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ワタクシ。Ritaであります!  作者: リノキ ユキガヒ
第四章「天気明朗なれど…」
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「んぁ、誉みたいなモデルさんかぁ~」

 航空機好きのカネコさんが食いついた。

「んぁ。確かに額面通りの性能がでれば世界で一番コンパクトな二千馬力級エンジンではあるけ…ど…」

「かなり気難しかったみたいダナ」

「んぁ。当時の日本の工業力もあったけど主な原因はコンパクトに作り過ぎた弊害だな」

「正面面積を削る為?」

「んぁ」

「結果、大量生産には向かないデリケートなエンジンになったダヨ」

「んぁ。あとは良質なオイルとガソリンが無かったのもな」

「当時の日本の工業力の限界ね」

「んぁ。かたやモータリゼーションなんてのがある国と、かたや運転免許が特殊技能の国だからな」

「もう元から差があったダヨ」

「戦争は正に総力戦ね」

「一撃必殺の秘密兵器なんてないダヨ」

「んぁ。しかも正面投影面積はプロペラの関係であんまり影響がないっていうオチもある」

「クルトタンクだっけ?」

「フォッケかもヨ」

「んぁ。どっちもそりゃ同系列ダワ」

「でも、どこから出てきた話しかしら?」

「今度調べとくダヨ」

「んぁ。しかし、その誉ちゃんは何で隊長に懐いたんだ?」

「私が聞きたいくらいよ。まぁちょろっとポージングのアドバイスはしたけど」

「それじゃないダカ?」

「んぁぁぁ~?」

「って言ってもそんな大した事じゃないとおもうけど…」

「んぁ、伸び悩んでるヤツにはそれが効いたりするもんだべ」

「何気ない一言がナ」

「んん~~」

 私は頭を捻った。が、これといった心当たりは正直思い浮かばなかった。

「あっ!センパイ!これ見てください!」

 リリィちゃんは私の体からようやく離れると、背中にかるっていた学生鞄みたいなリュックから一冊の古めかしい地図帳をガサゴソと取り出した。

「へへ~。近所の古本屋で~」

 と彼女は満面の笑みをたたえながらパラパラとめくっていった。

 その地図は別に古地図というものではなく、ごく一般的に販売されていた物で、だいぶ年代もの雰囲気を醸し出す。

 その証拠に表紙や背中の製本のヤレはそうとうなものだった。

 まぁ、いわゆる普通の人から見たら只の古本って事だ。

 しかし、彼女は嬉々としてとあるページを開きそれを手近なテーブルの上に置いた。

「ここです。ココ!」

「んー?」

 私はそれを覗き込む。

「あ!」

 そして年甲斐もなく声をあげてしまった。

「お台場に何も無い!!只の埋立地だ!」

 続いて目を真ん丸にして再び叫んでしまった私。

「当りー!当然レインボーブリッジもありませーん!」

 リリィちゃんは歓喜の声を上げる。

「ちょっと待ってお台場がまだ埋め立て地無って事は当然…」

「当然…?」

「防衛庁は六本木だ!」

「モチローン!!」

「これは凄いわ。はぁー」

 私は興奮を抑えるように深く息をはいた。

「やっぱりリタ先輩なら解ってくれると思いましたー!!」

「よくこんな貴重なものが近所の古本屋で手に入ったわね」

「でしょー。しかもワゴンセールでしたー」

「これはワゴンで買えるタイムマシーンね」

「素敵!」

 古い地図を見てはそこに思いを馳せる。

 無論、地図は新しい事にその価値と存在はあるのだが、少々古い地図だとそこには歴史が加味される。なので私達が知っている今現在の地名や地形は未来の事になる。

 そう。まるで神様にでもなったような気分で地図を見る事ができるのだ。

 特に東京など日進月歩の勢いで区画整理や土地開発が進んでいる街は数年前の地図ですら、その赴きは大分違う。

 それが数十年前となるとそれは最早別のものと言っても過言ではない。

 今、地図はインターネットで見るのが普通だ。しかし、しかしそこには今現在の事しか載ってない。

 しかも更新されれば過去の記録は上書きされ消えてしまいう。

 しかし、紙の地図は燃やしてしまわない限りそこにあり続けるのだ。

 そしてそこには私達の歴史や思い出などか加わって別の表情を覗かせる。

  リリィちゃんはそんな古い地図に情緒を感じ、いつしかそれを集める事が趣味になっているらしい。との事だ。


「……」


 カネコさんが私の方をじっと見ている。

「それは無理もない事ダナ」

「え?どういう事?」

「ん~あ~」

「要するに隊長の知ってる事が彼女の趣味を理解した事になった。て事ダヨ」

「ううん?どの辺が?薄らぼんやりとしか言ってる事わからない」

「んぁ。古い車のサービスマニュアルみて、この頃のエンジンはキャブで、夏と冬でプラグの番手変えてやったり、今みたいに電子制御もねーし、セッティングなんて人間のカンでやってたんだぞ。ってー事」

「車で例えられても…」

「つまりダナ。零戦の写真を見て。あれはゴーニーだとか、ニーイチだとか、あの映画に出てる零戦は確かにプレーンズオブフェイムズの五二型だが、真珠湾攻撃に参加した型番は二一型で塗装は飴色なんだ!って言ってるってコト」

 

「えぇーっ!!」


  「んぁ。隊長案外天然なんだな」

「確かにミリオタやってると、広く浅く歴史とかに詳しくなるところがあるダナ」

「んぁ~。そうだな旧軍の施設をそのまま引き継いだりしてるところもあるもんな」

「駐屯地は多いダヨ」

「って事は私は知らない内に軍事知識を色んな人に言ってた。って事?」

「んぁ。そうだべ」

「まぁ、周りの人はそこまで感じてないかもヨ…。ただちょっと物知りな人ダナ。って印象は持たれてるかもしれないカモ」

「んん~~」

「んぁ。まぁ気にスンナ」

「ダナ」

「気軽に言ってくれるわね」

「んぁ。そりゃそうとその地図好きの誉ちゃんは他の人から変わり者扱いされてはネーの?」

「ん~。仕事の合間に地図は見る事はあるらしいけど、どうなのかしら?」

「んぁ。ま、知らネー方がいいかもしんねーな」

「ダナ」

「っと。着いちゃったわよ」


 私達は話しながら歩いていたらいつの間にか目的地に着いてしまった。

 残念だが、我々が古本を物色しているところは割愛させて頂く。


  以上。


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