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ワタクシ。Ritaであります!  作者: リノキ ユキガヒ
第一章「ワタシというモノ」
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 大分話が脇道にそれたがリビングの話に戻そう。

 このリビングを飾り立てるのは何もバカデカいテレビだけではない。

 それに、それだけならこの部屋に客人を招き入れない理由としては少し弱い。

 改めて視線をテレビに向ける。

 テレビの両脇にはそれなりの大きさのガラスケースがありそこには、自分が高校生のころからコツコツ集めたものが飾られている。しかもその数は今の仕事についてから加速度的に増えていった。

 人間。ものが集まるとそれをそれなりに見栄えのするようにしたくなる。まぁ、経緯はそんなところだ。

 因みに見せる相手は特段いない。

 

 …。

 

 では中身についての説明に移ろう。まず、一番目を引くのが窓側に設置してあるガラスケース。

 三八式歩兵銃のエア(ソフト)ガンを収納してある。

 しかも縦ではなく横向きに。

 全長約1200mmのそれがスッポリ横向きに入るガラスケース。それだけでこのガラスケースのデカさが想像出来るだろう。

 しかもそれが屈まなくても見れる位置にある。

 最早、博物館。

 大概このような長尺物は壁にかけるか、縦方向の斜めにしてケースにもたれるように、立て掛けるように格納するかである。

 しかし私としてはこの偉大なるサンパチをただ置くという方法で収納する事は許せなかった。

 百年に渡り戦い続けた偉大な戦士をその様にただ単に立て掛けるなどという、安易な収納展示でよいわけがない!

 日本を代表するガンスミス。有坂成章の名を冠した愛称。ARISAKAの名で親しまれ、いまだに射撃大会で優勝をもぎ取る位にその名声は衰えを見せてない!いや!その輝きには威光すら感じる!!

 しかしなぜ海外なのか!?日本ではなぜ可動状態で保存されてないのか!?日本人だが思わずFワードが出そうになる。

 で。

 いろいろ当たっているうちにたどり着いたのがデパートにショウケースなどの什器を納める業者だった。特注品ではないものの個人宅に納品をするのは創業以来初めての事で大分おどろいていたのがその時は印象的だった。

 初見の電話口で何回も「え?」を連発していた。

 管理人さんも当然驚いて、入口でひと悶着あった事が容易に想像できる。

 何せ普段、百貨店などに品物を納めている業者がいきなりトラックで馬鹿でかいショーケースを持って現れたのだ。そりゃ驚くのが当たり前だ。

 それ以来だが、何か大型な商品を自宅に配送して貰う際は、日時を伝えるようにしてある。

 しかし、そんな苦労の甲斐あってか?私の持つ数々のコレクションは業務用のショウケースを満たす事になった。

 しかもそのショウケース。キャスター付きなところが何となくプロユースっぽくてカッコイイ。

 それに照明つき。ここに飾ってあるキャストモデルは値札さえ付ければそのまま売り物ような感じさえする。

 普段はブランド物の商品を陳列するものなのだが、その中にあるサンパチはもとより、私のコレクションが宝石の如く輝きを放つのはいつみても自分の所有欲を満腹にしてくれる。

 そしてサンパチから下にあるのは航空機などのダイキャストモデル。

 勿論、ゼロ戦こと零式艦上戦闘機に始まる。

 サンパチの銃口側。つまりテレビから窓際に向かって、零戦のプロトタイプである十二試艦戦闘機に始まり二一型、三二型、ニニ型、五二型、となる。

 この辺は高校生の頃にお小遣いなどでコツコツ買い集めた物だ。結構安価でまめに専門店に通えばセール品などにお目にかかれる。

 やはり旧軍マニア、特に海軍びいきな人間にとっては零戦などは外せない。それにメジャーな商品は集めやすい。

 そして私がモデルとして駆け出しの頃。俗に言う読者モデルというものをしていた頃の初めてのギャラで買ったものがその棚のしんがりを務める。

 それが九八式射爆照準器のレプリカだ。

 よく、OPL照準器などと呼ばれるが、日本軍機初のリフレクターサイト、光像式電影照準器である。

 このようなものは受注生産や数量限定で非常に高価な事が多い。

 事に学生時代はまとまった現金を手にする事は非常に難しい。何度悔しい思いをした事か…。


 モデルとしてそれなりに安定した収入を得るようになると私はそのほとんどを趣味に費やし始めた。

 一般家庭には不釣り合いな巨大なガラスケースが二個もあり、その中は私のコレクションで満載である事からその数の膨大さが伺えるだろう。

 因みにベランダ側のガラスケースは航空機でまとめている。

 零戦の棚に始まり、その下は九九艦爆、九七艦攻、雷電に紫電改、一式陸攻、ついで陸軍機、隼、三式戦飛燕、鍾馗、疾風。

 勿論、旧軍だけではない。更にその下は旧ナチスドイツ空軍機。メッサーシュミット、Bf109、同社で世界初のジェット戦闘機、Me209シュワルベ。

 偉大な空冷戦闘機の傑作、フォッケウルフFw190、同系列最終機種のTa152。特にクルトタンクTa152はレシプロ戦闘機の最高傑作と言われている。この棚はルフトバッフェの歴史的名機がメインだ。

