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僕の飼い主と「青の魔道書」  作者: 暦 司
失った記憶(3章)
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悪魔と呼ばれた少年

 父親が灰になり、楓の退院後――妹達は祖父に引き取られることになった。

数ある選択肢の中で、最も安全な結果だった。

祖父は金に興味がない。だからこそ、祖父を引き取られ先に選んだ。 


……遺産に関しては、僕が全部受け取った。

これは、父親が生きていることを祖父に偽装するための方法だ。

莫大な遺産。妹達が大学を卒業するまでの学費なら簡単に払えるほどの額だ。

それを仕送りという名義で毎月一定の量を送る。


 だが、この遺産を全て引き継ぐには問題があった。


 まず邪魔になったのは父の愛人だった。

遺産の相続権が、彼女にもあったからだ。

いつの間にか、父と結婚していたらしい。

  

――が、妹達の未来のためには、遺産は全部引き継がなければならない。

そのために、彼女には消えてもらわなくてはいけない。


……調べた結果、女は裏の業界における売人で、

多くの人が人生を狂わされていたらしい。

 

――彼女が醜悪なクズで良かった。気兼ねなく殺せるから。


 僕は、その女を消した。父と同じ、黒い焔で燃やして。

この頃から、僕は自分が魔法を使っていると認識したのだった。


……次に問題だったのは、遺産目的で僕たちを引き取ろうとする親戚だ。

彼らに引き取られたのでは、楓と椛に未来はない。

莫大な父の金を食いつぶされて終わりだ。

酷い場合だと、あの子たちが慰み者にでもされるかも知れない。


……僕の懸念は大げさだと思う。

しかし、もう人を信じるのには無理があった。


 ――だから、壊していった。


 一人、二人、三人……灰に還して川に流す。

次第に、殺人ということに対して抵抗がなくなっていった。

……いったい、一週間で何人殺しただろう?

 

 僕が殺して回ったのは、僕らを引き取ろうとする人。

……そして、その家族全員も対象だった。

そういえば一人、僕と歳が変わらないような子供も殺したね。

 

後悔ばかりだよ。ここまで罪を重ねた僕には地獄が待っている。

妹達を守るためという言い訳を御旗に、二十一人も殺した。

この罪は、僕が永遠に背負って生きなければならない。

 

 また、彼女がこの記憶を消すと思うけど心しておきな。

 ――君は絶対にろくな死に方しないよ――



 ――いつからか、僕らを引き取ろうとする者は神隠しにあう。

そんな噂が親戚内に広がっていく。


 ……特に僕は『悪魔の子』。そう呼ばれるようになっていた。

ハロウィン用のおまけ2話、3話の更新後に次話投稿予定です

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