十四話
「えっと、よろしくお願いしますっ!」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
現在地は森の入り口、提案した日からはNFT内で数日経っている。
そしてあの日とは若干の変化がある。
1つはあの鍛冶師の少女、ルベライトさんとパーティを組んでいること。
2つ目は装備の変化。
《装備》
頭部:
胸部:麻の旅服 上
腕部:森兎の籠手(左腕)
/森兎の革手袋(右腕)
腰部:麻の旅服 下
脚部:旅のブーツ
アクセサリー:アミュレット
武器:鉄のダガー
まずは一番大きな変化の左腕から。
森兎の籠手 rank2
森兎の革を裏地に使った鉄の籠手。
肘から腕、手の先まで覆うように作られている。
軽量化の為、腕部は上腕のみを鉄で覆っており、ベルトで固定する。
指先から手首までは全て鉄で覆われており、受けた衝撃は森兎の革が和らげてくれる。
効果:【耐久】に+5
これはこの間、私が死にかけた森兎との戦闘で手に入れた革を彼女に渡して作って貰ったものだ。
防具ではあるが、鉄で殴れば素手の威力も上がる。盾の方がダメージカット率は上だが、素手の私にはちょうど良い物だ。
この間の提案というのは、この装備を作る対価に、彼女のレベル上げ、取り敢えず技能枠を増やすくらいまで手伝うことだった。
本当はお金と素材は負担するから、彼女にそれで技能のレベル上げついでに私の装備の作成を、と言う普通の依頼にする予定だったのだが、ここで問題が発生した。
彼女は素養系技能しか持っていなかったのだ。
具体的にいうなら、鍛冶、革、木工、布、宝石の5つ。そして自動取得の素手。
全部生産系を選んだらしい。これは確かに戦闘も辛いだろう。素手の私が言う。間違いない。
というわけで、急遽レベル上げ自体を手伝うことにした。
あれではいつまでも戦闘できないし、素材も集まらなければ生産系技能の成長は途方もない時間がかかるだろう。
ましては女の子が寂しそうなのを放っておくのも心が痛む。
中身は男かもだって?ゲームの中なら気にしない。動き見てると女性っぽいし。
それにNFTを一緒に楽しむ人がいても良いはずだ。
知らない人との交流も一人旅の醍醐味である。...まだ旅に出てないけど。
まあ、善意だけでなく打算もあるということで。...えぇ、初めてのフレンド登録者ですがなにか?
装備を作って貰っている間はゴブリンを相手にしていた。
そうしてガントレットを受け取ったのだが、ここでなんとさらに2つも装備を貰ってしまった。
森兎の革手袋 rank1
森兎の革を使った手袋。
手を保護し武器が滑るのを防ぐ。
少し厚手。
効果:【耐久】に+1
鉄のダガー rank1
鉄製のダガー。
刺突の威力を上げる為に先端に向かって細くなっている。手を保護するガードが付いており、重心が柄に寄っていることもあり、柄頭やガードで殴ることもできる。
攻撃力:2
効果:なし
手袋はガントレット制作で余った革を使って、ダガーはレベル上げのお礼として作ってくれた。
こんなに貰えないと言ったのだが、強く押されて受け取ってしまった。
この2つは右腕用として使うことになる。
シンプルでよく馴染む、【素手】も無駄にならない。完璧である。
これはレベル上げの手伝いを頑張らなければ。貰った分、しっかりやるぞ。
「うん。それじゃあ前衛は私が、後衛は弓と棒でルベライトさんが、という感じでいきましょう」
「は、はい!頑張りますね!」
「そんな緊張しないで。無理しない程度にやろう。1日で終わらせる必要もないかし、私も初心者だから一緒に頑張ろう?」
「あ...はい!お姉さん!」
良い返事だ。可愛らしくもやる気に満ちた声に頷き、森の中へ。
ルベライトさんには遠距離から中距離の武器を持ってもらった。技能がなくても使う分には問題ないはず。
そして最初の標的は、ゴブリンだ。
彼女のレベルの糧になって貰おう。...ついでに私もね。
今回のまとめ
まともな装備がついに
初めてのパーティ戦