表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヤンデレゲーの主人公は普通の恋を望む。(完結)  作者: ちはやれいめい
一年生 冬編 花嫁修業と、優しい国を作るための一歩
115/133

113 お母さんの看病で帰省です。②

「まったくもう、おじさんたち調子に乗りすぎです!」

「そう言うな。会う機会が減ったから寂しかったんだろう」


 雪ノ下カボチャに包丁を入れながら、イワンが口の端をあげます。私がやっても包丁が抜けなくなるだけなのに、軽々真っ二つにしちゃう。やっぱり男の人なんですね。


 今回は半分だけ使います。残り半分は後日使ってもらいましょう。

 切り分けたカボチャを煮込んで、すりつぶして、お母さんが食べやすいようポタージュスープにします。

 実はポタージュはお母さんの得意料理なんです。


 普段私もごはんを作るのを手伝っていたので、味付けを覚えています。

 覚えてはいても完全にお母さんの味を再現できないのが悔しいです。


 海ヒツジのミルクとルシール海の塩、それから少しの香草ハーブ

 小皿にとって味見をしたら、私の中での合格点です。


「できました!」


 イワンが意外そうな顔で拍手します。


「料理できるんだな」

「失礼な。すごく美味しくできましたよ」


 ラウレール邸には料理人マリオさんがいるから、私が料理する機会がないだけです。

 それに、一番食べてほしいイワンは食事の味を感じないから。

 私が料理を用意しても迷惑になるだけかな、なんて。


「ふぅん」


 ふいに、イワンが小皿を持っていた私の左手を捉えて、皿にちょっとだけ残っていたスープを舐めました。


「な、なにしてるんです?」

「いや、オレにも人の味覚があればよかったのにな、と思っただけだ。人間なら、嫁の手料理ってやつを喜ぶんだろう」


 私がイワンの味覚を知りたいと思うように、イワンも私の味覚を知りたいと、思ってくれているんですね。

 同じ味を感じてみたいって。


「じゃあ、こうすれば少しは味を感じるでしょうか」


 また小皿にスープをとって、自分の口に含んでイワンに口移しします。

 魔力と一緒に渡せば、味がわかるかな、なんて。


 イワンは目を丸くして、それからふわりと笑いました。


「……うまいな」

「えへへ。自信作だから嬉しいです」



 お母さんにカボチャのスープを持っていったら、とっても喜んでくれました。多めに作ったから、レネが帰ってきたあとおかわりしても大丈夫。


 夕方にはお母さんの熱は下がって、起きていられるくらいになりました。



 商店街のみんなから精のつくアレコレをプレゼントされた話に大笑いしてくれちゃって。

「せっかくのご厚意なんだから持って帰りなさい」って押し付けられました。


 あ、うん。これは絶対、お屋敷でも何か言われるやつですよね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
[気になる点] 使い魔との感覚共有……それを応用して疑似的に味覚を得られないだろうか(ぇ [一言] 口移しで味見……くぅぅ!! 甘い!! 良き!!( ´∀` )
[良い点] ポタージュスープ、ほっとしたい時や風邪の時に飲みたくなりますね(●´ω`●) 口移しで「味」の共有。 美味しいって言ってもらえて良かったですねv 帰ってもからかわれるに一票!!
2022/10/16 19:44 退会済み
管理
[良い点] アラセリスとイワン、すっかり仲良し夫婦ですね♪
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