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下級種族に転生しました  作者: りんだ
7/9

7羽目 始まり




「なななな、アーリアちゃん凄く可愛くなかった!?」


「ソウデスネー」


「だよな〜!」



さっきからよっぽどアーリアのことを気に入ったのか、同じことを繰り返し言っている。


返しが片言になってしまうのも無理ない。


出発してから一時間はたっただろうか、下級の魔獣は現れたものの、いたって平和で退屈だ。

いや、平和が一番なんだろうけどさ。







□■□







それからまた、何もなく。暗くなってきたところで今日は休息をとることになった。


アスタリアまでは今の段階だと、3日で着く予定だ。

初の乗馬だったけど、なんとかなってよかった。



「おいおーいウル〜!お前飲まねぇのか〜?」



既に出来上がった様子のレオ。まだ任務中なのに酒飲んでいいのか…?でも案外周りも飲んでる模様。


本人曰く、鍛えてあるから二日酔いはしないんだとさ。



「僕まだ成人してないんで飲めないですよ」



パンを食べながら応える。この世界では成人とされるのは18から、俺は今15だし。



「んなかてぇこと言わずにさぁ〜〜ホレ!!」



ぶどう酒の入った水筒を仮面を持ち上げ無理矢理飲まされる。

自然とアルコールが体内に入っていく。


あーなんか頭が…



「はっはっは!どうよ!うまいだろ?」


「……すか…」


「え?」


「未成年にアルコール飲ませるってどうなんですかあぁぁあ!」


「え?え?ちょ、ウルくん落ち着いて!?」


「落ち着いてられますかぁああ!」







□■□






「…すみません」


「いや、俺も悪かったよ。もうお前に酒飲ませんわ」


「ははは…」



大分酔いも醒めたみたいで、平常心も戻ってきた。

その瞬間、



「うわあああああ!!赤竜だ!!!アーリア様を守れ!!!」



腹の底まで響く地響きの様な咆哮が空気を揺らす。

一気に警戒態勢になる。


うわぁ〜赤竜かぁ〜いいね!!これぞファンタジーじゃないか!!


ていうかさっきまで気配はしなかったんだけど…突然現れたみたいな…変な感じ。

そういえば翼を閉まってから魔力の流れが悪くなった気がする、どうやら翼をしまうと能力が大幅に低下するぽいな。


「ってそんな場合じゃないか」


とりあえず一旦赤竜のいると思わしき場所へと向う。


「ぐあああああ!!」


うお、でか!!


