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070 未来のカタチ

2015. 10. 25

初めての穏やかな家族団欒を過ごした次の日。


この日は、連休最後の休日だ。


理修は、オルバルトへ報告する為、シャドーフィールドへと来ていた。


「良い顔をしておるのぉ」

「っ……ナキ様……先日はご忠告、ありがとうございました」


入り口を入り、二階へと上がった所で、ひょっこりと顔を出したナキに、理修は丁寧に礼をする。それに得意気な表情を浮かべたナキが、笑みを深めて答えた。


「うむ。食い止められたようで良かったな」


ナキが言うのは、占い事。ナキは、魔人の復活を予知していたのだ。


「はい。危うく焦土になる……」

「本当に良かった。お主がキレて大地を赤く染める事もなくてな」

「はい?」


フワフワのピンクのドレスを着たナキは、得意気に腰に両手を当てて、胸を張る。


「わしのお陰じゃな」

「……ナキ様……私がとはどういう……」

「む?おう、お主と魔人、両方の未来が見えたのじゃ。確定できん状態でのぉ。わしにはどちらがとは、わからなんだ」


ナキが言うには、予知した未来は二つあったそうだ。一つは魔人が、一つは理修が大地を赤く染める様子が見えていたらしい。


「……ナキ様は魔人がと言いませんでしたか?」

「うむ?まぁ良いではないか。お主も魔人のようなものじゃろ?」

「違います」


失礼なと、理修は表情を歪めるが、ナキの表情は先ほどからほとんど変わらない。


そして、確信を持って最後にこう言った。


「そのうち気にならんようになる」

「はい?」


全く意味の分からないその一言を残し、ナキはスキップをしながら浮かび上がると、天井へと吸い込まれて消えていった。


「……なにが……」


のちにダグストの住人達が囁き始める事になる呼び名。それが関係しているとは、この時の理修に知る由はない。


不審に思いながらも、少々過保護になっているだろうオルバルトを宥める為、気合いを入れて歩き出す。


近付いてきた婚約式についての話もしなくてはならない。だが、そんな未来の事を、今の理修は清々しい思いで話す事が出来る。


それは、家族との和解が大きいだろう。


留守を任せた頼りになる仲間達にも、ちゃんと話さなくてはと、先ほどよりも足取り軽く、目的の部屋へと向かうのだった。


◆ ◆ ◆


今し方仕事を終えた一人の冒険者らしき青年が、街の西寄りに建つ立派な城へと駆け込んでいく。


「よっと」

「あっ」


身軽に高い塀を飛び越え、美しい庭を横切る。


すると、その姿を見た兵達が苦笑を浮かべながら、もう決まり文句になった言葉を口にする。


「っ、陛下っ!また抜け出してたんですかっ!!」

「おうっ、今日は大漁だからなっ」


言われた青年は、快活な笑みを浮かべてそう言ってのけた。


「誰も褒めませんからねっ!」

「護衛を振り切るのはやめてくださいっ!」

「ついて来れんお前達が悪い」

「「「陛下っ!!」」」


ニヤリと不適な笑みを見せながら、そう言って手近な窓から城へと入っていった。


廊下を走っていくと、かち合った兵達に、先ほど同様の文句を言われる。それに構わず、青年は一つの部屋へと飛び込んだ。


「おう、来てたのか」

「兄上……変わりませんね……」


その部屋にいたのは、青年よりも少々年下の、まだ少年のあどけなさが残る男の子だ。


その服装は、この世界では見慣れない黒いスーツだった。


困り顔のその男の子に、青年は全く悪びれる事なく着替える為の個室へと進む。


「どうやって来たんだ?」


薄い壁越しにそう青年が訊ねると、男の子は部屋にある椅子に腰掛けながら告げた。


「拓海さんと明良さんが連れて来てくれました」

「お二人が?リズ様に用か?」

「お祖母様の誕生日パーティの誘いですよ。忘れたんですか?」


そう仕方のない人だと男の子はため息をつく。


「忘れてないさ。まだ言ってなかったのか」


少々言い訳臭く、青年はそう答え、着替え終わって部屋から出てくる。


「……その格好も似合うようになりましたね」

「まぁな。これでも王だぞ」

「その自覚があるなら、一人で城を抜け出すのはやめてやってくださいね」

「それとこれとは別だ」

「……まったく……」


煌めく細かい装飾も見事な王の服へと着替えた青年は、その不敵な笑みと合間って、ちゃんと若い王らしく見えていた。


「母上に挨拶はしたか?」

「まだです。兄上が戻られるのを待っていたんです」

「そうか。ならば行こう。今は……神殿におられるな」


そう言って、二人は部屋を後にしたのだった。


読んでくださりありがとうございます◎



リズちゃんの家族問題も解決。

これも、多くの仲間達のお陰様と、リズちゃんもわかっています。

ここで少々、時を飛ばしました。

どこの情景なのか、次回明らかになっていきます。

残り僅か。

お付き合いお願いします。



では次回、また来週(日曜日0時頃)です。

よろしくお願いします◎

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