九話
短いです。
「ハァッ!」
「グギャっ!?」
「セイッ!」
「グギュッ!!」
「チェストーッ!」
「グピーッ!」
「ここら辺でやめておきますか...」
高い位置にあった太陽は、もうだいぶ傾いてきている。
あの後森の深くには入らずに散策していると、結構な数のゴブリンと戦うことになった。
ゴブリンは戦いの練習にもってこいだったが、さすがに疲れる。
受けた傷を治しながらの戦闘も少しは慣れたことだし、今日はここで切り上げ街に戻ろう。
「これは...絶景ね...」
森の浅い場所で戦っていたため、すぐに草原に出ることができた。
夕日の光を浴びて黄金色に輝く草が波打ち、夕日は黄金の海に堕ちていく。
朝とは全く違う色彩を見せてくれる草原に、思わず溜め息が出る。
暫し森の入口で見ていたが、暗くなると魔物も凶暴化するらしい。名残惜しいが帰るべきだろう。
1日でこれだけ濃い体験をしてるのだ。
この世界は途轍もなく広い。
旅に出たらもっと素晴らしい景色に出会えるはずだ。
疲れているのに足取り軽く、期待に胸が膨らむ。
帰って休んで、明日はもう一度森へ行こう。レベルを上げ、まずは森を抜けた先、東に旅に行こう。東だけじゃない、北にも南にも西にも行こう。
楽しみがいっぱいだ。楽しいからこそ、面白いからゲームなのだ。目一杯楽しまなければ損ってもの。当てもなく旅が出来るなんて、こんなに楽しいことはない!
薄暗くなり、灯りをつけた街が見える。
街に入ればそこがチェックポイントとなる。そのままログアウトしよう。
今夜はよく眠れそうだ。
今回で一区切りといった感じです。
次回は幕間みたいな感じです