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ワタクシ。Ritaであります!  作者: リノキ ユキガヒ
第一章「ワタシというモノ」
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 リビングはとにかく広い。ちょっとしたパーティーなら余裕で開けるくらいにある。

 しかし、私にそんなパーティーをする度量も知り合いもいない。それにこのリビングは客人を招き入れる準備は一つもない。

 と、いうかむしろ客を招き入れたところでこの眼前に広がる光景に唖然とするに違いないだろう。

 まず、桁外れに大きい4K対応のテレビ。サイズは市販でほぼ最大ともいえる80インチ。これがリビングの一番いい場所を陣取っている。

 これで、見る映画の迫力は私にとって至福の時間だ。

 まぁ、設置は当然の奴らに手伝わせたが、同じ人種だ。文句は無かった。

 しかし、DVDは規格として浸透するとあれよあれよという進化をとげ、ブルーレイへとなりそのスペックは瞬く間に高くなり、今ではハイビションの上をいく規格。ウルトラハイビジョン。いわゆる4Kなるものがジワジワとその勢力を強めつつあるところまで来た(2017年時)

 しかも進化は止まらず、それの更に上をいく規格が某国営放送の研究所から世に出る間近だという。

 この進化の過程はまるでレーダーが誕生して戦場の様相を一変させたのに似ている。

 メートル波。センチ波。ミリ波。電波の波長をより細かくし、精密な距離を測定できる事になったそれは、初めのうちはある方向から何か飛行物体がやって来るしか判らなかったのが、大戦末期になると射撃管制装置と連動するようになり航空機による脅威に十分な威力を発揮した。

 正にレーダーは戦場においては無くてはならない存在だ。ステルス技術なるものがそれを暗に実証している。

 が、しかしそれは帝海に煮え湯を飲ませる事にもなるが…。まぁそれはさておき。

 勿論私もそれに追従した。そう、DVDで見たあの映画「トラ・トラ・トラ!」の感動を味わいたいからだ。

 初めて見たのはレンタルDVDでディスプレイはパソコンの14インチだったが、航空母艦赤城が太平洋を嵐の中航行するシーンは強烈に目に焼き付いている。

 映画「トラ・トラ・トラ!」の公開は1970年だ。その頃の映画の撮影技術にCGなんて勿論使われていない。

 なので、そのシーンは勿論、模型を使った特撮だ。

 それなのにまるで本物を映したかのようなリアリティ。

 航空機とその武器弾薬、燃料を満載している重量感。

 嵐いう気象条件で鋼鉄でできた三万トン超の艦船が木の葉の用に舞う様は、実写と見紛うばかりだった。

 当時の私は画面を見て思わず固まってしまった。

 僅か数秒のシーンにも関わらずそのインパクトは強烈だった。実写と言われても何も知らない人は信じてしまうかもしれない。

 いや、それだけでは無い。CGが使えないと言うことは出てくる戦闘機はどうしたのか?

「トラ・トラ・トラ!」の舞台は勿論、太平洋戦争開戦前夜から直後だ。

 その頃の戦闘機などを調達しなければならない。

 因みに私が知る限り今現在、限りなく100%に近い、オリジナルの状態で保管されているゼロ戦。いわゆる零式艦上戦闘機は世界に一機しかない。

 しかもそれは大戦末期に活躍した五二型で真珠湾攻撃に参加した零戦の型番は二一型で塗装も濃緑色ではなく飴色だ!

 つまり、劇中に登場する航空機のほとんどはレプリカ。

 そう、わざわざ作ったのだ!

 そりゃあの美しい機体の零戦を再現するのはむつかしいが、それでも実写の持つ説得力はCGのそれを凌駕する。

 朝日の中…。いや、冒頭の九七艦攻の訓練シーンだけでも我々のような旧軍マニアには最早感涙ものだ。

 淵田美津雄中佐の「見ろ!軍艦旗や」のシーンではもはや涙で何も見えなくなる。

「トラ・トラ・トラ!」の凄さはそれだけではない。

 戦艦長門の喫水線上のオープンセット。そこに整列する将官のエキストラは元旧帝海の退役者。

 その敬礼のキレは現代人にはとても実現不可能だ。

 それだけでも一見の価値は十分にある。

 

 はずだ…。

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