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ディバインギフト ~漆黒の討伐者~  作者: モグラ
第一部 討伐組織結成編
3/21

第2話 紅色髪の女性

「失礼します」


 そう言ってグレイは、指令室なる部屋に入った。


 目の前には仕事用の机と革製の椅子、そこに紅色のセミロング髪の女性が座っていた。


 整った綺麗な容姿に、清楚を感じるワンピース、ニット製のカーディガンを羽織っており、見た目から貴族の様な印象を覚えた。


「初めましてグレイさん。 私の名前は『ルージュ』。 お時間頂きありがとうございます」


「いえ、構いません。 それで、私に何の用でしょうか?」


「さっそくですが、この『封書』をある住所まで届けて欲しいのですよ」


 グレイは、ルージュから渡された封書を手に取り、確認する。


 そこには、見覚えのあるマークが印字されていた。


 その印字について、グレイはよく知っていた。


 『討伐指令書』というものだ。


 だが、グレイは渡された封書を机の上に置いて、ルージュに返す。


「……すみませんがお受取できません」


「どうしてですか?」


「新しい配達の依頼は、事務所を通して頂く手続きが要りますので」


「では、個人的に貴方にお願いしますわ。 報酬はこれくらいでどうでしょう?」


 ルージュは、少し重たそうな革袋を机に置く。


 その拍子に硬貨がぶつかりあう音が、重く部屋に響き渡った。


 そして、彼女は話しを続ける。


「これでお願いできるかしら?」


「……見ず知らずの私が届けるという保証は、ありませんよ?」


「大丈夫、貴方なら必ず届けてくれる」


 グレイには、彼女の言っている根拠は、どこにあるのかわからなかった。


「申し訳ないですが、依頼はお断りします。 それでは失礼します」


 グレイは、捨て台詞を吐くように後方を向き、入ってきた扉から部屋を退出しようとする。


 だが、ルージュが背中越しに問いかける。


「貴方がその封書について、一番お判りでしょう、グレイさん? いえ、元『漆黒の討伐者』さん?」


(なぜ、その名前を!?)


 突如グレイの全身に小さな電撃のようなしびれが走る。


 足を止め、ゆっくりとルージュを睨むように振り向く。


 ーー『漆黒の討伐者』。


 それは、魔物と闘う討伐組織の総称として呼ばれている言葉だ。


 それはつまり、グレイが過去に討伐者として生きていた事を知っている、と言うことを示しているようなものだった。


「……お前はあの組織の仲間か。 目的は何だ?」


「私の目的はただ一つ、組織の『真実の顔』を知りたいの」


「『真実の顔』?」


「さて、話を戻しましょうか」


 ルージュは、一息ついてから話しを続ける。


「貴方が素性を隠して、この街に居る事を知っているのは、私だけ。 どうします?」


 ルージュは微笑を浮かべ、グレイに明るい口調で言った。


 グレイは、今の状況で断れる場ではない事を察した。


 机の上に置いてある『討伐指令書』と報酬金を手に取って返答する。


「この『指令書』を届けるだけだ」


「交渉成立ですわね」


 グレイは喫茶店を後にする。


 『ルージュ』という女性は、その優しい笑顔と見た目とは裏腹な性格をしているように覚えた。


 頭の中で様々な感情や思考がよぎりながらも、スクーターのエンジンをかける。


 ブロロロロ……


「これは昼飯抜きかもな……」


 溜息と一言つぶやきながら、目的の住所までスクーターを飛ばしていくのだった。

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