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僕の飼い主と「青の魔道書」  作者: 暦 司
青の魔道書に選ばれし者(1章)
8/30

だから、おかわりくれない?

 あのさ、聞きたいことがあるんだ。カレーって何色だっけ?


 いや、多分予想ついてると思うけど、確かにミントに料理のセンスは無かった。

カレーを作るのにサンオイルを敷いたフライパンを使おうとするし、

カレー粉を5個入れようとするし、甘口派だし、

鍋への投下の順が玉ねぎ、肉、人参、大根、ジャガイモだし、甘口派だし。

 

しかも、ミントだけなら対処できたが、問題だったのは楓の行動だ。


 こいつはこいつでカレーは水を使うんでしょとか言いながら

鍋いっぱいに水を入れやがった。甘口派だし。

挙句の果てに、隠し味とか言いながら冷蔵庫のメロンシロップを投入する。

 

 ……2人のカレー作りは別々にやっていたため、ある程度しか把握してないが、

さすがに食えるものではないので廃棄した。


 ちなみに出来上がったものは、楓が緑色の気体で、ミントが固体だった。


 なんでカレー作ってて固体ができるんだよ!

まあ気体はわかる、いやわからんけど!

しかも楓は何でその気体を集めたの!? 食べれると思ったの!? 緑だし!!

ミントに関して言えば逆に冷えたのか!? お前が使っていたのは本当に火か!?

 この家での料理は基本出前稀に俺、椛がいるときは椛が作る。

 だから楓は台所に立ったことは皆無だ。

ミントはフライパンに油を敷くぐらいしか知らないらしい。

 

 ……それを踏まえても、この結果はあり得ない。


 しかもこいつら、俺が処分しようとしたとき「捨てちゃうの? 可愛そうだよ」

とか言うんだぜ。お前らの料理に使われた食材のほうがかわいそうだわ!!


 さらに、「じゃあ、お前ら食うか?」って聞いたら目をそらすんだぜ。

何様だよ。

 

 しょうがないから俺が作った。もう二度とこいつらに料理は作らせない。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



「……普通のカレーじゃん。甘口なのはいいけど。」

尻尾がピンと立ってる。うまいのか?

「シンプルすぎてつまんないよ、もっと独創性がほしいよね。」

おい楓。そう言うならスプーン動かすのやめろ。


「そうだよ、僕みたいにフライパンで作るとか。」

「メロンシロップ入れればいい隠し味なのに。」

「やっぱり、紅葉にはいろいろ足りないね。」

「兄貴じゃこの程度が限界でしょ。」

……ちょっとイラついてきた。2人のために甘口のカレーを作ってやったのに。


「――へえ、じゃあおかわり無しでいいか?」

「ミント、甘くておいしいね。あ、おかわり。」

「うん、さすが紅葉。だからおかわりくれない?」


 この二人に「おかわり無し」という言葉は強いな、覚えておこう。

楓に通じるのはわかっていたが、ミントにも通じるとは。


「あ、紅葉、お茶頂戴。」

「兄貴、おかわり。」

「自分でやれよ!!」

 こいつらは俺をパシリか何かと勘違いしてんじゃないか?


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 皿洗いは俺がやるしかない。皿を割られるよりはマシだ。

俺の皿洗い中は、二人でテレビを見ながら話していた。


 ……本当にあの二人仲がいいな。どんな話をしてるんだ?。


「ねえミント、魔法って私にも使える?」

「どうしてそんなことを聞くの?

 ……ああそうか、こっちの世界で魔法は日常ではないのか。

まあ使えると思うよ。」


え、まじか。


「イメージが大事。僕は斬るイメージを作っていつも発動してる。」

「イメージするだけでいいの?」

簡単……なのか?

「なれればね。次にそのイメージにあった魔力を込める。」


……いや、それどうするんだよ。わかんねえよ。


「で、最終的にそれを現実に引っ張り出すことで使えるよ。」

無理難題すぎる!!

