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夢からでる真実  作者: 天村真
希望の少年……心の中に
7/18

動き出す童話 Ⅱ

こんなお粗末な文章に3日もかかりました。

作者の残念感が推測できますね。


それとルビがちゃんとふれてるか心配です。せっかくの機能を使いこなせないって……





沈みゆく夕陽に焼かれ紅に燃える木々、巨大な蛇はそれらに紛れまっすぐに体を伸ばし三人を見下ろしている。

時折チロチロと舌が覗くたびに生臭い空気が頬を舐め、整理的嫌悪感を呼び覚ます。生暖かい空気があたりを包む中、鱗同士が触れ合うガラス片をこすり合わせるような音がやけに美しい旋律を奏でていた。


まさしく蛇に睨まれたカエル、相対することがすなわち死を彷彿とさせ、誰一人としてその呪縛から逃れることは叶わない。いや駿美だけは額に玉の汗を浮かべ唇を小刻みに動かし何事かを呟いている。



やがて日が完全に落ちると蛇は名残惜しそうに太陽の沈んだ山へと一瞬だけ顔を向け、頭をゆっくりと下ろす。

その姿は一種独特な神々しさがあり自分達の状況を忘れ、見蕩れてしまうほどのものだった。



「私が合図したら、すぐに走って山をおりなさい」


こんな状況で何を言っているのだと驚いた表情で固まる誠を無視して駿美は続ける。


「準備ができました、あなたたちを逃がすには十分な時間が稼げるでしょう」


微かだが凛とした駿美の声が早鐘を打つ心臓に染み渡り、恐怖に動けなかった四肢に力を取り戻して行く。


その時、濁った青の空に、そこだけぽっかりと色が抜け落ちたかのような黒い点が見えた気がした。

蛇もそれに気づいたのか、再び鎌首をもたげ威嚇するようにシューシューと音を立てる。


ペンの先ほどしかないそれは、しかし、流星の如く速度をあげながら地上に向かって落ちていく。


瞬間、蛇が凄まじい勢いで夜空に食らいつく。小さな影はそれを岩にぶつかる水のようにするりとよけると蛇の頭の上にとまり一声鳴く。

それは紛れもなくカラスのものであり、蛇をあざ笑うかの如くそのまま飛びたつ。


「今です、早くお行きなさい」


冷静な駿美の声が耳に届いた瞬間、二人は何も考えずに一目散に走り出した。






森に二人が消えるのとカラスが蛇に飲まれるのはほぼ同時であった。


蛇の鼻先はほんの僅かだが赤く濡れている、おそらくカラスのクチバシにやられたのだろう。

しかし、とてつもない巨体の蛇にとってその程度は些細なことでしかなく、ただ怒りの炎に薪をくべるだけであった。


蛇は黄色い双眸で駿美を睨みつけるとゆっくりと近寄ってくる。

ついに森からその全身が現れると、駿美はその威容に感嘆の息をこぼした。

蛇が尾を払うと老朽化し脆くなっていた神社は容易く木屑とかす。


「これは…雑用係には些か荷が勝ち過ぎていますね…」


すっと目を細め、面倒ですとつぶやく。



吹き抜ける春風に夜空がざわめいた。






××××××××××××××××××××






二人は来た時の倍近くかけ山を下りた。木をよけながら走ると方向感覚が狂い、そのせいで余計な時間がかかったのかもしれない。

木々の間から町の明かりが見えた時は二人して転がるように地面に突っ伏した。


全身から滝のように流れる汗と、とてつもない疲労感が思考するだけの力を奪っている。しばし二人の荒い呼吸音だけがあたりを満たしていた。



やがて森が静寂を取り戻すと、一心がポツリと口を開いた。


「伊藤さんは…」


彼の口からその先の言葉は出てこない。

わかっているのだ、駿美はあの場にとどまった。森に入る瞬間、カラスが蛇に飲まれるのとスーツ姿の長身が見えた。

彼は二人を逃がすために化け物と共に残ることを選んだのだ。


「駿美さんの行為を無駄にしないためにも、俺たちにできる限りのことをしよう」


「勝手に死亡フラグ建設とか…ヒドすぎ」


この程度の軽口をたたける程度には落ち着きを取り戻したが、かえってそれが罪の意識を浮き彫りにした。


駿美は駿美の意思で残った。しかし、彼が本当にそれを望んでいたか、いいや望んではいないだろう、何が悲しくて自らの死を望める。

彼は覚悟の上で残った。逃げろと、生きろと叫ぶ本能を抑え込み、二人を逃がすために囮となる覚悟をして。


本心とはなんなのか、本能のまま生きたいと思うのが本心か、はたまた他人のために自らを犠牲にすることをよしとした理性が本心か。

二人にはわからない。だからこそ罪悪感は二人を包み飲み込もうとする。

人は他人の気持ちを推測できたとしても、読むことはできない。本ではないのだ。

表面に現れた事だけをみて確実な答えが導き出せるはずがない。



鉛のようになった体を無理矢理に起こすと、そのまま眠りそうになっている一心を蹴り起こし、文句を言うのを無視して歩き出す。


どこをどう通ったのか、いつ一心と別れたのかわからないが気づけば自宅の前に立っており、とてつもなく重い扉を開けると空腹も体の汚れも気にせずベッドへと突き進む。


「そういえば本、なくしちゃったなぁ…」


駿美から受け取ったはずの本は何処かで無くしてしまった。その事が心を穿ち、そこに何か重いものが注がれる。


重力に引かれるようにベッドに崩れ落ちると、ベッドはギシギシと、いつものように音をたてながら誠を受け入れた。






ついにでてきたALICEですが出番少なかったですね…もう少し出番増やしたかったです。


物語が流れ出したわけであり、船で言うところの錨を上げた段階です。いえ船に詳しくないので知りませんが…これから面白くなって行く(予定)のでこれからもよろしくお願いしますorz


感想など頂ければ嬉しいです。

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