・・・詰んでね?
さて、今の状況を客観的に見てみよう。
場所~
駅から徒歩五分の森林の抜け道。
少女の状態~
一糸まとわぬ気絶?したままの少女(小学生?)
俺~
この少女を抱えている高校生ぐらいの男性。
俺の持ち物~
妹が友達の家に忘れてきた着替え。
……さて問題です。
これを見た他人はどういう反応をするでしょうか?
答えは簡単、通報です。
俺が死にます、社会的に。
――どうしよう。
この状況で警察に届けても、いろいろとめんどくさいことになる。
家に連れて帰ってもいいが、さすがに道中で人に会う。
ここに放置するのは良心が痛むし危険だろう。
病院? 特に怪我もないようだし必要はない。そして、何より携帯がない。
公衆電話もこの辺にはない。
……あれ? 俺、詰んでね?
とにかく、他人に見つかってはいけない。
だが不幸中の幸いか、この時間にこの道はほとんど人が通らないはず・・・
「……兄貴、何やってんの?」
そう思っていた時期が俺にもありました。
「私の着替えを取りに行くのに時間かけすぎじゃない?」
こいつは『辻 楓』。現在中1の俺の妹だ。
知り合いでよかった・・・いや、このどS娘はまずい。
一見人畜無害に見えるが、本性は悪戯好きの悪魔だ。
「なんでこんなとこで道草食ってんの?」
「あ、ああ、すまない。」
「てか、草っておいしいの?」
「それ比喩表現だから! 本当に食ってるわけねーだろ!」
ん? 少女にきづいてない……のか?
「ところでさ、その青い髪の女の子、誰?」
「……さあ?」
……ですよね~。そりゃ気づかれていないほうがおかしい。
「………………。」
「ってちょっと、無言で携帯に手をかけないで!!」
0フレームの予備動作なし、1に指をかけるとこまで行ってたぞこいつ。
「何ロリコン。」
「俺の名前はロリコンは決定ですか!?」
酷い風評被害だ。
「だって、その子が服を着てないうえに眠っているのは兄貴のせいでしょ?」
あ、確かに寝てるだけだこの子。
「そんなひどい。俺が性犯罪者みたいに……」
「…………。」
「え、だってそうでしょ?的な目でみるのやめてくんない。」
「あ、おしい。正解は『いまさら誤魔化しても』でした」
「もっとひでぇよちくしょぉぉぉぉぉぉ!!」
その後、5分ほどかけて事情を説明した。
すると
「……とりあえず、私の服を貸してあげたら?」
と言った。
確かに、こいつは中1になったばかりだから体系もあまり少女と大差ない。
……というか、最初からそうしておけばよかった。