月明かりを反射して輝く赤い鱗。

大柄の男を並べてみても、小さく見えてしまうまでもの大きさ。


その赤竜を取り囲んで刃を向ける鎧で包まれた男達、緊張感は痛く伝わってきた。



この状況はどう見てもやばいと分かるが、ま、まだ俺が行かなくてもいいだろう。

ついでに実力をみるいい機会だ。


そもそもこの竜よりも強いやつ知ってるし。



「さぁ頑張れ〜〜」





ー見守ること早20分、


部隊は殆ど全滅させられていた。



死なない程度に守ってやってるが、立っているやつと言ったら今になってはレオしかいない。

お嬢様がいる馬車はまだ無事か。


そろそろやばそうなので、俺も加わるとする。赤竜観察できたし。



木から飛び降り、馬車の近くへと着地する。



「っ!ウル!お前今までどこに!?ってうわぁ!!」


「余所見してたら駄目ですよ」



レオの頬すれすれに赤竜の爪が当たる、ギリギリで湾曲した部分に刀を差し込み、動きを止める。


ガキィンという金属音と共に、少し力を入れると簡単に弾ける。



「あとは俺に任せて下さい。レオさんはこれ以上無茶しちゃだめです」


「え、でも!!…っ!!」



これ以上無茶をさせないためにレオを気絶させ、安全な所へと運ぶ。


ちょっと記憶飛んだかもだけど、まぁ大丈夫。


赤竜はまだ警戒している様子で、襲いかかってはこない。



「よぉ赤竜さんよ。まずその首輪・・どうにかするか」



赤竜にはめられた不自然な首輪を刀で指し示す。

あの首輪から流れる魔力が竜の身体を縛っている

目には光がなく、竜にあるべく威厳なんてさらさらない。


唸り声をあげたと思うと首輪が光り、竜の赤い目が俺を捉える。


突如羽ばたき、上空に飛び立つと赤竜の翼から幾多もの風の刃が放たれる。


俺も同じ技を繰り出し、相殺する。


一気に間合いをつめると、まず赤竜の腹に一太刀浴びせる。

血飛沫と共に赤竜が唸り声を上げ崩れ落ちる。


案外呆気なく終わったことに少し落胆する。案外俺って強いのかも。


まぁそうか、俺前世の記憶あるし普通よりは強くなっちゃうよね。



「ま、コレのせいもあるだろうけど、」



無防備になった赤竜に狙いをつけ、無駄に硬い首輪を破壊する。

コレのせいで竜は単調な攻撃しかせず、理性を失っているように見えた。


そして甲高い声を上げる赤竜。



「お?」



瞬間、首輪を切られた赤竜は膨らんでゆき、あっという間に破裂した。



「おいおいおい…スプラッタだなコレ…」



辺り一面真っ赤に染まっている視界に少なからず不快感を催す。


あの首輪には束縛魔法がかけられていたのだろう


高位の魔術師が奴隷や手懐けた魔獣にかける魔法。


条件をつけ、その条件が破られると使用された奴隷や魔獣は自滅・・させられるという。


ま、一度見たから今度は解除できると思うけどね。


ていうかコレ綺麗にしなくちゃいけないよねー?面倒くさ…






ーそして冒頭へと戻る。




はい、清掃完了


魔術でパパッとね、転がってた騎士達も一応はけといた。

お嬢様が出てきたとき驚くだろうし。


まぁとりあえず声をかけないと…

馬車まで近づき、ノックしてからドアを開ける。


薄暗い中で、朝に見たあの少女がうずくまっていた。


なぜか光がなくとも光る銀の髪は健全だ。


しかしその髪が顔全体を覆い表情が読み取れない。


心なしか若干震えているようにも見える。



「あの、お嬢様〜大丈夫ですか?」


「…あなた…仮面の…」



やっと仮面が役にたったような気がする。


仮面被ってるのなんて俺ぐらいだし、印象に残るよね。


「そうですそうです!味方なので安心して下さい!竜もどっか行きましたし」



表情は見えないだろうが、微笑んでみせる。ね、温和にいこうよ。


俺の言葉を聞いたからか、何もしてこないからか、少し警戒を和らげた様子のお嬢様。

長い銀の髪の隙間から、蒼い瞳が俺を見つめる。



「…どこか行ったてのは嘘だわ、獣の血の臭いがプンプンするもの」


「…鼻が良いんですね。まぁ隠す意味もなかったし言うとバーンと自爆したんですよ。ラッキーでしたね」


「自爆…?もしかして首輪を付けてた?」


「えぇまぁ」



その後、何か呟いたようだかそこまで聞こえなかった。



「とりあえず陰気臭いですし、出ましょう」



さあ、とそっと手を伸ばす。


しどろもどろながらも、俺の手を掴んだお嬢様をゆっくりと引き上げ、馬車から下ろす。


一応気絶してる騎士や冒険者達は別の場所に移動させておいた。まだ起きそうにないし、ここに置いといても邪魔だし。



「一旦休憩して、みんなが起きるの待って引き返しましょうか」


「ダメ!今すぐにアスタリアまで向かって!」


「え」


いきなり大声を出したお嬢様。

てっきり引き返すと思ってたので驚いた。



「…待ってた方が得策だと思いますけど…護衛も僕だけだし」


「…それでもいいの」



大きな瞳に影がかかる。

何か訳があることは、その表情から読み取れた。


もしかして、お嬢様の持ってる(・・・・)ものが関係したりして。


ま、みんな訳ありなんだなってことであまり突っ込まないでおこう。



「じゃ、お嬢様、ちょっと離れてて」


「?」



手袋を外し、左手を前に差し出す。

すると淡く青く光る魔法陣が手の甲に浮かび上がってくる。



「召喚魔法…?」



地面に手を付け、魔法陣が倍以上の大きさに広がった瞬間、


地響きのような唸り声と共に、あの赤竜と同じ、いや、それ以上の大きさの黒い成竜が現れた。



「成竜の黒竜ですって…!?」



大きい瞳をはち切れんばかりに見開くお嬢様。もしかして黒竜って珍しいのかな?

よし、今度から赤く塗ろう。


一瞬上から睨まれた様な気がしたが気にしない気にしない。



「こいつに乗せてってもらいましょう。それが一番速いですし」


「え、えぇ…」











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