2022/10/22 10:28 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