9話目 金髮の
突然のことに驚きながら、結界らしきものが視界を覆う。
感じられる力は、あのルービックキューブ型の石からだ。
爆発の勢いで小物やら何やらが弾け飛び、カキィンと甲高い音を立てて結界に当たっていく。
お嬢様の母親が無事だったことを確認し、爆風が発せられた玉座付近に目をやる。
そこには気を失っている様子のお嬢様と、それを嘲笑う王の姿があった。
「はっ…笑わせてくれおるわい。この程度でわしに傷を負わせられると思っておるのか」
どうやら、お付きの従者が結界を張ったらしい。
国王は先ほどの位置から全く動いていない。
急いでお嬢様の元へ駆け寄る、いや駆け寄ろうとした。
「待て、動くな」
喉元に剣の刃が突きつけられる。
おそらく国王の右腕という立ち位置であろうか。
金髪長髪美男子くんで雰囲気がモブっぽくない。
俺は恐れ入ったと言わんばかりに両手をあげる。
それに眉を顰めた金髪くん。
あれ?異世界には、このジェスチャーないのか。
「こーさんです」
「……」
「良い、下ろせ」
国王の声で、金髪くんは剣を下ろす。
だが、俺の近くにいて離れない。そんな見つめられるとなんか恥ずかしいな////
いかんいかん。シリアスな展開だった。
「…う」
「お嬢様!」
いかにも心配だった!生きてて良かった!的な声を出す。
え、だってこういう声出してた方がシリアスな展開に合うでしょ?
正直言ってお嬢様が生きてようが死んでようがどうでもいいんだよね。
興味本位でついてきただけだし。
ありゃ、ちょっと身を乗り出したから金髪くんにまた目をつけられちゃったぜ。
「ふむ、まだ生きておったか」
国王がお嬢様の銀髪を掴み上げ、舐めるように全身を見る。
あれ痛いだろうなぁ。
「そうだな、器量も良いことだし売りに出しても良いかも知れぬ。銀髪は高く売れるぞ」
気味の悪い声で笑い、乱暴にお嬢様を投げると、近くにいた従者に指示をだし、お嬢様はどこかへと連れていかれそうになる。
「そんな、適当に決めていいんですか?」
「…なんだと」
「おそらく、それはお嬢様経由でないと力を出せないでしょう」
いらぬお節介かもだが、それぐらいは分かるだろう。
「どういうことだ。そんなこと聞いておらんぞ」
「力の流れを見てなかったんですか?
お嬢様の魔力がその石の囲いを外す鍵になっていたでしょう。もしかしてそのままで使えると?」
「…うむ、アーサーこの娘の魔力を操れ」
「御意」
「…だ、め」
お嬢様の魔力が吸い出され、石へと吸い込まれる。
すると、正方形が崩れていき中から美しい翡翠色の宝石が見える。
「ふむ、どうやら本当のようだな。お主、その娘の仲間ではないのか」
「いえいえ、ただの付き添い人です」
にっこりと笑う。
俺はただ、面白い方に転がればいいのだ。
「そうか、あの一瞬で魔力の流れを見極めるとは只者ではないな。なぜ仮面をつけているのだ」
「確かに、仮面を付けてる人は少ないですね」
「それは弱者の証だからな」
あ、そうなのか。どうりで、納得。
歩いている時に感じた視線を思い出す。
あんまり目立ちたくはないが、まぁいいだろう
ていうか、
「俺、帰っていいですかね」
もうちょっと都を歩き回りたいんだよなぁ
「いいわけあるか、」
ガシャンと手首に腕輪をはめられる。
あのイケメン金髪野郎だ、くそ、格好良いな。
「あの石の存在を知られた以上、ただでは返せん」
「まぁ、ですよね」
更新遅れてしまって申し訳ありません!
まだまだ書いていこうと思います(゜▽゜)