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第1話 山崎の憂鬱
私は政治家だった。 まだ20代半ばの若すぎる政治家、周りから見ればエリート、羨望の的だったが、常に秒単位で行動し、 時間に追われていた。 付き合っている恋人も居た。
恋人は高い志を持ち生きるという私の目標を理解できないらしく、私は忙しいというのに様々なサービスを彼女は要求してきた。
私の彼女はいわゆる、玉の輿狙いなのだと思う。私は生まれてこの方、お金というものに困ったことがなかった。
私の両親は彼女と私は釣り合わない!と、彼女を嫌っていた。
しかし、私は彼女を愛しているのだと思う。そんな彼女に応えるために仕事も、恋も必死に頑張った。
さて、彼女は私を愛しているのか?私の金を愛しているのか?
それを考えるたび、私は虚しさに襲われた。
私の努力も伝わっていないのか、彼女は満足するどころか彼女の私に対する要求は日に日にエスカレートしていった。
私だって自分の時間が欲しい。ストレスはいつしか枯葉のように積もっていった。