 そして最下層の棚には連合国軍。この辺は正直デザインだけで揃えられてある。

 第二次世界大戦最優秀機P―51ムスタング、旧軍からはペロハチやメザシなどすこし屈辱的なあだ名のP―38ライトニング、しかしヨーロッパでは双胴の悪魔との異名を持つ。そのギャップと独特過ぎるデザインは航空機に興味はなくても見るものの目を確実に引く。

 継いでイギリス軍機、美しい戦闘機の代名詞、スピットファイア、木製航空機の傑作モスキート。

 最近徐々に明らかになりつつある旧ソ軍の航空機。その中でも私はタンクバスターの異名を持つイリューシンシュルトモビクIℓ―2が好きだ。あの愚直そうな実直そうな何か不器用で正直そうな男性のような雰囲気が当機からは感じられる。

 そしてその最後尾には第二次世界大戦に終止符を打った空飛ぶ要塞B―29がデンとある。

 日本人からするとこの爆撃機はもはやトラウマと言っても過言ではない。しかし、航空機として見た場合、当時の技術を惜しみなく投入して作られた飛行機はやはり魅力的に写ってしまう。

 予圧キャビンに、電子制御の火器管制システム、排気タービンによる高い高高度性能。

 日本軍機にはない魅力がそこからはあふれ出ている。


 さぁ、ゲップの出るほど私のコレクションを見て頂いたがこれでもまだ、全部ではない。ガラスケース以外にも箱のままクローゼットに押し込められている航空機はまだ他にも沢山ある。

 そしてガラスケースはまだ一つある。視線をテレビから壁側に向けて頂こう。

 先ほどのサンパチ同様、そこには目を引く。いや、日本人なら目が釘付けになるものがある。

 これぞ旧大日本帝国海軍の象徴。基準排水量六万四千トン。全長263メートル。全幅38.9メートル。ありとあらゆる戦艦の装甲を撃ち抜く史上最大の45口径46サンチ三連装砲塔を三機搭載した。

 

『戦艦・大和』

 

 が鎮座する。サンパチが横にして楽々入るこのガラスケースに何とか収まった当艦は私のコレクションの集大成的な存在だ。

 このマンションに入居した記念に購入を決意した。

 自分でいうのもなんだが、ある程度の金銭的余裕が無ければこの様な大型の模型を持つのは難しい。

 しかも模型だけ購入してもそれを置くスペースは洒落にならない位にいる。単純に人一人寝れる位の場所はいるだろう。

 そう、なのでこの一人で住むには明らかに手に余るスペースはこのような為に使われる。

 この戦艦大和。プラモデルなのがだプロのモデラーが製作したもの。いわゆる一品もので発売が決定した段階で買い手が付いてしまう。本当に縁が無いと購入できるものでは無い。金だけの問題ではないのだ。

 それに維持もそれなりのものに保管しなければ何かの拍子に倒れただとか、手からスッぽ抜けたリモコンが当たって壊れたとかいう事態はあってはならない。何かしらの美術作品を扱う位の覚悟がいるのだ。

 そう、コレクターとしての力量を問われかねない作品ともいうべき代物なのだ。

 その下に大和型戦艦の二番艦

『戦艦・武蔵』

 があるが、それはスケールダウンされてる。

 同型艦で空母に改装された三番艦

『航空母艦・信濃』

 もやはり外せない。

 この二隻だけで二段目はほぼ満載で更に下段には

『戦艦・ビスマルク』

 が鎮座する。

 やはり日本の艦船にはないスマートな美しさが当艦からは感じられる。

 そしてやはりこの戦艦も外せない。アメリカ海軍の。

『ミズーリ』

 だ。

 第二次世界大戦を生き抜き太平洋戦線に終止符を政治的にも打った。湾岸戦争で艦砲射撃を行ったその勇士は戦艦として最後の存在感を世に知らしめた。正に大艦巨砲主義の生き字引的な存在を外せるものか。

 そうなると彼女の存在も外せなくなるのは必然だ。

『戦艦・長門』

 大東亜戦争を生き抜くも戦後、ビキニ環礁沖にて水爆実験の標的艦となり悲劇的な最後を迎えた。

 しかし、その沈みゆく姿は誰にも見られておらず「帝国海軍最後の意地」として後世に語り継がれている。

 そして、最下層には海底空母の二つ名を持つ潜水艦。

『伊-四○○』

 が鎮座する。

 原子力潜水艦が登場するまで世界最大級の潜水艦としてその座に君臨し続け、のちの戦略原潜の設計思想に大きな影響を与えた。

 その隣にそっと佇むのが。

『二式大艇』

 艦船などを飾ってあるショウケースになぜ航空機があるかと言うと、海上での運用を主にしている本機はやはりこちら側のケースに収納するのが妥当だろうと、私個人の見解でそうした。


 


 

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