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ワタクシ。Ritaであります!  作者: リノキ ユキガヒ
第七章「ついに」①
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 昼食を終え、私達はちょっとした広場へと移動した。まぁ、中庭ともいうか?

 正直、ここの敷地の知識がないので今自分がいる所がなんと言うのかは解らないのが本当だ。で、これから実地訓練を行うのだが、通常自衛隊員はバディという相方を決めて二人一組になって行動する。

 これは部隊の最小単位でもあり、対になって行動する事によって片一方に何かあった場合でも任務を遂行できる様にする為と、負傷によって最悪撤退する場合でもなるべく、手負いの隊員を収容できるようにする為だ。

 兵器、機器は変えが効くが、隊員の替えはそうそうない。

 好例が第二次世界大戦における太平洋戦線でマリアナ冲海戦だろうか?

 熟練の搭乗員不足にも関わらず高練度を必要としたアウトレンジ戦法を実行したため帝海は手痛い損害を被った。

 まぁ、史実はそれに加えアメリカ軍の対空迎撃網が拡充されており、帝海の航空部隊は敵艦隊に近づく事すら許されなかった。

 不名誉にもマリアナ沖の七面鳥撃ち。「ターキーズシュート」などという二つ名まで付けられ、人的資源の不足からくる失敗した作戦のお手本のようなものになってしまった。

 基本的に人的資源の枯渇は物的資源の枯渇に比べるとその補充に、相当量の時間を要するに事が殆どだ。

 特に第二次世界大戦末期。太平洋戦線で行われた特別攻撃は、安易な考えのもとに立案されたとしか思えない。

 爆弾を抱えて突っ込むなら誰でもできると思ったらそれは大きな間違いだ。

 猛烈な対空射撃を掻い潜って敵艦に体当たりするなど、相当な練度を必要とする。

 浮いてるだけが精一杯の航空機にそれは無理な相談だ。

 だいいち、マレー沖海戦で活躍した一式陸攻などの航空部隊は高度数メートルで飛べる様に猛訓練をして、その技術を習得した。

 元々熟練の搭乗員をもってでも相当な訓練を積まないと、艦隊から放たれる対空射撃は掻い潜れない。過去に実例があるにも関わらず実行された特別攻撃には正直、憤りを禁じ得ない。

 それに当時の航空機であれば離陸してそれなりに飛ばすだけでも、相当な技量がいるはずだ。

 訓練だって今みたいにシュミレーターがあるわけでもないので、当然実機によって行われる。つまりは手間と資金がそれなりに注がれているわけだ。

 そう考えれば、おいそれと搭乗員を失う作戦など愚行としか思えない。少し考えればこの様な戦術は、ジリ貧になる事は目に見えている。

 現在の自衛隊において勿論、このような人命をすり減らすような作戦は想定されてはないが、しかし、日本人の国民性からいって、なにか行き詰まると人命が疎かになる危険は孕んでいる。

 潔く散る事に美しさを見出す。

 それはまるで、桜の花びらが散るのを見て美しさを感じる日本人独特の繊細な感性が裏面にでるようにも思える。

 だが、本訓練において私にバディはいない。この事については諸事情という事でご了承願いたい。


「気をつけ!」

 

 号令響く中庭。私は両手を太腿に打ち付ける様にして伸ばした。

 胸を張り、顎を少し引き、両足、両膝は揃え、つま先は拳一つ分開ける。

 その様子を中村二尉がまじまじと見ていく。そして号令係りである加藤二尉に目で合図する。

「右向け右!」

 右足を軸にして体を捻るような感じで、右に向け、再び気をつけの姿勢に戻る。

 一見すると体育の授業のように見えるがこれも立派な訓練だ。

 基本動作。集団行動における、基本のキだ。

「回れ右!」

 右足を後ろに下げつつ、上半身を右側にひねり、左足を軸足である右足に手繰り寄せるようにして、両足を揃える。それら一連の動きが完了すると同時に気をつけの姿勢になると、私の身体は先ほどの位置から背を向けた状態になる。

「休め!」

 肩幅まで足を開き、両手は後ろに組む。その際左手が下になるようにする。手の平は開いたままでよいが指は全て揃えておく。

 号令係の中村二尉と教員役の加藤二尉の視線がビシビシ感じられる。

「敬礼!」

 私の右手は胸元をかすめるようにしてあがり、自身のこめかみの位置。かぶっている略帽の鍔の付け根の所でビッと止める。

 これらの動作、一見するとただ単に素早く動かしているだけの様に見えるが、実はかなり力を込めないと中々そうは見えない。

 正直、ひと動きするたびに気を抜くと脱力しそうになるくらい力むのがそう見せる為のコツといえばコツだ。


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