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第1話 始まり

 この度は数ある作品の中から、選んで読んでいただきありがとうございます。

 楽しんでいただけるように、頑張りますので応援よろしくお願いします。


※まずは、7話目まで読んでみてください。世界観が伝わります。

※ 活動報告やTwitterアカウントで、情報発信をしております。夢以絵 紫桜理のリンクからマイページをご覧ください。

※ ご感想、レビュー、ブックマーク、評価、いいね、Twitterのフォロー 等いただけると、励みになります。


では、「DERUDOREIS:デルドレイス 〜異次元で自分自身を知る戦いが世界を動かす〜」の世界をお楽しみください。

 人生には、フィクションがノンフィクションに変わる瞬間がある。

 そのことを鈴木すずき 梨央奈りおなは、この時、当事者として思い知った。


 平凡でどこにでもいる30代の女。

 むしろ、人と比べて劣ってると感じる人生。

 劣等感を感じながら、せめて最低限は普通だといわれるように生きられればいい。

 梨央奈は最近そう思っていた。


 それが今、普通とは言えない異常な状態だ。

 左腕と左足が途中から無く。

 血が吹き出している。

 痛みに耐えながらも大丈夫だと確信している。

 なぜなら梨央奈が自分で切断したからだ。

 目の前には迫る怪物。


 今までの梨央奈からは、フィクションな領域。

 それが今の梨央奈のノンフィクションだ。


『生きろ』


 梨央奈は目を見開きながら、頭に浮かぶ誰かからの言葉を思い出していた。


ーーーーーー


 異変が始まったのは、3ヶ月前だった。

 最初に梨央奈は自分の”好きな色”に違和感を感じた。


 鈴木すずき 梨央奈りおな。36歳。独身。一人暮らし。

 日本の東京都内で、中小企業に社員として勤めている。

 髪も瞳も黒。髪は肩を少しこえる長さ。顔や体型も特別目を引くような外見でもなく、むしろ地味なほうだろう。目が悪く、眼鏡をかけている。体型は150センチ代の痩せ型。

 どこにでもいる平凡な人間。

 それが梨央奈だ。


 務めるのは、起業から数年で急成長しているIT企業。

 梨央奈は、別業種から転職し中途採用で入社した。入社6年目になる。文系のデザイン職からの転職で、理系のプログラムを覚えるのには苦労した。今も、理系脳を持ち学生時代からプログラムを学んできた同僚達には遅れをとっている。それでも真面目に仕事に取り組み、少しづつ頑張っていた。


 梨央奈は、先輩である高橋たかはし みつるから注意をうける。


「鈴木さん。ここのプログラム間違えてる」


「すみません! すぐに修正します」


「そろそろこういうミス減らしてこう。入社6年目なんだから。よろしく」


「はい。すみません!」


 高橋 充は、26歳だが梨央奈より先に入社した男性の先輩だ。髪と瞳は黒く、背が高いが細身で、眼鏡をかけている。


 真面目に頑張っていても結果がついてくるとは限らない。

 梨央奈は勤務年数が増え、年齢的にも結果と実績を求められるようになった。だが最近、周りから求められるレベルやスピードについていけなくなってきていた。

 梨央奈は思った。


(はあ……最近あやまってばかりだな……私……)


 営業部の佐々木 恵(ささき めぐみ)が、笑顔でお土産を手に持ちながら声をかけてきた。


「お疲れ様です。お仕事中失礼します。すみませんがお土産くばらせてください。今しか時間が取れなくて」


 佐々木は、落ち着いた茶髪の長い髪をオシャレに後ろでまとめている。瞳は黒。36歳明るくハキハキとした性格で頭の回転も早く、営業部でトップの成績を取り続けてる。2児の母であり、旦那さんと幸せな家庭を築いている。


「はい。鈴木さん。ハンカチなんですけど、鈴木さんの好きな赤色にしたんです」


 そう言ってお土産のハンカチをくれた。


「ありがとうございます。でも……」


 赤いハンカチを見て、梨央奈は背中がゾワリとした。


(赤は、嫌いな色だ……)


 瞬間的にそう思った。

 固まった梨央奈に気づいて佐々木が言う。


「あれ? この前の飲み会で言ってましたよね、赤が好きだって」


 言われて梨央奈は思い出す。


(確かに言った。そう。言ったんだ、私が……。赤が好きだって)


 梨央奈は思い出し、違和感を感じながらハンカチを受け取った。


 理屈ではなく本能がこれ以上あらがってはいけないと感じていた。

 それでも梨央奈は単純に思った。


(赤は、私の嫌いな色。私が好きな色は、緑だ。なんで今はそう思うんだろう)


 ふと、梨央奈は自分の机を見渡して気づいた。

 パソコンのデスクトップの画像は赤。

 手帳も、ペンも、蓋付きのカップも赤。


(なんで……。気持ちが悪い……)


 次の日、全てを緑色に塗り変えた。

 いや、塗り戻したのだった。

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