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最強のギルド職員は平和に暮らしたい  作者: 月輪林檎
第二章 ダンジョン調査

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今度こそ上層へ

改稿しました(2021年11月19日)

 ちょっと休憩したことで、ボスサハギンとの戦いで消耗した体力が少し戻ってきた。


「よし、早く上層に上がろう。ここが第何層か分からないけど、ボスがいたって事は、最下層のはず……ん?」


 ボスサハギンを倒してすぐに休憩に入ったから、気が付かなかったけど、部屋の奥に宝箱みたいな箱があった。ここに落ちてきたときにはなかったはずだから、ボスサハギンを倒したことで現れたんだと思う。


「何だろう?」


 細心の注意を払って、宝箱を開けると、中には、真っ白な花の装飾がされた指輪が入っていた。


「何で、指輪なんだろう?」


 確か、ダンジョンの中には、宝箱が現れることがあるって聞いたことがある気がする。中身はランダムで、その人に合うものから、全く合わないものまで、様々みたい。


「ボスを倒しても現れるんだ? こう考えると、ダンジョンについての知識が追いついていないなぁ。上に戻れたら、ダンジョンについて、もっと勉強しておこう」


 元々今回の調査は、キティさん達に、ダンジョンについて教えて貰いながら進めていく予定だった。でも、一人になった今は、上で学んでおけば良かったと、後悔している。


「取りあえず、付けてみようかな」


 指輪を指に通してみると、意外なことにぴったりと填まった。


「綺麗……」


 指に填めると、指輪の美しさがより鮮明に分かる感じがした。ただ、身体から力が湧き上がってくるというような事もなかった。


「何が変わったのか、よく分からないけど……まぁ、いいや」


 指輪を填めたまま、私は、ボス部屋を出て行った。さっきまでと同じく、地図を作りながら進んで行く。


「最下層にも落とし穴はあるのかな?」


 さっきから、ずっと引っかかっている落とし穴に、少し不安を覚える。さすがに、最下層には無いと信じたいところだけど、完全に信じるには、知識が不足している。


「ここからも落とし穴は警戒しておこう」


 最下層にいる間も、落とし穴への警戒は解かないでおくことに決めた。地面を鞘に納めた雪白で叩いて、確認しつつ先を急ぐ。キティさん達と合流するために。


「そういえば、あの特殊個体は、まだあの階層にいるのかな?」


 目下一番の問題は、サハギンの上位種……いや、特殊個体だ。あの特殊個体は、階層を移動して追ってきた。階層無視のダンジョン固有モンスターという風に認識しておいた方が良いかもしれない。それに、あの特殊個体から感じる執着心は、通常の魔物よりも強く感じた。


「まさかだけど、これ以上、階層を降りてくるなんて事は無いよね」


 一度降りてきたのは、私を追ってきてのことだったはず。私が、落とし穴に落ちたことで、特殊個体も追って来なくなるはず。落とし穴に落ちたということを認識して、階層を跨ぐということはないと思いたい。


「後は、一体だけじゃないかもしれないから、それを警戒する必要もあるかな」


 さっきよりも警戒度を上げる。あの特殊個体が何体もいたとしたら、このダンジョンは、かなり危険なダンジョンということになる。一体しかいないということを祈っておこう。


「はぁ、この辺りもメモしておこう。ガルシアさんに相談しないといけなさそうだし」


 色々と警戒しながら歩いていくと、この階層の魔物に遭遇した。


「……普通のサハギンじゃない。あれが上位種かな」


 サハギン以上ボスサハギン未満の大きさのサハギンだった。後で知った名前だけど、グレーター・サハギンって言うみたい。


「サハギンより強くて、ボスサハギンよりも弱いって感じかな。一度戦ってみる必要は有りそう」


 雪白を鞘から引き抜いて、一気に駆ける。まだ気が付いていないから、不意打ちを喰らわせることは出来るはずだ。


「ふっ……」


 短い呼吸とともに、勢いよく白雪を突き出す。魔石を狙った一撃は、狙いを違えること無く命中させることが出来た。いや、実際には、少しだけズレていたけど、魔石を破壊する事は出来た。


「ちょっと硬いけど、倒す事は出来た。これなら大丈夫そう。でも、やっぱり狙いが上手く定まっていない感じがする」


 さっきの戦いでも気になったけど、私の攻撃は、正確性に欠けるみたい。それは、大きくなればなるほど、顕著に表れる感じがする。基本的に【剣姫】のスキル補正に頼って動く事が多いから、大きな一撃を見舞おうとする事が多い。その方が、早く決着を付けられるからって言うのもあるかもしれないけど、点での攻撃に影響が出ているようだ。


「これからの戦いでは、意識していかないと。致命的なミスを犯す前に」


 これからの課題を確認しつつ、私は、探索を進めていく。魔物の数は、上層よりも多く、戦闘回数が格段に増えた。でも、そのどれもが、グレーター・サハギンだったので、問題なく倒す事が出来た。特殊個体に関しては、最下層では発見する事は無かった。やっぱり、あの一体だけなのかもしれない。


 そして、一つ上の階層に上がる前に、安全地帯で休憩をする事にした。休憩って言っても、睡眠を取ることは出来ないから、壁により掛かって、体力を回復させるだけしか出来ない。


「時計を持ち歩けば良かったかな。今何時かも分からない。落とし穴に落ちて、どのくらい経ったんだろう?」


 今のところ発作は起きていない。でも、眠らない期間が延びて、リリアさんやキティさん一緒にいない期間も長くなるから、発作が起きる可能性が高くなっていってしまう。


「発作が起きる前に、キティさん達との合流を急がないと」


 休憩を終えた私は、上層を目指して進んで行く。

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