「やってみる。」

やってみんの、楓さん!?


「とりあえず、紙を燃やすとこからやってみようかな。」

燃やすとか簡単に言うなよ。不可能に近くない?


「魔力の色が合えばうまく使えると思う。えーと、ちょっと待って。」

  ミントがどこからか本を取り出した。あれ、何だろう?

  ペラペラとめくっていきどこかにペンで印をつけたと思ったら、本を閉じた。

ミントが本を閉じた瞬間、その本が紙の束と宝石に変わった。


「この宝石は、持っている人の魔力の色になるの。持ってみて。」

言われるがまま、楓は宝石に触れた。色は燃えるような赤色に変わった。


「強い赤!これならすぐに使えるようになると思うよ。」

「でも、魔力はどうつけるの?」

「頭の中でイメージしたものは骨、魔力を肉と考えればわかる?」

「うん、わかる。よし・・・。」

いや、わかんねえだろ。


10秒経過・・・何も起こらない。

20秒経過・・・何も起こらない。

30秒経過・・・何も起こらない。

1分経過・・・何も(ry


「無理!! できない。」

そりゃそうだ。


「あ、ごめん。魔法の起動式オーダーの説明忘れてた。

これやらないと発動するわけないよね。」

「1分無駄にした・・・。」

「とりあえず簡単な、属性魔法入門を注文したよ。すぐ届くから。」

シュン、トスっ。机の上に、一冊の本が落ちてきた。

「ほんとだ。もう来た。」

いや、早すぎだろ。しかも日本語って……

「へえ、炎系といってもやっぱりいろいろとあるんだね。」

「楓の色が、純粋な赤だったから、

属性魔法の起動式オーダーを覚えればすぐにつかえるね。

特殊備考マスターオーダーというのは、本来の起動式オーダーに+αを加える感じ。

僕の場合は同じ魔法で違う斬りかたができるようにしている。」

「とりあえず、今は、いいかな。」

「それが賢明だね。僕の知っている人は、特殊備考マスターオーダーを組み込みすぎて全然違う魔法になったから。特殊備考マスターオーダーは慣れてないとアレンジどころか別の魔法になる。」

オーダー? マスターオーダー? 意味わからん。

「じゃあ……『イグニス』」

机の上の紙が燃えだした。

まさか楓が本当に魔法を使えるn――机の上?


「ちょ、やばいだろ。早く火を消さなきゃ!!」

「ちゃんと見なよ。イグニスは対象選択できる。机は燃えてない。」

「え?」

机を見ると、先ほどまで紙があった場所は、灰が積もっているだけで

それ以外の変化は特になかった。灰をどかしても机に焦げ目ひとつなかった。


「すごい!! 見た、今の!!」

楓が嬉しそうに言った。

「イメージ通りになった?」

「うん。」

「すごいね。やっぱり楓は才能あるよ。魔力のタイプも僕と似てるし。」

僕は純粋な青色だから。とミントがつぶやいた。 純粋ね・・・。


「そうだ、紅葉、僕たちの会話、また聞いてたでしょ。

じゃないとイグニスの発動に、あんな早く反応するのはおかしいもの。」

「・・・すまん。」

盗み聞きしてしまう癖は直そうかな。


「でも、紅葉に魔法の使い方を教える手間が省けてよかった。

明日、紅葉の魔法見せてね。」

「へ?」

「魔道書の魔法は、その人に合った魔法になるはずだから、色はあってるでしょ。一回も使ってないなら、起動式はのっているはずだよ。」

「いや、そうじゃなくて。」

「僕はもう眠いや。楓、どこで寝ればいい?」

「椛の部屋を使っていいよ。今いないし。」

「ありがとう。じゃあ紅葉、おやすみ。」

と言うと、ミントは楓について行った。


 え? 俺、イメージを外に出すとか無理だし、

この魔道書には起動式オーダーなんてどこにも書いてなかったよ?

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