八話
殴った衝撃でヒリヒリする手を撫でながらウィンドウを見る。
《ステータス》
name:ミヅハ Lv1
HP :15 / 15
MP :10 / 11
【筋力】:2↑
【耐久】:1
【俊敏】:1
【器用】:1
【知能】:2
【精神】:1+1
《技能》
【僧侶の素養】Lv:1 【魔の強化】Lv:1 【採取】Lv:1 【料理】Lv:1 【鑑定】Lv:1 【素手】Lv:2↑
《スキル》
ヒーリング
強打|(NEW)
【素手】が育っていた。さらに【筋力】も、そして新スキルが追加されている。強打のスキルをタップして説明を見る。
強打 消費MP1
拳に力を入れて殴る、基礎の技。
一発一発を大事にしよう。
攻撃力は【筋力】によって上下する。
そのまんまだった。まあ始めたばかりのこの時期に複雑なスキルを与えられても困るからいいのだが。
近接戦闘で使うスキルは魔法スキルとは発動方法が異なる。
一般的には武器スキルと呼ばれるーーー私は素手だがーーースキルはある程度の型とスキル名の発声で発動する。
例えば強打の場合は拳を握りこみ、スキル名を言うこと。この時握りこんだ手を解き、平手打ちや先ほどの戦闘で行った両手を組んで振り下ろす、などでは発動しない。
ただ握った拳でストレートを撃ち込もうがアッパーを決めようがスキルは発動する、といった感じだ。
スキルの使い方はこんな感じだ。まあ次の戦闘で使ってみよう。
能力値の上昇についてはウィンドウのヘルプに乗っていた。【素手】技能のレベル上昇によるもので、技能のレベルが上がるとそれに対応した能力値が上昇するみたいだ。上がった能力値も技能を外しても下がらないらしい。
一通りウィンドウに目を通し、使っていない技能を使うことにした。そう、食べ物が手に入るかもしれない。
【採取】Lv:1 消費MP1
採取出来る物がわかるようになり、採取する時に物のrankを落とさず取得できるようになる。
これを使えば何か手に入るかもしれない。あわよくば食べ物が!
「【採取】!」
食い意地張ってるのは理解してるが、わかってほしい。ここではいくら食べても太らない、そう、太らないのだ!美味しいもの食べ放題なのだ!でも薬草はやめてください!美味しいもの限定で!
【採取】を発動すると視界に光るものがポツポツと映る。その内の1つに近づくとこんなものが生えていた。
解毒草 rank1
解毒薬の材料になる草。取ってもすぐ生えてくる。黄色い花が咲いていることがある。食事に使うことも。
食べると確率で【毒】を治す。
ふむ。解毒とな。
いずれ状態異常を引き起こす敵との戦いがある、そしてこれ単体だと確率に左右されるから薬にしろってことかな。
だがそれより気になる一文がある。
食事に使う。これだ。
この解毒草、もしかしたらハーブみたいに使うのかもしれない。匂いもほんのりと爽やかな香りがする。お茶にも使えるかも。
あたりを見渡すと光っている物の殆どが解毒草だ。集めておいて損はないだろう。そうと決まれば。
「よしっと」
辺りに生えていた解毒草は取り終えた。十束ほどをボックスに入れ一息。
そしてもう1つ見つけた物がある。こちらの方が重要なのだ。
アップル rank1
赤い木の実。林檎とも言う。一般的な甘い果物。生でも食べられるが用途は様々。
思わずガッツポーズを取った。やった!こういうのを探していた!採取の途中に上からに落ちてきたものを拾ったのだ。一個しか手に入らなかったがまずは手に入ったことを喜ぼう!というか早速食べたい!
ボックスから林檎を取り出し眺める。少々いびつだがしっかりと赤く熟れて甘い香りがする。喉がなる。服の裾で磨いてからかぶりついた。
ジュワッと溢れる果汁とシャキシャキとした食感に、甘い味が口いっぱいに広がる。まさしく林檎だ!薬草とポーションによってダメージを受けた舌が癒されていく。
果汁を零さないようにしながら心地よい音を立てて林檎を齧っていく。噛むと甘い果汁と蜜が混ざり合い、舌を喜ばせながら喉を潤す。
現実では切り分けてある物ばかりで、こうしてそのまま食べるのはほとんどなかった。だがこうして食べていると普段のものよりとても美味しく感じるから不思議だ。
気付けば林檎はもう芯だけになっていた。美味しかった...。甘いものは体だけでなく心の充足にもなる。ごちそうさまでした。大地の恵みに感謝。
手を合わせて心の中で祈り、寄りかかっていた木から身を離す。
この後はどうするか。まだ日は高い。ならすることはある。
レベル上げだ。今の私は甘いものおかげで気力体力十分!スキルも試したいし、そうと決まれば、魔物探しの開始だ!
今回のまとめ
ハーブ乱獲(次の日には戻ってる)
林檎は美味しい。