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己を知る

 免疫力を高めようと運動する人がいます。ジムに通う人がいます。運動して免疫力が上がったから病気にならないと思っているのかもしれません。しかし残念ながら免疫力は鍛えて身に付くものでもありません。『ドラゴンボール』の戦闘力のようなものではないのです。私の免疫力は53万とか、言えたらいいんですけどね。



 人の免疫は二段構えになっています。


 一次免疫、二次免疫と言います。植物の場合も二段構えになっており、一次免疫は細菌の鞭毛タンパクを、二次免疫ではエフェクタータンパ(割愛)

 人の場合の一次免疫は物理的防御です。何か格好いい感じがしますが、その実は皮膚です。人の皮膚は超優秀なのです。


 泥遊びをしたことはありますか。食中毒細菌のほとんどが土壌細菌と言われていますが、泥の中にも大量の病原体が存在します。しかし、泥遊びの度に何かに罹患するという経験はないと思います。これはほぼ全ての病原体が皮膚を貫通できないからなんです。更に言えば、人の皮膚は汚れを簡単に落とすことができます。超便利ですね。

 ではこの、最強の盾とも言うべき皮膚を持ちながら病気になるのは何故なのか。それは全身が全て皮膚で覆われているわけではないからです。目、鼻、口、更には傷口。粘膜が露出している箇所にはこれがない。それが人の弱点です。ただこの弱点を補うシステムもあります。それが二次免疫、皆さんお馴染みの獲得免疫です。


 詳しくは『はたらく細胞』という作品をご鑑賞いただくと分かりいいと思いますが、獲得免疫とはヘルパーT細胞やキラーT細胞等が絡んでくる、一度罹った病には二度と罹らないというものです。

 抗原抗体反応と言うものを利用していますが、これはしばしば鍵と鍵穴に例えられます。

 要は病原体が持つ南京錠を開けないと退治できないので、そのための鍵を用意するということ。病原体の南京錠の鍵穴を解析して、それに見合う鍵を生産、量産することで撃退します。ただこの量産体制を整えるのには時間が掛かります。その間の防御反応が発病状態と言われる発熱、咳、くしゃみ、鼻水等です。

 ここまでお読みいただくとお分かりいただけるかと思いますが、二次免疫は罹患することが前提です。現在猛威を振るっているコロナウイルスに関しても例外ではありません。感染拡大を食い止めるためには一次免疫で防御する必要があります。


 前述の、運動に関してですが、健康的になれば肌の調子がよくなったり、鍵の生産体制が安定したりはすると思います。ただ残念ながら、運動しても皮膚が鋼のようになることはなく、どんな南京錠も開けられるマスターキーが手に入るわけではありません。何事も過信は禁物です。

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