第六話 第一部 背番号発表
キーンコーンカーンコーン
由紀「ついにこの日が来たね。」
亜弓「うん。」
そう、今日は背番号の発表日。私と由紀は選ばれているのだろうか。一年目で選ばれた正直嬉しい。でも皆すごい人たちばかりだから私たちの入る場所なんてあるのかどうかという心配もある。でも由紀ならきっと入るだろう。一番最高な番号はやはり1番だ。ほかのメンバーに私は勝つことができるのだろうか。
ガラッ
私は今日野球部が借りている教室のドアを開いた。すでに部員のほとんどが座っている。皆険しい表情をしている。中には負けてたまるかのようなにらめつけてくる人でさえいた。私は気持ちを一気に切り替えて席に座った。
私と由紀が座ると日下部監督が入ってきた。
日下部「お前たちに取ってみれば大事な時間だと思う。私も深沢と共に夜遅くまで考えた。その結果がこの紙に書いてある。これから読み上げていくからな。気持ちの整理は良いか。」
皆「ハイッ!」
日下部「よし、始めるぞ。」
いよいよだ。私たちの一年目の夏の背番号が決まる。
日下部「まず一番!」
ドキドキ……
日下部「芦毛!」
芦毛「はいっ!」
芦毛先輩だった。すこし期待はしていたが、ここは先輩の威厳を見せたようだった。ちょっと悔しい。
日下部「そうだ、芦毛はここで立っていて待ってくれ。」
芦毛「わかりました。」
日下部「次、ドンドン行くぞ。二番、友亀!」
友亀「はい!」
友亀が選ばれた。となるとキャプテンはどうなるのだろうか。
日下部「三番、池之宮!」
池之宮「はい!!」
池之宮が選ばれた。これは順当だ。
日下部「四番、卜部!」
卜部「うっす!」
卜部先輩が四番。セカンドのレギュラーだろう。
日下部「五番、新天!」
新天「はい!」
新天が選ばれた。あの打撃力が評価されたか。
日下部「六番、栗山!」
栗山「しゃっす!」
栗山先輩だ。あの二遊間は固いだろう。そして次は由紀のポジションだ。
日下部「七番、中山!」
中山「はいっ!」
中山先輩だった。由紀じゃなかったのか。私たちはまだまだだったのだろうか。
日下部「八番、海鳳!」
海鳳「おっす!」
海鳳がセンター。これは固い。
日下部「九番! 府中!」
府中「はいっ!」
えっ!?
ザワザワ…
室内がざわつく。それもそのはず、いままでキャッチャーをやっていた府中がライトに行くなんて…。
日下部「キャプテンとして頼むぞ、秘密の外野特訓の成果を見せてやれ!」
府中「ありがとうございます!」
そんなことをやっていたのか。それなら納得できる。さて、ここからがベンチ入りメンバーだ。
日下部「十番!」
果たして私は選ばれるのだろうか。そして由紀は選ばれるのだろうか。私の努力の結果は…。
日下部「日高!」